がん患者が新たに犬を飼うということ

2014年大晦日に”乳がん告知”を受けた時、私には11年連れ添ったロングヘアーチワワのミルキーを飼っていた。

2015年から始まったがん治療、一番、辛い時期、ミルキーが側にいた。

もしや、この仔を看取れずに私が先に逝く?

なーんて思った瞬間もあった。だけど、ミルキーの年齢を考えると、どうやらそれはなさそうだ。看取って上げられる飼い主で良かったと思う日が来るなんて、想像していなかった。

それから2年、2016年12月、ミルキーが旅立って行った。看取れて良かったとの安堵感以上に、やっぱり、悲しかった。まるで私のがんを引き受けるみたいに、最後、がんになって旅立ったミルキー。

2ヶ月後、犬のフォスターボランティアで出会ったシニア犬のコーディ。どうせ飼うなら、若くて、可愛い仔犬が良いと思うのは自然の事。だけど、乳がん患者2年目の私はそうは思えなかった。犬の予想寿命15年と言う年月を自分が担える自信が、保証が持てなかったのだ。そんな時に出会ったコーディは私にとってまさに奇跡の犬だった。私がミルキーに出来なかった、シニア犬との暮らしを与えてくれた。ゆったりと流れる時間を共に過ごした。気がつけば、”再発があるなら5年以内”と言われる時期が過ぎていた。

そして、今年の2月、コーディが旅立って行った。

たった4年間と言う短い時間。だけど、濃密で深い深い時間だった。たくさんの意外な自分を知った。結果、また、犬を飼おうと決心がついた。それも仔犬を。次の15年と言う時間を生きる、生きてやる。

先日、5年以上ぶりにMRI検査を受けた。乳がんの再発、転移を調べる為。

結果が出るまでのあの感覚はなんと表現していいのやら。大丈夫と思う反面、そう思い切れない不安。これがこの先、ずっと続く人生なのだろう。

1週間後結果が届いた。”再発、転移などの所見なし”。

安堵感に満たされる。そして、思う。

良し、これで胡桃(レスキューから引き取った仔犬)と生きられる。次の15年、いや、少なくとも15年、私も胡桃も生きる。

今、仔犬のこの仔は、15年と言う時間の中、私の年齢に追いついてくる。小型犬は人間の年齢の5倍速で進むとして、、、、あら、不思議、15年後は、私と胡桃は同い年。

その頃、私たちはまだ走っているだろうか?

それとも、ゆっくりとお互いを慈しみあって歩いているだろうか?

どちらにせよ、そんな未来は悪くない。未来を描けるって悪くない。




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