俺の名前は佐々木ツトム。年齢は…… うーん、自分語りとか省略させてもらっていいかな、めんどくさいしつまらんだろうから。そうさ、俺はなんにもしたくない、好きなこ…
網のうえでカルビが炙られている。上カルビだ。 それが並んで五つ。じゅうじゅうと、すてきな音が鼓膜をくすぐる。 「千と千尋の神隠し、みたことあるだろ」 「ないで…
草葉ノカゲ
2020年11月18日 21:49
俺の名前は佐々木ツトム。年齢は…… うーん、自分語りとか省略させてもらっていいかな、めんどくさいしつまらんだろうから。そうさ、俺はなんにもしたくない、好きなことや楽しいことだけしていたい、でもそのために頑張りたくもない、そういう世の中でいちばんダメなタイプの人間なんだ。 そんな俺はある日、ぶらぶらと歩いていたら何もない場所でつまづいて(よくある)、そのはずみに小学生くらいの女の子を突き飛ばし
2020年11月16日 20:10
網のうえでカルビが炙られている。上カルビだ。 それが並んで五つ。じゅうじゅうと、すてきな音が鼓膜をくすぐる。「千と千尋の神隠し、みたことあるだろ」「ないです」 網を挟んで相対する男と女。年かさの男の問いかけに、女はむげない答えを返した。近くの席の客、とくに男たちがちらちらと彼女の顔を盗み見ている。最初に二人を席に案内した若い男性店員が、用もないのに席の近くをうろうろしては、厨房に引っ