見出し画像

PC spin-off1 "多賀谷 龍吉"

ー24年前ー
何の変哲もなさそうだったとある家族がいた。

何の変哲もない、という事は所謂、無関係な他者から見た感想にすぎない。何事も外からではわからない事も多いが、そもそも他人に近隣に対してあまり興味ないのが近年の都心に見られる傾向だと言っても過言ではないだろう。

その家族は地方にいた。それでもあまり目立たず暮らしていた。両親共に働きに出ていた。正直親を知る人たちは子どもを養う余裕があったと思えない。そう言った事を言うかもしれない。

内側から見てみよう。その唯一の長男は、歳に似つかわない白髪がよく混じっている。歳にしてようやっと小学校に入学しようかというところか。

推察してみるに少年は、世に貴重なアルビノの体質なのだ。ゆえに体が弱く、病院によく通う必要があった。ただでさえ余裕のない家族にそんな事情はかなりの痛手だろう。

幸いなことに少年の目は異常なかったようで良かった。よく物事を観察するように、色々なものに目を向けているようだ。
少年の目には果たして親の苦労が写っただろうか。両親は余裕なさすぎる日々から、最もしてはいけないであろう選択をとった。自分たちで殺すよりもある種残酷かもしれない。いや、命に一つの賭けをしたのならそれは救いだったかもしれない。

後から思えば救いとなったが、なんと酷で罪深いことをしただろう。これでは同情の余地もない。

親は白が目立つその少年を、人目がまずつかないであろう森の奥深くに放ったのだ。大人しい子だった。そして親の心もどこかで知っていたのかもしれない。泣き喚く事もせず、少年は去りゆく親を見つめていたのだったろうか。

森の奥はあまりにも静か・・とは言えなかった。風に流されるままに木々はざわめき、四六時中何かの聲が、森を包み、少年の恐怖心を煽った。それでも少年は大人しかった。苦手な陽射しよりも森が心落ち着いた。少年も変わり者だったのだろうか。それとも、それは、悲しむべき性分だったのか。

しかし、少年が唯一心から苦しんだことがあった。時間が経つにつれて訪れるそれは”飢え”であった。森には食せるものは多いが、何も知らずに5年ほどの命を過ごした人間では全てが毒に近い感覚だ。試しにそこらにあった草や花を口にするが、とても食べられた味ではなかった。それで更に気分は悪くなる一方だ。しかし、このままでは死ぬ。それを本能的に感じ取っていた。

そんな少年にも一つだけ分かることがあった。肉・・肉は食べられる。
何度も恐怖が支配する夜を越えて、ここらには狸がいる事を知っている。恐らく他にもいるだろうが、流石に熊に遭遇すればひとたまりもない。狸は危害さえ加えなければあちらも敵意を出す事もなかった。もう飢えでいつ野垂れ死ぬかわからなかった。少年は武器となりそうな手ごろな石を携えた。そして、身の持つ今一番の渾身の力で獲物に襲い掛かる。

当然、齢5つの少年に野生の獣に勝つ力もなく、更に言えば少年は今にも野垂れ死にそうな弱弱しさだ。火事場の馬鹿力といえど、とうてい敵うはずがなかった。
しかし奇跡は起きるものだ。少年が獣に爪を立てられその牙で肉をえぐられようとした時、一つの銃声が獣を捉えた。弾があたったかはわからないが、その音の勢いのままに獣は瞬く間にその姿を森の影に忍ばせてしまった。

「少年ーー。いや、そこの男よ。こんなところで何をしている。ここは遊びに来るようなところでもなけりゃ、おちおち死に場所にしてしまうようなところじゃない。特に貴様のような勇敢な獣が命を終えるには、人目が足らないだろう。」

拳銃を持った男は逆の手で大きめのスコップを担ぎ、手の軍手には土の汚れが多くついていた。何かを埋めた後・・と、少年はどこかで感じた。

少年が出会った大柄な男はその辺りの界隈では有名な暴力団の頭だった。歳にして50前後、だろうか。その男は”大鷹の頭”と自らを名乗った。そして、捨て子だろうと一間で察した頭は、少年をすぐに養子として迎えたのだった。少年もまた何一つ嫌な顔をせずに彼についていった。寧ろ、大いに歓迎してくれた頭に対して、自分を喜んでくれる人間がいたと喜んでいる様子である。

頭が少年にその名を尋ねる。すると少年は困った顔をする。聞けば、己の名を聞いたことがない、という。無論そんなはずはない。彼は体質故に病院にも何度も通っていた。園に通える程の余裕はなかったから、常に家にはいたのだが・・。

何と言う事だろう。彼は病院になど行っていなかった。少なくとも少年は覚えがなかった。親は生まれた我が子の様子が他と違うと薄々感じていたが、飯だけ与えて夫々はひたすら働きに出ていた(今思えばそれが本当に働きに出ていただけなのか、疑念に満ちているが。)故に、自身につけられた名さえ不明という。

困惑する頭だが、一層のことこの小さな獣を丁重に育ててやろうと決意が固くなったという。稼業にして、到底世間に明るいものではなかったが、この”一人息子”には何一つ不便なく育ってもらおう。組の人間も総出でその子を見守り大切に育てた。

