田中よしたろう

ライトノベル風小説を書いています。 勇者大戦~英雄Aくんの災難~を連載中。

田中よしたろう

ライトノベル風小説を書いています。 勇者大戦~英雄Aくんの災難~を連載中。

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  • 勇者大戦 ~英雄Aくんの災難~

    ※現在noteの方は一時休止中です。小説家になろう、pixiv小説では続けています。 ある一つのスキルをめぐり12人の勇者が集い争う。 それに巻き込まれた逸般人(イッパンジン)クドウ君の運命はいかに? カクヨム、LINE novel、pixiv、小説家になろうでも掲載しています。 初投稿です宜しくお願いいたします。

最近の記事

勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者編 第8話

 私、有芽沙紀の家は旧華族に連なる名家だ。  とは言ってもそれも今は昔、度重なる事業の失敗で没落。  現在は僅かな土地を貸した賃料でなんとか食いつないでいる状態だ。ただ、見栄のためなのか屋敷は無駄にでかい。  その見栄の一環で私は良家の子女の通う私立御藍綬学園に通わさせられる事になった。旧家のコネがあるらしい。学力の足りない私でも難なく入学できた。  養ってもらっていて文句を言うつもりはない。ただ、あまり周りの良い子ちゃん達とは反りが合わない。  だから、わずかばかりの反抗

    • 勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者編 第7話

      「おいやめろっ」 「やめっ」  怒声の主は星さんと源さんだったようです。  4人の男たちに源さんが暴行されています。源さんの言っていた”ホームレス狩り”とはこの事だったのでしょうか?  あ、止めに入った星さんも殴られました。  他のホームレス達はテントの中から様子を伺うだけで助けに入ろうとはしません。自分たちにその暴力が向かうのが嫌なのでしょう。大多数の方が高齢の方や栄養状態の悪い方なのでまあ、分からなくはありません。 「…………(笑)」 「………………(笑笑)」

      • 勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者編 第6話

         アルミ缶回収は午前中で終わりました。  源さんが言うには無宿者……(ホームレスと言うのだそうですね)がこぞって取って行くのと行政の収集車が回収してしまうという事ですぐに無くなってしまうのだとか。  田口金属に戻ってきた私と源さんは金属製の板の上に籠の付いた装置(たぶん秤の一種なのでしょう)に缶の袋を置きましす。 「この重量なら今はこの相場だな、はいよあんたは……自転車のレンタル料を抜いてほい、2千円」  この金額が高いのか安いのか分かりませんが、貴重な今の時代の貨幣で

        • 勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者編 第5話

           私は源さんに連れられて薄い金属製の壁に囲まれた場所にやってきました。  翻訳の魔法を使えば壁に「田口金属」と書かれています。 「よお、源さん。いつもより早いな」 「ええ、田口さん。おはようございます。今日は新入りを連れてきたんですわ」 「その後ろの奴か?ひっでえ顔だな。先祖返りか……源さんの昔の関係?」 「そんなようなもんです。二名分、お願いいたします」 「あいよ、源さんがついてりゃ借りパクされることはねえか。レンタル料はいつもどおり買取額から天引きだ」 「ええ

        勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者編 第8話

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        • 勇者大戦 ~英雄Aくんの災難~
          30本

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          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第4話

           家主に不幸のあった物件で一晩夜を明かした翌朝、人の気配を感じて目を開けるとテントの前に星さんが立っておられました。 「よう、よく寝られたか?」 「はい。ぐっすり快眠でございます」  本当はアンデッドですので寝る必要はないのですがね。人間だったころの習慣で目を閉じてじっとしていただけでございます。  もし、人間だったとしてもひどい臭いで寝られなかったでしょう。それは半死体の私の体臭も同様ですのでそこは我慢いたしましょうか。 「源さんのことだがよ」  星さんは唐突に話

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第4話

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第3話

           アンデッドとして復活したわたくしは息を切らせる事も無く走ることができ(呼吸をしていませんので)、無事警備兵を振り切ることができたのでございます。  そして、ちょっとした広場へとたどり着いていました。  入り口には「公園」と書かれた看板が立ててございました。  翻訳の魔法が瞬時に人類の集合意識から意味を読み解いてくださいます。  なるほど、民が憩いの場とするために国が整備した場所ですか。  グラム王国には無かったものですな。  私有地でなければわたくしのような行く当てのな

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第3話

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第2話

           遠くで誰かの声が聞こえる。  聞き覚えのない言語だ。  魔族の言葉を盗み聞きするために覚えた翻訳魔法が自動で起動する。 「ええと、これが呪文?だっさ」  おとなしい口調で喋ればきれいな声なのだろうが、その他人を常に見下したような冷酷さを感じさせる抑揚に俺はどこか反発を覚えた。 「孤立、腐食、不正な規律。永劫に理解されぬ者。ここに目覚めよ」  呪文なぞ別にどうでもいいのだ、正しい術式と術者の魔力さえあれば。だがこの術式は何かがおかしい。改変されている。 「ちょっと

