見出し画像

イングロリアスバスターズ 〜名誉なき野郎ども〜

ブラッドピッドの格好良さはとてつもない。ブラッドピッドのかっこよさの前では全てが悪者になる。

第二次世界大戦中、ドイツ占領下のフランスに送り込まれたアメリカのユダヤ系特殊部隊、人呼んで「バスターズ」はナチスドイツの暴走を止めるべく動き出す。
彼らのやり方は非情だ。「一人100枚、相手兵士の頭皮を持ってこい」。ブラッドピッド演じるアメリカのレイン中尉が部隊に言い放った言葉だ。
それから彼らはナチスドイツ兵を次々に殺戮し、頭の皮を剥いでいくのだ。この決して褒められるべきではない行為が、ブラッドピッドによってダンディかつ爽快に進められていく姿は異様だ。しかし心のどこかで「いいぞ」と応援してしまっている。
この映画の主演が、無名俳優であればおそらくここまで応援はしていないように思える。ブラッドピッドがやるから正義なのだ。

少し的外れな内容が続いたが、ここからが本題だ。この映画の面白いところは、内容が史実とは異なるところにある。
第二子世界大戦を舞台にした映画は大抵、史実から逸脱しないようにつくられている。しかし本作はむしろ「こうあってほしかった」と言わんばかりに幼稚な復讐劇となっている。(disではなくむしろ褒め言葉。)
もう一つの魅力は、ナチスドイツに酷い目にあわされた人々がそれぞれの復讐を企てるが、最終的に一つの終結点に行き着くところだ。それぞれの復讐心が、最後に重なり合うのだ。
また、本作ではバスターズやその協力者も遠慮なく殺される。「神も仏もないなぁ」と思いながら観ていた。

とにかく、この作品は人間のむき出しの復讐心を余す所なく描いているので、忖度にまみれ倫理的に配慮されすぎて薄味となった映画に飽き飽きしている方には、是非一度観てほしい。

#イングロリアスバスターズ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?