一人息子には「龍吉」という名前を与えた。龍の如く強く、そして少しでも吉があるように。不器用な頭からの一番の贈り物だった。龍吉は大きく喜んでその名を大切にした。
あまり素性が明らかにならないように慎重に慎重を重ねつつ、龍吉は無事小学校に通った。中学にもそのまま何一つ苦労なく進んだ。高校も、身元で少々手こずったものの、きちんと通えるところに通った。

高校に上がる頃には龍吉も当然自分の身のことを全て把握していた。だが、その頃には既に生みの親の顔も姿も名前も全て思い出せなくなっていた。

画像1

龍吉は病院の記憶もない。それはつまり自身の体質についても覚えていないと言うことだ。
人より肌が白い気がする。陽射しがなんとなく好きじゃない。いつからか目が悪くなったのでメガネをかけるようになった。
嫌な思い出の地になりそうなのに、森が実に落ち着いた。陽射しが穏やかになる。空気もいい。木々のざわめきに恐怖心を抱いていたはずなのに、今は寧ろ心落ち着く。

ふと、運命の日を思い出すのだ。
あの日奇跡的に出会ったものだが、恐らく大鷹は何かを隠すためにあの森を訪れたのだろう。自身の頭がより多角的に物事を捉えることができるようになってから、龍吉の観察癖は相変わらずなものなので、そこらの普遍的な同級生よりも物分かりが少し良すぎた。
稼業からして、それは”遺体”であっても”薬”であっても、”凶器”だろうが”盗品””資金”何にしてもおかしくはない。自分が立証したのだ、あの森は誰かが立ち入るようなところじゃなかった。一か八か、野生に対抗して、命を燃やし尽くす定めの己に生きる道を差し伸べた恩人。その恩人は世間では”悪”とされる立場の人だった。でも、俺はそんな人に憧れ、そのように生き、恩をいつか返す。そう考えていたのだ。

ー14年前ー
高校生ともなると、少しだけ大人の世界に干渉する。龍吉の場合は、一般とは離れていたと思うが、確かに一つ大人になったと思える事があった。
頭に仕事を幾つか請け負わせてもらうこととなったのだ。
そこには引き返せないものもあった。その仕事はどうやら、頭だけが直接請け負ったり、やっていた事のようだ。頭は決して、息子の龍吉にその組を継がせようとはしなかった。人望がなかったわけではない。(本人はその器ではないと思い込んでいた様子だったが。)それでも、龍吉がいつか親の手を離れるようになった時に、普通の社会に発つ道を選ばないだろうと理解していた。龍吉もまたそれを望んでいた。そしてこの類の仕事を誰かがやらねばならない。この仕事を継ぐのは最も信頼をおける人間唯一人。頭には運命のあの日、野生よりも獰猛に立ち向かう一人の漢の姿が強く脳裏に焼き付いていた。だからこそ、大切な一人息子に最も危険な仕事を任せることにしたのだ。

これが”殺し屋”として、「梟」としての始まりだった。

けれど、梟が森を抜けるのはまた先の話だ。
まだ彼は梟でもなかったし、技術も力も弱かった。体格は少しずつ大きくなっていったが、仕事を始めた頃は白くて細めでなんとも弱っちい、そんな印象が目立った。不意をつかなければ苦戦を強いられることもしばしば。正直言って向いてる仕事とは思えず、それがより一層彼が”頭”を継ぐことへの足を遠ざけていった。

そんな裏社会の進出もさながら、龍吉は学生としての日々も送っていた。「サボりがちな男子生徒」として一つ抜けていたところはあるが、見た目としては真面目そうで、彼自身物静かな方だったので一部の生徒から所謂ミステリアス的で魅力があると噂が立っていた。
年頃というものは変な問題を招いてしまうものだ。そして年頃というものはプライド、ヒエラルキーに過敏である。いや、後者は組織に関して言えば年代など関係ないものか。
とかく、噂は学内のヒエラルキー上位に影響を及ぼした。学業に懸命に励む層は、少し気にする程度だったが、素行の悪い不良グループ達などからは徐に目をつけられる事となった。

表立った事はなかなか起きないものだった。しかし、出席日数など、どうしようもならない問題が発生しきちんと登校しなければならない日々が来たのだ。それは、冬。そして今まであまり姿を見られなかった彼が毎日学校に来るようになった事で、一人の女子が声をかけてきたのだ。少女は決して、悪意で近づいた者ではない。かといってそれが(恋愛の意として)好意的、というわけでもない。近い感覚をいえばそれは”好奇心”だったと思う。その無垢な感情は龍吉にとって、面倒さよりも友好がまさったように思えた。

