こじらせと流星群と海賊団

幼稚園から小学校、中学までほとんど同じクラスで過ごした仲の良い幼馴染の女の子とその一つ上にお姉ちゃんがいた。家族ぐるみで仲が良く、小学生の時にはクリスマスパーティも毎年やっていたし、中学に入っても普通にしゃべる仲のいい姉妹でよく連絡を取り合っていた。
中学ではお姉ちゃんと同じ塾に通い、勉強を教えてもらったりふざけて会話しながら、塾の先生に怒られながらもワイワイした生活を送っていた。
高校は全員バラバラながらもたまに集まってしゃべったりもした。

私が成人するよりも前のある夏、「明日、流星群が見ごろ」みたいなネットニュースがあった。そういえば流れ星なんてほとんど見たことがなかったし、変な青春しか送ってなく、彼女なんていなかった私は、私の姉とその幼馴染姉妹と急遽流星群を見に行く約束を取り付けた。
なんで私の姉を誘ったかは覚えてないが姉も一緒に行った。

近所にあるスポーツ公園という地元にしては大きな公園。ちょっとした丘みたいになっている山があった。21時か22時を過ぎるとスポーツ公園の灯りは消え周りには光がなく、眼が暗闇に慣れたころに空には膨大な数の光があることを気が付かせてくれる。
望遠鏡もなく、シートもなく、ちょっと湿った丘の上の芝生で立ちながら空を眺めている4人。
「双眼鏡でも望遠鏡でも用意しておけばよかったね」「シート必須だったんじゃない?」みたいなことも言われたが突発だしはじめてだったから仕方がない…
30分たっても全然流れ星が見える様子もないが、全員が全員純粋に「星空を見る」なんてことしてこなかったので、眺めることができた。その間に、学校のことや、私たち姉弟と幼馴染姉妹がそろうことは少なかったので今何しているのか近況報告もしていたため、時間は思いのほかつぶせた。

「夏の大三角形ってどれ?」「こんなことがあるなら星座とか調べておけばもっと楽しかったんだろうね」みないなことを言っている間に日を跨ぎそうになった。
そのとき、幼馴染が「流れ星!」といって見つけたらしい。
空を見上げて探したが当然私はその姿を捉えることができない。流れ星だもの。
しかしその後、5分に1回は流れ星が来た。
気が付けば時を忘れて2時間ほど空を眺めて流星群を見ていたらしい。
写真に収めようとカメラを起動するが、当時はスマホとガラケーが入れ替わる時期だったため、画質もよくなく、ただただ暗い世界しか撮ることができなかった。

『流星群をみた』その体験だけで私たちはハマった。
「次あったら来よう」と約束を取り付けて、「シートは持っていこ」となりその日は解散となった。

その後何度か流星群を見に行ったが流れ星には出会えなかった。
最後に見に行った帰り道。

最近の趣味の話になった。
当時「ONE PIECE」はマリンフォードの頂上決戦と言われているものが連載されているか少しあとくらいの爆発的に盛り上がっていた。メディアでもすごくワンピースが推されていた。
それに触発されて「ワンピースって楽しいよね」という人が増えていて、私はワンピースが好きだったが、当時の私はミーハーが何かを推すのを絶対に許さない過激派オタクだった。
そんな中で幼馴染が「ワンピースにはまっている」という単語を聞いて、何を言ったか覚えてないけど「最近メディアに洗脳されてハマっている人多くない?確かに盛り上がってるけど、ミーハーはクソ」の類なことは言ったと思う。人の趣味を批判しない今のスタンスとは真逆だった当時の私は当然嫌われた。

こうして、幼馴染とは連絡がつかなくなった。
成人式であって話しかけても「あっそ」みたいな流され方をした。
幼馴染のお姉ちゃんとは、連絡は取り合えるがなんだか疎遠になった。

少し時は経ち、
私が結婚する時に式でも2次会でも参加してほしいと招待状を送ったが、2人もキャンセルになった。

私は私の時代の敗北者となってしまった。

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