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2024年12月6日マルテンサイト強靭化研究会への参加報告
2024年12月6日、熱処理技術協会主催の「マルテンサイト強靭化研究会」に参加し、中高炭素鋼の鍛鋼品および加工技術に関する最新の研究動向について報告を受けました。主要な議題は、マルテンサイト組織制御に関わる課題、鍛造後の割れ対策、および材料の応力集中部への影響評価でした。新日本製鐵は、製鉄所統合後、瀬戸内および関西製鉄所に技術研究グループを設置し、各種鍛造製品の技術開発を進めています。特に鉄道車輪、自動車用クランクシャフトの疲労対策について水素侵入の抑制や応力集中回避策が詳細に議論されました。また、白色組織剥離の形成メカニズムに関する最新の知見も発表され、転動疲労試験結果から水素の影響が明らかになりました。さらに、焼戻しマルテンサイトの粒界強度における炭素およびマンガン偏析の影響についての研究成果が報告され、低温脆性対策として組織制御手法の重要性が指摘されました。材料設計の新たなアプローチとして、ニューラルネットワークを用いた原子間ポテンシャルの開発についても説明があり、転位運動と炭素分配の再現性が向上しました。この会議を通じて、材料強度学と破壊力学における最新技術動向を把握し、今後の研究指針の参考にすることができました。