「多賀谷(たかや)くん・・っていうんだよね。うちって校則厳しくないで有名だけど、そこまで派手派手なのって結構ヤンチャタイプ?だよね。学校サボっていつも何してたの?」
興味津々だからか、彼女は次々に言葉を漏らした。小学生の頃から”家”に関することは全て隠すために誤魔化してきたので、こう言った類の質問には今更厄介とは思わなかった。この女子生徒に対しても、変に思われる事ないように合わせて言葉を返そう。そう思った矢先、
「あぁーごめん。あなたは誰ですか?だよね。多賀谷くん顔に出るタイプだ。ごめんね。井伊 真琴(いい まこと)です。マコトって呼んで。これはお近づきとか抜きで、苗字が嫌いだからです。」
はしゃいでいるかの勢いで名乗り上げられた。でもなぜかその言動にはしゃいでいる、といった素振りは不思議と感じさせなかった。丁寧に人と交流をしよう、寧ろそのような親切心すら感じた。
「俺は龍吉だよ、マコト。宜しく。その通り、サボりも上等な、”良い生徒”じゃないからあんまり関わらない事をオススメするよ?」
名前を呼ばれた瞬間、マコトは分かりやすく目を輝かせた。これもまた、下心などを感じさせない、純粋な喜びを感じさせた。
龍吉はよく観察し、推察できる人間だったので噂に関しても察知していた。だから、この善悪つかなさそうな少女を下手な揉め事に巻き込みたくないとフと思ったのだ。しかし、マコトの様子から彼女は噂のこともあまりわかっていなさそうだ。ただ、物珍しい生徒に対して世間話をしにきた。といった様子。

「いいねー、リュウキチからは浪漫のにおいがする。私と友達になってよ。」
『悪いけど・・』と言葉を発する寸前で、彼女の顔を見てしまった。この目の輝きは、恐らくこの歳になってくると難しくなってくるものだ。ここまでの澄んだものはだいぶ前に失っていたので、龍吉は圧倒されてしまった。拒みたいという頭の信号をぶった斬るかのようにして、心と体が自然か不自然か、勝手に首を縦に振ってしまっていた。
「気難しいタイプかと思ってた。ああ、嬉しい!」
嗚呼、喜んでいる。
複雑な心境などもうどこかに行ってしまった。純粋な笑顔に対してどこからか笑いが込み上げていた。笑ったことに対してまた、マコトは嬉しそうにしていた。

それから数日、マコトは何かと話しかけたりしてきた。龍吉はその様子で、薄々気付いていたことがある。恐らくこの少女は友人などがなかったんだろう。もしかしたら自分が最後の綱だったのかもしれない。だから、異性かつ噂の人ではあったものの関係なく介入してきた。かといって別に嫌ではなかった。自分を求めるものの一人として、大切にしようと思うぐらいには、少女に対して心を許してもいた。当然、家のことなどを暴露するする気は一切なかったが、それでも学校生活では一つの有意義であった。

龍吉はいつしか”噂”に関してのことを忘れていた。マコトは面白い人物だった。家族のことも次第に話された。父親が碌でなしである、とか、兄が不良で家にあまり帰ってこない、とか。母親は父親に従順すぎて期待できない、とも言っていた。

どうやらマコトの家は複雑かつ、あまり良い家族関係ではなさそうだ。だからこそ学校にいる間くらいは気楽にいたかった、それでも頼れる人はずっといなくて色々我慢してきたのかもしれない。
龍吉は自分にもできる事があるんじゃないだろうか?と感じていた。正直マコトのおかげで自分も同じように、家の事や仕事の事を忘れて気が楽になっている。彼女と過ごしている時間だけが、煩わしい問題を忘れさせてくれる。なら自分も同じようにマコトの気を楽にさせてあげられる人になりたい。

画像2

タイミングというものは妙だ。助けてあげたいと思ったところに、困難はやってきてしまうものだった。
とうとう不良が動いたのだ。相変わらずミステリアスな雰囲気を纏い、どこかその辺りの生徒とは違う空気を持った龍吉に目を付け、何かしようとした。だが、彼が纏っているその雰囲気は認めたくないが、”危険”そのものだった。これは命をかけた裏社会ではない。流儀も形式も様式美も何もない。
不良はマコトに目を向けたのだ。

奴らに入り浸っている女子生徒たちが口々に言い出したのだ。
「あいつ最近妙に調子よさそうだし、空気だと思ってたからスルーしてたけどさー、あのサボり魔とやけに親しげじゃん?なんか調子乗ってるよね絶対。うちらのこと見下してるっつーかさー」
「思った〜、絶対下にみてるよねアイツまじムカつくわ〜あたしらが気にかけてるの知っててやってるっしょ」
「それな!一回わからせた方がいいよねまじで」
こうしてマコトに対して女子の陰湿な”いじめ行為”が口火を切る。最初は些細なものだった。廊下をすれ違う際に矢鱈と当たるなど、マコトも気づかないようなものだった。
だんだんエスカレートしていくものだが、「井伊ってやつはいろんな男に手を出してる」「中学時代に万引きをして地元にいられないからこっちに引っ越して高校に入った」といった子どもじみた実に根拠のない噂を流したりした暁には、本人ないしは龍吉の耳にも届くようになっていた。
実害を加えるまでには少しだけ時間があった。その間、マコトは龍吉に対し「ヘンな恨みでも買っちゃったみたい」や「もしリュウキチにも影響があるようだったら絶対に許さないし、リュウキチだけは巻き込まないようにする!」と彼女なりの気遣いが先行していた。当然龍吉はこのことに対してかなりの怒りを覚えていた。初めての友人と呼べる大切な人が、根も葉もない噂を流されている。本当に信じているものなんてごくわずかではあるが、これが続けば確かに彼女に対して良くない意見が飛ぶだろう。中学時代にも似たような事象はあったので、よくわかる。

