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はげしいいじめによる引きこもりが、ぼくの原点だった  家入一真

CAMPEIREの創業者、家入一真(いえいり かずま)さんは中学のときにはげしいいじめにあって学校にいけなくなる。しかしそれはたんなる引きこもりではなく、新聞配達をして自己を保っていたようだ。そして芸大を目指して、毎日油絵を描いていたが、それも父親が再起不能の交通事故にあい、長男だった彼は一家を背負って就職する。しかしその就職も、やがて会社にいけなくなり、ふたたび引きこもりの状態になる。そんな試練を背負って立ち上げたCAMPEIREは「優しい革命」をめざしている。しかしその優しさとは厳しい試練に立ち向かってきた優しさで、革命は優しさだけでは生まれないことを彼はまたその会社に厳しく縫い込んでいる。

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──そうですね、もともとぼく自身は、中二でほぼ学校にいけなくなって、いじめとかがきっかけになっているんですけれど、そうやって家にこもっている間は、もともと絵を描くのが好きだったので、油絵を好きなままにかいていたりしていて、途中からちゃんともっと絵を学びたいっていう気持ちが芽生えてきて、ちゃんと芸大とかに入って、絵を学びたいっていうことで、新聞配達をしながら、朝配って一日中絵をかいてまた夕方になったら、新聞配達をして、合格できたらいいなあと思っていたんですが、ある日、父親が突然、軽自動車で配達をやってたんですけど、その運送の途中で事故ってしまって、もう働けない身体になってしまって、ぼく長男だったので、妹と弟がいたんですけど、お前が働かんともう生活できないということになって、急遽、そういう絵をかくみたいなものをあきらめざるをえなくなったんです。

なんとか絵をかいたりしていたこともあったので、福岡の片田舎だったんですけど、デザインの制作、さらに下請け会社みたいなところに入ることができて、そこで働きはじめたんですけど、ずっと引きこもって、まあ新聞配達はしてたものの、ほぼ引きこもりと絵をかくことしかしてこなかった人間なので、いきなり会社に入って、朝定時で出社して、打ち合わせとか、他者との交渉とか、もう本当に苦痛でしょうがなくて、やがて、時間通りにいくってことができなくなって、結局、また中学生のときの引きこもりのときと同じような状況になっちゃったんですよね。なんかもうぼくは、どこかで就職して働くってことが、本当にできないんだなっていうことを深く実感したと同時に、とはいえ生きていかなきゃいけない、じゃあ、人に会わずにできる仕事をなんかつくりだそうと思ったときに、レンタルサーバーだと思ったんですよ。

とにかくぼくみたいな、稼ぐことができないような人間だったり、あとは学生とかですよね、学生とかが、自分の描いた絵とか、作った音楽とか、詩とか、日記とか、そういったものをもっと気軽にアップロードできるような時代にならないといけないと思っていて、まあ、いつかはなるんだろうけど、まだまだハードルが高いなと思っていたので、格安のレンタルサーバーを作ろうと思って作ったのが「ロリポップ」っていう一番最初のサービス、「ペーパーボーイス」っていう会社なんです、でも当時は、本当に起業したくて起業したわけじゃなくて、どちらかというすごく後ろむきで、やらざるを得なかったみたいな、生きる手段みたいな感じの起業でしたね、24歳の後半とかです。

人間ってだれしも一冊の小説になる分の人生は歩んでいるんだと思うんですけど、そのなかで、じゃあ自分は今何ページぐらいなんだろうなって考えますね、でもまあ例えば、年齢イコールページ数でもいいや、ぼくはいま39ページまできているわけですけれど、今まで39ページ分の小説っていうストーリーがあるわけですよね、それでいま福岡で生れて、中学校でいじめにあって引きこもって、その後起業してみたいな、でも失敗してみたいな、それがずっとストーリーとして、こう39ページあって、じゃあその次の一ページはどう描こうか、さらに次のページはどう描こうか、その積み重ねだと思うんですよね、いきなり大きな事をしようとしたり、いきなり大きな夢をえがいてしまうと、やっぱり最初の一歩が踏み出せないで、そのまま日々がすぎていってしまうことって往々にしてあるじゃないですか。

その時、大きな事とか、大きな夢とかじゃなくて、顔が思い浮かぶ身近なだれかを喜ばせるといったところから、小さな一歩ってはじめると思っていて、で、その先に同じような喜ばせたいと思う人が抱えている課題と、同じように課題をかかえた人が、もしかしたら日本中にいるかもしれないし、世界中にいるかもしれない、でもそれって最初の一歩からはじまるんですよね、きっと。なので、まずは最初の一歩を踏み出してくださいっていう単純な言葉で落ちていくんですけど、いつもなにをやっていいかわかんないとか、それで立ち止まっている子には、このアドバイスをするようにしていますね。

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