純碁に関する考察
純碁とは
純碁は王銘琬九段が考案した入門用のルールです。そのルールをかいつまんで説明すると、以下のようになります。
黒白交互に打つ。
相手の石を囲めば取れる。自殺手は禁止。
コウはコウダテしなければならない
両者が続けてパスをすれば終局となり、盤上の石が多いほうの勝ちとなる。
純碁の特徴としては、地ハマではなく石の多寡によって勝敗を決する点です。
まず考えたいのは、このやり方と通常の地を数えたときとで勝敗が一致するのかということでしょう。
地とは「相手が地の中に打っても適切に対応すれば取れる場所」という認識は多くの人に受け入れられると思います。
これを言い換えると、「地は自分だけが石を置ける場所である」と考えられます。
こう考えれば、なんとなく結果が一致しそうに思えます(実際には「切り賃」という差が存在しますが、後述します)。
では、地でなく石を数えることの利点は何でしょうか。それは、死活問題が発生しないということでしょう。
地を数えるためには盤上の石が活きているのか死んでいるのかを判断しなければなりません。
ところが、純碁の場合は盤上の石が活きているか死んでいるかは考えず、全ての石を数えます。実際に死に石を囲んで取ることによってはじめて相手の点数を減らすことができます。
現在の囲碁ルールの問題点の多くは、死活問題にかかわるものが多いのですが、純碁はそれを解決できる手段といってもいいでしょう。
切り賃
先ほどちらっと触れた「切り賃」の説明をしましょう。盤上に石を置けるだけ置こうとしたとき、それでも二眼は確保しなければなりません。そのため、石のかたまりごとに2つずつ石を置けない点があります。これによって、地を数えたときと結果が変わります。この差を「切り賃」といいます。石が切られると2目損することになるのです。
純碁は囲碁のもっとも古い形であると考えられます。しかし、最後まで石を置くのは不毛な時間がかかるため、地を導入して簡略化するようになりました。ここで、地を考えると古い形と結果が変わるので、その差を修正するために生まれたのが切り賃です。日本ルールでは、地を持つ活き石ごとに2目引くことで差を修正していました。
人々が地に慣れていく中で、もともと石に注目していた時は自然だった切り賃が、地に注目するようになった結果不自然に思われるようになり、廃止されるに至りました。
最後に
純碁は入門用のルールとして利用されています。9路盤など小さい盤では切り賃の差が発生しづらく、手入れするべきかを考えなくて済むことから、入門用としてうってつけだからです。
しかし、死活問題を考えなくて済むことから、島田拓爾により「原始棋法」という名でプロ用のルールの案として挙げられたこともあり、玄人にとっても参考にすべきものである。
三星聯さんが書きました
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