いてもいなくてもよくなることについて:中森弘樹・福尾匠・黒嵜想鼎談
「あなたがいてくれるだけでいい」。
「あなたが」に力点を置けばこの「あなた」の存在がまるごと肯定されているように読めるし、「いてくれるだけで」に力点を置けばそれが誰かに関わらずとにかく誰かがそこに「いる」ことが大切なのだと読めます。いずれにせよ、たんに「いる」だけのことが「くれる/あげる」といった、行為としての価値をもつのは考えてみれば不思議なことです。こうした価値は実際のところ社会のなかでどのように機能しているのでしょうか。あるいは反対に、「いるだけでいい」ということがなお