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『ラブという薬』

以前『BRUTUS』の映画特集で対談させてもらった星野概念さん(精神科医・ミュージシャン)より、新刊『ラブという薬』をご恵投頂いた。いとうせいこうさんとの共著である本書は、星野さんが本業の精神科主治医、実際に彼の元へ通うせいこうさんが患者となってその対談の様子を書き起こしたもの。
本来、守秘義務で表に出すことが出来ないカウンセリング内容が公開されており、ふたりの柔らかい語り口にどんどん引き込まれていく。
教会で懺悔する習慣が日常的にない僕らは、気軽に悩みを人に相談できない風潮がある。誰にも相談できないということが、より悩みを深く精神的に追い込んでいることは事実で、それがますます精神科受診のハードルをあげている。近年、田中圭一さんの『うつヌケ』など心の問題をテーマにした書籍が多く発行されているように、不安障害などは僕らの身近な問題であり、本書で述べられているようにもっと気軽にカウンセリングが受診できるようになればと感じる。


そして、本書が伝えるもうひとつのポイントは、対話の重要性だ。最近話題になった「オープンダイアローグ」にもあるように、傾聴することの大切さが語られている。
振り返ってみれば、僕が福祉現場で障害のある人に対して、そしていまアウトサイドの取材現場で行なっていることの実践がここでも理論立てて語られており、やはり自分がやってきたことは間違いではなかったことを再確認。
まだ完読は出来ていないけど、カウンセリングを受けるように少しずつ読んでいくのが自分にとっても「良薬」となる読み進め方の気がする。


装丁も凄く良いなと思ったら拙著『シルバーアート 老人芸術』でもお世話になった吉岡秀典さんで、これまた納得。


*いとう せいこう、 星野 概念『ラブという薬』
http://amzn.asia/3n4E4Cm

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