それでもマコトには不安を感じさせたくなかったから、いつものように振る舞った。これが一番彼女にとって望む形であると思ったからだ。しかし内心、必ず犯人に報いを受けさせて二度と関与できないようにしてやろうと思っていた。
ーーマコトがその事を察さないわけがなかった。
「リュウキチ。私はね、なんとも思ってないんだ。だってリュウキチが信じてくれてるから。他人に何て言われたって、私には信じてくれる親友がいるから。大丈夫なの。だから、ヘンな事しないでね」
続けて、こうも言った。
「もしこれでやり返したら、あんな人たちとおんなじになっちゃうから。」
マコトはどこか大人びていたんだと思う。これでいてどうして、他に親しい人物がいないのだろうと思うほどだ。大人びているし、とても強い。

この時、彼は彼女に恋をしたのだ。

ー13年前ー 春
やがて冬が終わる。そしてまた新たな季節がやってくる。春だ。
あれからマコトは少しだけ、痩せた・・いや、やつれたような様子に見える。
噂は絶えない。あの手この手の悪評が、次々に耳に入ってきていた。だが、それに対して多くは飽きてきた様子で、その効力は想像していたよりもあっけなく終息しそうだった。

面白くないのは不良達だ。相変わらず男達の動く気配はないものの、良い気はしていない。
そこにも女子達は一つ不服な要因となっている様子で、いよいよ次の段階に踏み出そうかとしていた。
もっと直接的なもの。そして、あの男をも揺すれるような”弱み”を。


心配をよそに、春は訪れてやがてクラス替えという一つの巨大なイベントがやってくる。
こればかりはどうしようもなかった。クラスは多いし、教師は生徒ひとりひとりを見る余裕もない。容赦無く、仲の良さそうな子たちが離れていった。そうだ、この二人もまた例外ではない。

「クラス、別になっちゃったね。」
「それも遠いなあ。ほとんど端から端じゃないか?教室。」

たまらない空気が二人の間にあった。(どちらかというと、龍吉はまだ心配が残っているようだ。)

「昼休み・・屋上こっそり行って一緒に食べる?」
そう言ったのはマコトの方である。基本的には規律をしっかり守るタイプの彼女にしては、かなり珍しい発言だった。思わず龍吉から笑いが零れる。
「それいいな。そうしよう。昼休み、屋上で。」
二人だけの秘密。それが二人をより一層強く引き寄せるようだった。二人は笑った。

それから二人は昼休みに毎日、こっそり屋上へ足を運んだ。
屋上は入り口手前にチェーン、南京錠など施されているものの、下ないしは上をくぐれば簡単に入れてしまう、意味のない設計だった。しかし念の為、誰かに見つからないように双方慎重に通っていた。立ち入り禁止であることはみんな知っていたからだ。(こういった場所はよく不良がいたりするものだが、不良たちは裏庭にいつも集まっているのが代々なぜか続いている。みんな知っている。)

クラスが変わって数日。おおよそ一月経とうかといったところ。いつものように屋上で弁当(マコトはいつも大きなおにぎりだけ。龍吉は組の下っ端がいつも作ってくれるので、おかずなどを少しわけてあげたりしている。)を広げている。
「リュウキチのクラスどう?友達、できた?」
「まさか。出来てたら、来んじゃろ。」
「えっ!嬉しいような、嬉しくないような、ヘンだなぁ。友達は作ってほしいけど、来なくなるのは嫌だよ」
「冗談だっつーの。万が一つ、ともだちみたいなのが出来てもマコトに会いにくるよ」
「よかった。縛り付けてるみたいで、ごめんね。でも、嬉しい。」
マコトは自身に対してどう思っているのだろうか。龍吉の笑顔は少しだけ複雑そうだった。
それに、複雑な表情をするのは他に理由があったのだ。
冬の間は”出席日数”を稼ぐために学校に来る必要があった。しかし、春になってまた仕事をするために、来ない日を作らないといけないのだ。とはいえ、勉学もあるので頭は学業を優先して良いと言ってくれていた。だからその言葉に甘える・・としても、やはりやるべきことはやらねばならない。マコトとのつながりも、もしかしたら高校を出たら断たねばならないのかもしれない。龍吉はそう考える時が、あったのだ。

「なあ、俺・・またちょっと休む日があるかもしれないんだ」
口が重かった。きっと、彼女に愛を告げるよりも重いかもしれない。そんなふうにも感じていた。何よりも、やっぱり龍吉には不良たちが不安材料だったのだ。
「え?どうして」
顔を見れなかった。いつも通り、何かそれらしい事を言えば済む話のはずなのだが、どうしてももう彼女に対して言える”言い訳”が見つからない。かといって、今このタイミングで突き放すのも違う。彼女にとって自分自身は、もう変えようのない支えなのだ。
家の事、話してしまえば楽になれるか。そして、納得してもらえるだろうか。

いいや、そんなはずはない。彼女は今こそ校則を破ってはいるが、規律に対して人一倍しっかりしている。自分が”犯罪者”と知れれば、きっと彼女はもう自分を見限ることだろう。そして孤独にしてしまえば、何が起きるかわからない。

