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なぜ、残念なリーダーが多いのか?

クリエイティブ・リーダーシップ・センターのビル・ジェントリーは、過去数十年に発表された膨大な研究報告書を調べあげた末に「リーダーやマネージャーの2人に1人は現時点での職務を十分に果たせていない。すなわち無能か、不適任か、完全な失敗である。」と述べている。

数十年にわたりリーダーシップ開発やリーダー教育が行われてきたにもかかわらず、リーダーシップがいっこうに向上しないのはなぜか?

理由①:実態調査が行われていない

リーダーの行動と職場の結果の間には強い因果関係があると謳われることが多いにもかかわらず、実態調査は実施されておらず、原因究明もできず、対策も立てられていない。
リーダーと職場の実態が計測されない限り、またリーダーが自らの行動の改善とその結果に責任を問われない限り、状況は変わらないと思われる。

対策①:実績を測って、結果責任を負わせる

実態調査として、リーダーとして望ましい行動の頻度、部下の意欲、仕事満足度、リーダーへの信頼度などの職場の状況と、リーダーのその後のキャリアをモニタリングする。
営業成績が良くても、信頼度不足では昇進できない、職場の離職率が基準を超過した場合にマネージャーを降格・解雇するなどのペナルティーを設定し、責任を明確にする。

理由②:リーダー個人と会社の利益は一致しない

リーダーシップ神話は相変わらず、組織のパフォーマンスを高め部下の意識を高めるリーダー像を語ることに終始している。
実際は、長い在任期間、高い報酬、そもそも高い地位に登りつめることがリーダーにとって嬉しいはずである。

対策②:リーダーと会社の利害の不一致を認識する

測定・評価の対象を拡大し、職場の状況や部下の満足度だけでなく、リーダー自身のキャリアも含める。
昇進・昇格、報酬、他者からの引き抜き等を調べる。これらの点を確かめると、リーダーの個性や行動が会社のパフォーマンスに貢献したのか、本人の成功に貢献したのかが見えてくる。
まずはなぜ利害の不一致が起きるのかを理解し、双方にとって良い結果をもたらす事は可能なのか検討する。

理由③:知識も経験も資格もない人が元気よく教えている

リーダーシップ教育産業には、知識・経験・資格は不要で、「参入障壁」が全くない。誰でもリーダーシップの本が書けて、公演ができて、コンサルタントになれる。高等教育機関やリーダーシップ・セミナーの主な目的は、目にも耳にも心地よいエンターテイメントを提供することになっている。

対策③:もっと科学的な方法を採用し、資格を重視する

断片的な事例やエピソードよりも系統的な証拠を優先する。最新の知識を身に付けることを義務化する。専門の資格を必要とし、資格取得後の継続学習を義務化する。
リーダーシップに関してもトレードオフが存在する。個人の利益と組織の利益の不一致が、これほど長い間リーダーシップが機能不全に陥っていた大きな原因の1つだと考えられる。

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