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【随筆/まくらのそうし】 薪

 薪には堅木、すなわちナラやらクヌギと言われているが、堅木というからに、太くなるまで時間が掛かり、燃やしてしまうに忍びない。

 さらには木の実を落とす木ともあれば、切るなどもってのほかというわけ、人が使いにくくても、山のため、薪には杉檜を使いたい。

 堅木などは火持ちも良く、軟木といわれるこれらはすぐに燃え尽き、何度も薪をくべる手間もあるが、一から薪を集める人には、杉檜は軽く、薪割りも簡単、その上、檜などは生木も燃える。

 あの独特な匂いの油が、檜の生木の燃えるわけ、檜は火の木というわけだ。

 間伐を兼ねて、杉山へ入り、数本ばかり切り倒し、玉に切っては軽トラへ乗せ、楔や斧で薪にする。

 そうもせずに燃やす堅木、炎は、片手落ちどころか、両手落ち、悦に入るのは人だけだ。

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