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第2話

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第1話

          「ハアッ、ハアッ、ハッ!!」  強化魔術が切れたのか、ひどく息が切れる。さらに心臓が口から飛び出そうに脈打っている。 「こっちに逃げたぞ!!追えっ!!」 「あそこだ!!回りこめっ!!」  追っ手の声がすぐそばから聞こえる。だいぶ距離を詰められた。くそ、最初に状態異常魔術を掛けたはずなのに、効果が無くなるのが早すぎる。  うっそうとした林が俺の姿を隠してはいるが、追跡に長けた兵士にはすぐに見つかってしまう。 「この先は崖だっ追い込めっ!!」  俺が逃げている先には断

          勇者大戦 地獄の毒々ゾンビ勇者 第1話

          ???勇者 第2話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  ビチャン、ピチャン。  薄暗い地下牢に水滴が落ちる音が響く。  俺がここに入れられてからずっとこの音は聞こえている。  外で雨が降っているわけでは無く、地下水が染み出しているのかもしれない。  漫画喫茶のエントランスにいたはずの俺は、気が付くとこの世界に召喚されていた。  巨大な魔法陣の描かれた広間に神官の様な人間が数名と、近世ヨー

          ???勇者 第2話

          ???勇者 第1話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  いつものようにバックパックにノートPCと着替を入れ、派手なオレンジ色をしたダウンコートを着込むと自分の部屋から一階へと降りていく。  「家には居づらいから、また漫画喫茶で時間を潰すか」と玄関に向かったところで母親に捕まった。  廊下から覗くリビングには出来立ての朝食が湯気をあげていた。    父はしばらく出張で家にいない。  律儀に俺の

          ???勇者 第1話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第20話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  大橋警部補達岐阜県警の面々は、有馬邸の建つ丘陵地帯へ続く幹線道路を封鎖する任務についていた。  愛知県警に大損害が出たため人手が足らず、応援に来ていたのだった。 「なんじゃあれは?」 「ッ?警部補」  有馬邸がある方向から真っ黒なドーム状の物が拡大してきていた。 「退避をっ!!」  杉多巡査部長が叫ぶ。 「いや、もう間に合わん

          勇者大戦 鋼神勇者編 第20話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第19話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「おおっおおおおおお!!」  4ad8ehbは体を襲う全能感と快感に声を上げた。  視界がナージャと同期し、ブラックコアの見ているものがそのまま脳内に像を結ぶ。機体が遅延なしで思うがままに動かせる。  もう一つの体が手に入ったかの様だ。  視界の隅で棒立ちになる敵のブラックコア、鋼神66が見える。  そちらに動きが無いと確認した後、ナー

          勇者大戦 鋼神勇者編 第19話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第18話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ば、馬鹿な」  ようやく地上へと這い出てきた赤スーツの男は双眼鏡で塹壕の様子を観察すると、そう呻いた。  最短ルートが天井の崩落でつぶれていたため、時間のかかる大回りの経路をとらざるを得なかったのだ。  その間に戦況は決定的になってしまった。 「とにかく呼び出しを続けろ!!生き残りはここに集結するように言え」  偽装が施された地上の

          勇者大戦 鋼神勇者編 第18話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第17話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  地下指揮所より200メートル離れた地点。  芝生に偽装されたハッチが開き、ナージャ・ジュールベルが浮上した。  ナージャは巨大な物体が移動するとき特有の、遠目にはゆっくりと見える、その実かなりの速さで内側の塹壕の前へと移動していく。  塹壕内で迎撃態勢を整える諜報員達はそのたのもしい援軍に歓声を上げた。  地下指揮所では赤スーツの男が

          勇者大戦 鋼神勇者編 第17話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第16話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「偵察用ドローンが落とされています」  地下施設の指揮所。  赤スーツの男は部下の報告に眉を寄せた。 「対ドローン用のドローンだと思われます。警戒網が維持できません」 「警察がそのような装備を持っていたか?まさか」  その時だった。  ズゴゴゴゴゴゴォォォォォォォーオォォン!!  ビリビリと地下指令所の壁が震える。 「なんだ?

          勇者大戦 鋼神勇者編 第16話

          勇者大戦 鋼神勇者編 第15話

          有料設定していますが【全文無料で読めます】。 気に入ったら購入よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  知多半島。神聖同盟の拠点と目される有馬雄一郎邸。そこに向かって警察の人員輸送車が複数走っていた。  狭い舗装道路を一列になって進んでいる。  有馬の会社には捜査の手が入ったが既にもぬけの殻だった。  ヘリによる先行偵察の結果、有馬邸に多くの人員が居ることが分かったため、愛知県警の警官隊が強制捜査に向かうことになった。 「岐阜県警が取り

          勇者大戦 鋼神勇者編 第15話