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図書館オンライン化の前哨戦? 図書館蔵書資料アクセスのデジタル化の動き

黒坂図書館館長としては、少し気になる記事があったのでご紹介したい。

新型コロナウイルス感染症対策で多分野でのオンライン化が課題になるなか、知の共有を担う図書館も例外ではない。各家庭への蔵書のインターネット送信を可能にしようと、文化庁は2021年の通常国会への改正著作権法案提出に向け急ピッチで議論を進めている。ただ既存の電子書籍ビジネスへの影響など考慮すべき点も多い。

個人的にはこの流れはとてもよいと思っています。そしてこの話が国のやることとしては結構早く進んだことにびっくりしています(偏見かも…)。

それに著作権法の改訂に向けた動きもしているとは。。。
この話はデジタル化し易く、国民の生活にも関係があり、図書館の存在意義という面でも多くの人に影響があります。

結果が出しやすいところから始めるのは個人的には賛成なので、どんどん事例を作って欲しいというのが正直なところです。

4月に入ると7都府県に緊急事態宣言が出て、国立国会図書館の来館サービス、遠隔複写サービスなどが次々と休止された。

図書館が思うように使えず活動に支障が出ている研究者の実態を調べるために、4月の中下旬に大学研究者らを中心にアンケートを実施。結果を関係業界や政治家らに配り改善を求めた。

研究者らの要望はコンテンツのデジタル化で経済を活性化させたい政府の方針とも合致した。5月下旬に知的財産戦略本部が決定した計画にも、「図書館の蔵書へのアクセスを容易にするために、デジタル化に対応した措置を講じる」旨の方針が盛り込まれた

文化庁はこの方針を受けて今夏に作業部会を設置、議論を始めた。図書館から一般家庭への公衆送信を例外的に認める条文を、著作権法に入れる方向だ。

作業部会は議論のたたき台として、初回に具体案を提示した。(1)国会図書館から他の図書館に送信する絶版などの資料について、直接各家庭に送信可能とする(2)現在、各図書館は著作物の一部分を複製し郵送するサービスを行っているが、メール送信などを可能にし、権利者には補償金を支払う――の2案だ。

コロナの影響で図書館での研究者の情報収集に支障が出たのが4月、4月中下旬には研究者を中心にアンケートが実施されて、ロビー活動があり、5月下旬には計画に図書館利用のデジタル化が盛り込まれ、夏には文化庁内に作業部会が設置され、すでに利用の具体案も出てきている。半年足らずでここまでどんな人がドライブしたのかとても気になりますし、話を聞いてみたい。

この記事を読むと大きなハードルとなる問題点は一つに絞らせるような気がします。それは、権利者への補償です。

権利者への補償という問題は、以前から図書館の問題としてあった話で、この記事においても以下のように触れられています。

日本図書館協会の小池信彦氏は「権利者側に『図書館だから無料で貸し、コピーするというのは理解できない』と言われたことある」と話す。ベストセラーの蔵書が多すぎると、出版社が図書館に抗議したこともある。

著者や出版社としたら、無料で読める人が多ければ多いほどビジネスを圧迫し、収入を減少させる要因になりますからそれはそうだと思います。

もうちょっと詳しく見たくて、文化庁HPを見て見ました。
恐らく以下のサイトが今回の記事元だと思います。

図書館関係の権利制限規定の在り方に関するワーキングチーム(第3回)の参考資料3(図書館関係の権利制限規定の見直し(デジタル・ネットワーク対応)に関する検討に当たっての論点について)を読んでみると、現状の論点として、以下の4つが挙げられています。

・送信の形態について
・補償金請求権について
・データの流出防止措置について
・電子出版等の市場との関係について
・主体となる図書館等の範囲について

日経の記事においても、補償金や電子出版市場との関係については言及されていますが、そ例外はほとんど触れられていないので、文化庁の資料を見ておいて良かった。

きちんと考えられているなぁというのが私の印象です。また、平成29年4月の著作権分科会報告書において順次検討を行うものとして位置づけられていた課題(図書館における公的機関の作成した広報資料の全部複製やインターネット上の情報のプリントアウト)とのリンクもあって、予想通りと言いますか以前より議論があった内容だったのが、デジタルの流れに完全に合致して議論が活発化しているうです。

著作物のお金に関する問題を回避する枠組みを構築できると、非常によいシステムとなると思っています。しっかりと議論が必亮だとは思いますので、大変だとは思うのですが、関係者の方々には頑張って貰いたいです。

知識を広く利用可能にするというのはとても大切な考え方なので、応援しています!


#COMEMO #NIKKEI #頑張れ文化庁 #図書館 #著作権 #権利者補償 #黒坂図書館

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