狭間に苛まれた龍吉。マコトはそんな彼の様子をしっかり見ていた。
もしかしたらどこかで気付いていたのだろう。何か”人には言えない秘密を抱えている”と。
「うん。わかった。大丈夫だよ。龍吉がどっかに行ったりしないって約束してくれるなら。」
自然と彼女の顔を見てしまった。優しい微笑みが目に映った。
龍吉の心が、音を立てて崩れるようだった。申し訳なさは残るし、心配は募る。

でも、彼女の大人びた、芯のあるその姿を見て、安心を強く抱いたのだ。

「ごめん。ごめん。絶対会いに来るから。絶対。」
今はただ、それしか言えなかった。マコトは、喜んだ表情をしていた。
それ以上、深くは聞いてくれないでいた。尚のこと、彼女が好きになった。
でもその気持ちが高まれば高まるほど、自分の闇が憎く、彼女と距離をおかねばならない未来を嘆いていた。

ー13年前ー 夏
相変わらず仕事はこの世界の闇そのものだった。でも、不思議なことに容赦なく仕事は遂行できるようになった。どんどん表の自己と乖離していくようだった。偶に、この自分が彼女と笑ってて大丈夫なんだろうか?彼女を傷つけることがあるんじゃないか?と、自己への猜疑心から、恐怖を抱くことがある。

不定期だが会える日がお互い唯一の憩いの時間だったようだった。
その喜びが強すぎて、互いの心配がどこかに消えてしまう。そんな感覚だった。

「龍吉は別に貧乏そうでもないのに、携帯持ってないんだね」
ある日、彼女がそんな事を言った。
「携帯?」
「うん。携帯あったらメールとかでいつでも連絡できるのに、って思って」
その手があったのか、と龍吉はかなりのショックを抱いた。
しかしすぐに冷静になる。底にいる自分がダメだ、と言っていた。
携帯は足が付く。それに、彼女との繋がりが露呈すれば必ず危険に巻き込むことになるだろう。
「携帯かー、んー、親父がダメって言うだろうな」
「お父さん?厳しいひとなんだ」
しまった、と思った。つい家族の話に展開してしまった。しょうがない。ここは話に乗っておこう。でも、どうしてだろう。彼女に嘘をつこうと思うと、胸のあたりがチクチクしてくる。こんな事 前はなかったというのに。
「そ、そう。親父、厳しいから。」
厳しいのはあながち間違っちゃいないな。と、別のことに考えを切り替えて、なんとか心のざわめきを鎮めようとした。
彼女は「じゃあしょうがないね」などと言って、残念そうではあるがそこまで深掘りはしない様子だったし、一安心だった。後から考えたらそれが大人びた彼女の大きな気遣いだったに過ぎないのだが、そんなふうに思う余裕もなかった。

昼休みは稀に来る憩いの時間にしては実に短かった。
お互い部活もやっていないものの、帰りは別々だ。(龍吉の家は遠いので、学校から少し離れたポイントで迎えの車が来る。)本当に昼の休み時間の45分間だけが二人をつなぐ時間だった。

ある日。今までなかったことがあった。
屋上に着く時間は、互いに授業の関係もあってどちらが先かは日によってだった。
今日は昼休み前の授業が押していたので、龍吉は急ぎ気味で屋上に向かう。もちろん、人目にはついていない。だが、そこにはマコトの姿はない。
「マコトも遅いのか・・体育か?」
ふと思った事を口にしていた。その声も、風が流してしまった。少し天気も悪くなってきていた。雨がぴりぴりと降り出したので、入り口付近の屋根のある箇所に移動した。
そういえば今までやけに快晴が続いていた。が、雨の日もこれから増えるだろうな・・と、考えに耽る。遠くで雷がなっていた。彼女は、来ない。
孤独は恐ろしいものだった。嫌なことばかりが閃いて、この天気が尚のこと助長していた。

屋上から出て、マコトのクラスの教室に向かう。
ちらっと開いたドアから探ってみた。昼休みの賑わった教室。ドアに手をついて中をしっかり眺めるも、いない。
去年同じクラスだった男子生徒が目に入る。目立たないタイプ、そういえばよくカードゲームを持ってきて教室の隅で楽しむ声が聞こえていた。仲の良さそうだった生徒は違うクラスにいったのだろうか。本を読んでいる。ドアすぐ近くの席だった。
「山岸くん」
少し声を張って呼んでみる。確か、苗字はあってるはずだ。
「え?」
自分を呼ぶ声がしたので、とりあえず反応したという様子で本から目を離して後ろを振り向いた。不意だったから正確な位置まではわからなかったようだ。試しに手を振ると、まさかといった様子でこちらを見つめてきた。
「呼んだの、俺。聞きたいことがあるんだけど」
なぜかちょっと怯えた様子で席を立ち近づいてくる。厄介がっている、そんな雰囲気でもある。
俺の内心はそれどころじゃない。と龍吉は焦っているが、周りをみれば結構な数の生徒が不思議そうに見てきていた。こんな広い学校内でそこそこ有名人になっているようだった。そのことがより龍吉を焦らすのだ。
「な、なにかな」
「悪いな急に。井伊って子、このクラスだろ。今日休み?」
何か悪いものでも食ったかのような顔をしていた。あからさまに動揺している風だった。龍吉の語気が、無意識に強くなってしまう。
「なんだ、おい。何かあったのかよ!」
教室、廊下が一瞬だけ静まった。普段仕事でヤクザやチンピラと対峙しているのもあって、少し力むだけでも相当な圧をかけてしまう事を知っていたのに、その瞬間だけ忘れていた。目の前の少年は、泣き出しそうな顔をして俯いていた。
「お家の事情かなんかで休み・・・・だよ。ず、ずっと。じゃ。」
俯いたままそう言い切ると、顔も見ずに席に戻って再び本を開く。いろんな思いが逡巡している間に、教室のざわめきが帰ってきて、「ひでーな恐喝か?」「やっぱり不良だったんだ・・」「あの子かわいそー」「あのキレ方やべえって、絶対ヤクザの血引いてるよあれ」と言った声が混ざっていた。
ぽつりと「悪いな」と呟いて、その場を去った。その日はもう授業に出る気にもなれなかったので、早退する事にしたのだった。

