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マツダ3のデザイン解析#1

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フェンダーの概念を消したマツダ3
 現行マツダ3が市販された際に、モーターショーと全く同じ装いで登場したのはびっくりしました。市場にはそれなりのデザインの秩序が存在しており、大抵の車は自制するかのように調整が図られて登場するものですが、マツダ3に関してはその関所を突き破って私たちにその姿を見せてくれました。
 リアタイヤの踏ん張りを、キャビン後ろ全部のマスを使って表現されているようなデザイン。通常よく見るフェンダー部分の膨らみだけでなく、マツダ3の場合はボディー後半のすべてがさながらリアタイヤのフェンダーの様です。そうすると最早、既存のフェンダーの概念はマツダ3のデザイン上では消滅されています。
 
 通常フェンダーからCピラーまでの間に、フェンダーの膨らみを強調させるくびれがあり、その上に伸びたキャラクターライン若しくはショルダーラインが横断して、遂にcピラーの面に昇ることができるのです。けれどマツダ3にはそれがありません。
加飾に頼らずにタイヤとボデーを直接結びつけるデザインが新しく、車の機動力の表現を鮮やかに更新しています。
それが優雅と取るのか、スポーティと取るのかは受けての判断に委ねられているのも憎いですね。決してわかりやすいデザインの法則に則っていません。答えのある説明的なデザインでないので、その印象は受け手の心がもともと持つ車へ関心と期待を写すと言えるでしょう。
 実はその構成上、Cセグメントのハッチバックのキャビンは鈍重な印象を与えがちです。余裕のある日常使いを想定したキャビンの大きな膨らみは、対して低く構えるエンジン周りとのバランスをデザインに課してきます。それはセダンの派生車であるほど難易度の高い作業であります。事実セダンとの関係をデザインの構成上断っているゴルフなどはフロントも存在感を高めてバランスを図っています。
 一方でワゴンとは何が違うかと言うと。ワゴンはハッチバックに対してリアのオーバーハングの長さが、デザイン上でバランスさせる可能性を秘めています。ハッチバック車のようにリアタイヤ直後でボデーをぶつ切りにされて、切り口を広大で垂直なハッチドアで蓋をされることがありません。
ワゴンの場合、オーバーハングのゆとりを使ってボデーの後端に向かって開口部を絞り込ませます。やや小ぶり、もしくは無理のない曲線でボデーの勢いをいなしたハッチデザインで蓋して完成させます。リアを緩やかに小さくフェードアウトさせることでワゴンはバランスを取れるのです。
 ではマツダ3はそのネガをどう克服したのでしょうか。次回に続きます。

次回予告:”シュッ”としたマツダ3のデザインのカラクリ(仮)

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