星の世界check-1-1

いつくしみ深き 和声禁則チェック

コミケの準備で忙しい今日この頃ですが、前々回紹介した「いつくしみ深き」の和声禁則をチェックする方法をご紹介します。

以前はFinaleがこの機能を持っていたのですが、今は消えてしまい、商用の楽譜ソフトではSibeliusだけの機能になってしまったようです。本当はそういうのいちいち気にしなくてもすらすら音符が書けるまで課題をこなすべきなのですが、そうも言っていられないので何とかしてテクノロジーに頼って解析する方法を探した結果、MuseScoreのプラグインにその機能があることが判りました。やり方は以下の通り:

1. MuseScoreを準備する

MuseScore V3とCheck Harmony Rulesプラグインをインストールします。見ればわかるので省略。プラグインはここにあります。

2. MIDIファイルに書き出す

DAWからオルガンのパートをSMFで書き出します。ここは各自のDAWでやり方が異なりますし、特に難しいことでもないので割愛。

3. MuseScoreでSMFを読み込む

ファイル→開くでMIDIファイルを直接読み込むことができます。和音のトラックは勝手に声部が別れたりしますが、あまり精度が高いとは言えないので、声部は1声部としてインポートして、あとで分離します。ファイルを開くといきなり譜面になっていますが、下の方にインポートの設定がありますので、その中の「声部」を1に設定します。クォンタイズは今回は8分、譜表の分割と音部記号変更はオフにするのが良さそうです。

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4. 解析用の譜表を作る

プラグインが和音には対応しないため、4声部を分割します。そのためにワークエリアとなる譜表を追加します。編集→楽器…で設定画面が開きますので、オルガンの譜表にあと3つの譜表を追加します。「譜表を追加」を3回押すだけです。ト音記号の譜表が追加されますので、見やすいように音部記号を変えましょう。

5. 声部を分離する

一番先頭の音符を選んで、一番最後の音符をShiftを押しながらクリックすると音符をすべて選ぶことができます。その状態で、ツール→パートに分解を選ぶと、追加した譜表に声部が分離されます。ここで使うプラグインは単音の複数パートにしか使えませんので、面倒でもこの作業が必要です。

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6. プラグインを実行する

音符が選ばれた状態のままで、プラグイン→Proof Reading→Check Harmony Rulesを選びます。このメニューが表示されていない場合はプラグインのインストールに問題がありますので、もう一度見直してみてください。

解析を行った結果がこちらになります。

星の世界check-1-1

かなり色々チェックが付いていますね。この中には問題がないもの、問題があるものがあります。例えば3小節の隠伏5度は転回形が変わっているだけですので特に問題がありません。一方、11小節目の平行8度は直した方が良いでしょうが、短い音符ですので大して違和感がなく、演奏性の方を重視した方が良いかもしれません。16~17小節は2周目に入るところですが、何も考えずコピペしたせいで平行8度が発生しています。

これは和声法の課題ではないですし、オルガンだと演奏性の問題もありますので、完全に禁則を満たすのは難しいですが、ルールを守った方がオーケストレーションした場合も作りやすく響きやすくなるのは確かです。聴いてみて音が固いなと思ったら、こういうツールを使ってみるのはいかがでしょうか。

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