自分は彼女の事をあまりにも知らなさすぎる。家の場所も、休みの日になにをしているのかも。
学校生活のことも、あまり自身のことは語らなかった。
どうしてもあの少年の様子が気になっている。彼女の名前を出した瞬間に、まるで禁句を言ったかのように・・。
本当に家の事情なのだろうか?その可能性はないことはないかもしれない。複雑な家庭環境だったから。もしかしたら、もう会えないのかもしれない。そう思うと、悔やみきれない。せめて心に残った想いだけでも伝えていたら良かった。
不安だけが膨らんで、その日は食事も辞めた。何もできない自己に腹を立てるばかりだったが、翌日を待つ事にした。
もし、明日もいなかったら教師を問い詰めよう。一応不良達もだ。無関係とは限らない。

眠れぬ夜を超え、朝が来る。
雨が、絶える事なく降っている。

沈んだ空がまるで己の心中の映し鏡のように見える。

朝、彼女の教室の前で待っていてみようかとも考えたが、昨日の事を思うとあの少年にも申し訳なさがあるしそれは辞めておこうと決めた。
職員室に向かう。朝礼をしていた。とても聞けそうな空気ではない。
朝練を終えたであろう生徒が部室の鍵を返しに横切る。不思議そうにこちらをみていた。
恐らく、部長だろう。先輩だ。
「誰か先生呼ぼうか?」
えらく親切だった。背も高い。龍吉も頭ひとつ抜けているものの、負けない背の高さだった。
「いえ。大丈夫です。ありがとうございます。」
「顔色悪いね。保健室か」
「いえ、違います。すみません。」
「何も謝らないで。無茶するなよ。そろそろHR始まるから、教室行きな?」
そう言って彼は足速に職員室前から去っていった。彼の汗の匂いすらも爽やかだった。仕方がないので、教室に向かった。少し足が重い。途中でチャイムが鳴っていた。

昼休みがきた。とりあえず屋上に向かう。いたら、それでいい。
気が逸る。外では雨がザーザーと騒ぎ立てている。扉を開ける。雨のにおいと音が一気に広がる。

人影が奥にひとつ。傘をささず、一目でびしょびしょに濡れているのがわかる。
扉側に背を向けている。長い黒髪。いつもとは違って髪を下ろしていたのだが、俺は確信した。
「マコト!」
無心で走り寄る。後ろで屋上の入り口の扉が大きな音で閉まる。声か、その音か、判らないが目の前の人影がゆっくりこちらに振り向いた。
俺の足がぴたりと速度を緩めた。

目の前の顔は確かに、マコトだった。
しかし、頬には大きな痣、おそらく前髪に隠れた額の方もだ。
だが、それよりも一番痛々しかったのは首元の絞首痕だ。

「龍吉。心配かけてごめんね。昨日、」
気がついたら龍吉は彼女を抱きしめていた。強く、強く。
「痛いよ」
その言葉は確かに耳には届いていたが、それどころではなかった。想いが、何かが込み上げて彼女を離さなかった。龍吉の頬にとめどなく流れるものは、雨の粒か否か。ただ、何も言えず抱きしめていた。雨の音が強く屋上のコンクリートをはねている。
観念したように、離れることは諦めた彼女が今一度口を開く。
「昨日ね、一年の時一緒のクラスだった山岸くんがメールくれたの。彼、去年委員長だったから、クラス全員のアドレス知ってて・・。それで、教えてくれたんだ。多賀谷さんが君のこと酷く心配してるって。」
「・・・誰がこんなことをしたんだ」
「だから、私、こんな姿見せたくなかったけど、きたの」
「誰がこんな事をしたんだ!!」
「・・・・・・・。」
雷鳴がまた空を覆った。梅雨の時期、空模様は不安定の日々だ。沈黙が続く。彼女を離してその手を握り、屋根の場所まで連れて行く。入り口に放り投げた鞄からスポーツタオルを取り出して、髪を拭く。すると「あとは自分でやるから大丈夫」と言って、タオルを受け取ると顔をそっぽ向かせ、髪を拭いている。
「お父さんが、お母さん殴ったの。止めようとしたら私も殴られて、で、今度はお母さんが止めようとしたんだけど、止まらなくて。そしたらお父さんが生意気だって、それで私の首を絞めようとした。お兄ちゃんが珍しく帰ってきてね、お父さん蹴り飛ばして止めてくれたんだ。で、落ち着いたの。お兄ちゃんが警察に突き出せっていうけど、お母さんが絶対にやめて、そんなことしたら死んでやる!って今度は騒ぎ出しちゃって。もう疲れちゃった、だからもうそれでいいよって。お兄ちゃんはふざけんなって私を連れ出そうとしたけど、本当に疲れちゃったからそのままその日、寝たの。お兄ちゃんずっと家にいてくれて。お父さんずっと部屋の外で私に謝ってた。せめて顔の痣が引いたら学校いこうって、思ったけどメールみたら来なきゃって思って、お昼だけこっそりきちゃった。でも、余計に心配させるだけだったね。ごめんね。」

何も言えなかった。


「・・・・・・それでね、今日はお別れ、いいにきたの」
鼓動が速くなる。体が熱い。今なんと言っただろうか?
「お兄ちゃんが今朝、結局警察に通報して、お父さん今取り調べ受けてる。」
「引っ越すのか」
「・・・・・・・・・・・・・うん。お母さんの実家の方に。」
重い。重い。重い。時折、雷が世界を光らせた。眩しい。
裏の自分が、何かを言っていた。もう聞くのも億劫だった。

『このまま何も言わずに別れてやるのが一番だろう。お前は彼女の父親と変わらない。いや?むしろもっと最低な人間だ。』

もっと早く、想いを伝えていたら変わってただろうか。
彼女の家を知り、駆けつけられていたら。
いいや、その方がもっと不幸を招いたかもしれない。
恐らくそんな現場をみたら、俺は彼女の父親を間違いなく・・・。

沈黙の空間で、彼女は気がつくと俺の身体を拭くようにタオルをあてがっていた。
目が合う。彼女の目からは大粒の涙がボロボロと落ちていた。そんな表情も、とても痛々しい傷が合わさってより一層悲劇を物語っている。

「でもね、心配してくれたのが本当に、本当に・・・・・・・・・・・・・・。・・・・・。ほんと、嬉しかったの。沈み切った気持ちが、軽くなったの。だから、助けてくれてありがとう、龍吉。」

彼女は微笑んだ。





こうして、多賀谷龍吉の最初で最後の恋が、終わった。


ー11年前ー 春
マコトはその後すぐに引っ越した。母親は東京の方に実家があるそうだ。
最後にメールアドレスを書き残した手紙をくれた。手紙の中には、「エビピラフがおいしかった」「龍吉の家の麻婆豆腐が食べられないのが嫌だ」「リュウキチが選ぶ道ならなんだって応援してる。でも、無理だけは絶対にしないで。約束。」などと書かれていた。でも、住所は書かれていなかった。

高校は無事卒業できる。実は大学ももう決まっている。
親父が大学生活は流石に、と、携帯をくれた。注意事項もいろいろ教わった。
真っ先に、書かれたメールアドレスにメールを送った。でも、返事はこなかった。いや、違う。来られないように設定した。

『マコトが選ぶ道ならなんだって応援する。無理だけはしないこと。心から幸せを祈る。 🦉』



大学に入る頃にはもう、髪は殆ど白くなっていた。俺の体質らしい。
夜に獲物を狩り、白いシルエットが特徴ーー。
裏の世界では”梟”ーー。
そう呼ばれていた。幸福を呼ぶ鳥、とも言うらしい。縁起でもないと思うが。


ー??年前ー
大学は順調だった。しかし、親父が急に病に伏せてしまった。
あっという間にその命は削られていった。
最後に言い残された言葉は、「あとはお前の好きなように生きていけ。"自由に生きろ"」だった。

大学を辞めた。
俺は東京にきた。

表の世界で生きることは無理だと悟っていた。それに、今更表で生きるつもりもなかった。
梟の噂は闇の世界で蔓延っていた。こんな遠い地でも、まさか知れ渡ってたとは。

人探しなどはしなかった。ただ、もし、見つけることが出来たとしたら、相手に知られずしてどこかで静かに見守っていたい。干渉はしたくなかった、ただ元気な姿が見られればそれでいいと思った。

都会は人でごったがえっていた。こんな地で人探しなど、あまりに無理難題だとすぐに理解した。
陽射しが煩い。どこかに森はないだろうか。その近くに住もう。
組の連中がツテのある住処をいくつか紹介してくれた。そういえば親父が依頼を受けていた組織に紹介してくれていたので、そこにも挨拶しなきゃいけない。なんなら住処もそいつらが用意してくれそうなもんだ。

足元に誰かの携帯が落ちてきた。拾おうと屈んでいると、
「まこと!お前また携帯落としたぞ」
目つきの悪いお兄さんが慌ててこっちに来る。前方にいるであろう「まこと」はもう遠くにいったのか、スクランブル交差点の流れのままに姿も見えない。手元の携帯を見た。フクロウのキーホルダーがついていた。
「すみません!ありがとうございます!」
「いえ。あの」
「あーー!まこと!待てって!どこいった!」
信号が点滅し、やがて赤になる。目つきの悪い青年もまた向こう側へ行った。俺はすっかり取り残された。じきに青年の姿も見当たらなくなる。
追いかけようかとも思ったのだが、やめた。

『ふくろう、好きなの?落書きしてる』
『え、あーー、うん。』
『そうなんだ!奇遇だなあ、私も。ほら、見てこれ。』

『多賀谷(たかや)くん・・っていうんだよね。うちって校則厳しくないで有名だけど、そこまで派手派手なのって結構ヤンチャタイプ?だよね。学校サボっていつも何してたの?』

その時、思い出した。初めての会話を。
そうだ。そうだった。

既に時は遅くもう見る影もない。
踵を返して、駅に向かう。

梟は幸福を呼ぶ鳥。
俺は梟。多賀谷 龍吉だ。





/////////////////////




あとがき。





はい。ということで、スピンオフ書いちゃいました。
kurokawaです。

色々あえて詳しく書かなかったりしてます。
あっさり進むな〜と思われたかもしれませんが、考える余地というものです。解釈は好きでいいと思うのです。
ムロン、ちゃんと読めば書かなかったところで何が起きていたかはわかる様にしました。これで伝わらないであれば100%私の拙い演出力のせいです。

この多賀谷龍吉という男は、現在「殺屋と首輪」という、めいねん様作のキャンペーンシナリオに参加中です。参加シナリオ自体はネタバレの禁止部分も多いので何も言えないのですが、まだキャンペーンの途中なので、もしかしたらこの綴った話が別次元に行く可能性もありますね。
今回このような文章を書いたのは、ただの手癖です。
キャラクターのバックボーンを選ばれた職業などから考えるのは探索者の皆さんがやっていることかと思いますが、今回の彼はそれが色々勝手に繋がっていって、
「ちゃんと恋をしていたらいいなー」とか、
「昔は冷静でなんなら弱そうだったら面白いなー」とかってなんとなく思った描写を書こうと思ってたら、気がついたら切ない話ができてました。

”アルビノ”に関しても完全に後付けですね。知ってる芸人さんにたまたまアルビノの方がいらっしゃったので、すぐに思い付いただけなのです。
なんとなく髪がグレーっぽい感じで作っていたり、”梟”が先行してただけですが、森の中が好き、夜行性、から肌も白めに作ってたので、これはもしかしたらもしかするんじゃないか・・という、作者の妄想だったり。目が悪いのは綴ったのですが、実は龍吉青年は黒目に見えるカラコンしてるんじゃないか!?なんて思ったりしてます。そこまでする必要あるのか・・??w

画像3

シナリオ中は30歳前後(29歳スタート)の龍吉くんなので、XX年前、はそこから考えてます。その後、マコトに会えたのでしょうか?会えなかったままなのでしょうか?また、会えるのでしょうか?それはこれから分かることですね。でも彼は会いたいとは思ってないでしょう。でも、心のどこかに未だ繋がりを感じているのだと思います。

「真琴」という名前も、語感と字の見た目だけで決めました。
でも、今考えると”規則正しい”性格に勝手になりましたし(笑)(意図せずしてこうなった)、「マコト」という意味を思うとピッタリでしたね。カタカナ表記だったのも、単純に気分だったのですが、それがより一層彼女の生き方を示すようになってしまいました。”誠”はさすがに男の子っぽすぎるかなーとか思ったりしたので、この形が一番美しく決まったんじゃないかな、と。

半日仕上げのスピンオフだったのですが、特に内容を妄想してから作り出したわけでもなく、文字を打ってたら自然とこの流れができました。マコトにしたって姿形も思いついてない見切り発車だったのです。不思議ちゃんで書こうと思ってたぐらいだったのに、しっかり芯のある大人びた面が印象的な子になりました。
この辺も、高校時代の友人が、中学生の頃に周りより大人びた考えをしていた故に友達が出来ず、学校に通うのもバカらしくなってしまったという話を語っていたのを思い出して「孤立」をマイナスに捉えないような子はカッコいいかもしれん、なんてところから少しずつ構築しました。でも、惹かれたり心のどこかで気にしてしまう要素を思うと、どこかに闇を含ませたくなってしまう・・。
それに、ハッピーエンドじゃないと確信していたので。こういう結果となってしまった次第です。

あえて詳細や描写を入れなかった点についてはあとがきでも触れずに終わろうと思いますが、最後に、こんなことがあったらいいなシリーズ。


画像4

バレンタイン、高校一年・冬だととても入れられる空気がなかったのですが、
もしかしたらあったかもしれない。二年で入れようかとも思ったけど、もう引っ越してしまったので、本当にあったらいいな、である。


画像5

二人に幸あれ。




使用させて頂いたpicrewの各メーカー様
아홉시오분 by BIYAGI 様
妙子式2 by 妙子 様
ストイックな男メーカー2nd by やすばる 様
좜깐만~~~ by 까리 様
なさや式CPメーカー by nasaya 様
                     感謝します!


スピンオフ、多分他のキャラでも絶対作れるな・・。


kurokawa on Twitter

Main @kurokawaaaaa

画像6

Sub TRPG etc... @usuke_kurooooo

画像7

拙い文章でしたが、ここまで読んで下さりマコトにありがとうございます!
もし気に入って頂いたり、良かったらいいね、残してくださいませ!
ではまた!感想文or別のPCの・・?でお会いしましょう。


kurokawa

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?