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地方移住。能力を高めてから行くのか、早く行くのか問題~27歳のアナタへ~

ここ最近、このテーマの相談がとても多いのです。
「U(I)ターンしたいんですけど、いまの自分は地方に行って貢献できるとは思えないんです。だから、もう少し東京で(都会で)修行してから帰りたいと思ってるんですけど、でも、若いうちに行ったほうがいいのかなとも思っていて・・・」

いや、ここ最近じゃないや。私が名寄にUターンしてから、ずっとですね。
今は活躍しているあの子も、この子も、このお悩みを抱えて、大した解決もできない私に相談してくれました。
なぜか、みんな27歳なんですよ。なんでしょうね、これ。

まあ、自分も振り返ってみると、27歳あたりが転機だったかもなぁ。
最初に就職した出版社を辞めて、CSR・企業ブランディングの企画編集会社に転職したは28歳。就職してから5~6年経って、じゃあ次どうする?のタイミングなんですね。
ちなみに私は3年くらい前に、札幌のゲストハウス経営をしている河嶋峻と、「20代の地方起業、30代の二拠点生活」というテーマでトークセッションをやったことがあります。

ということで、27歳のクロイリエが冒頭の悩みを抱えて私のところに来たらなんて答えるかな、と妄想してみました。木下斉さんとか、どっかに書いてそうだけどね、このテーマ。
(あ、20代30代って区切ってるけど、当然「人によります」からね。一般的にって感じで読んでもらえると。あと、どちらかというと就職するっていうより、独立するっていうイメージです)

■20代の移住のメリットデメリット

私に相談に来る人は「どっかに就職して~」と思ってない人が多いので20代の移住は、起業というテーマで書きます。

<メリット>
・地方で何か始めたいとなったら、早いに越したことはありません。よっぽどスゴイアイデアを持っていない限り、誰かに先にやられます笑
・「おー若いもん頑張ってるな~」と見守ってくれる人が30代移住者より多いかもしれません
・バカのふりができます。「ぜんっぜんわかんないっす!教えてください!」と聞きに来てくれる若い子は、かわいいんですよ★ついついいろいろ教えてあげちゃいます
・事業創造→安定(定着)やら、地域活性やら、コミュニティ形成やらの分野は時間がかかります。なので、早く始めたほうがいいです。
・仕事がないので、他にやることがなくて(笑)、起業に向けて集中してとりくむ時間があります

<デメリット>
・スキルがない
・金がない
・人脈がない

■30代の移住のメリットデメリット

こちらも、フリーランス、起業、副業とかのイメージです。

<メリット>
・スキルと人脈があるので、まずは金を稼ぎながらちょっとずつ地方に拠点を移すことができます
・考えていることをカタチにしやすい
・都会と地方のつながりや広がりが作りやすい
・本気度が高いと思われるので、街のキーマンやキーとなる団体との接点が早くもてる、かもしれない

<デメリット>
・都会の仕事から足を洗えなく(笑)、時間がなくなる
・本当にやりたいことに向けて、ビクビクしながらも集中して本気で時間をかけて邁進することができなくなる(なぜならお金稼げちゃうし)
・地方の方々の嫉妬の渦に巻き込まれる(私はそうでもなかったけど)
・30代後半からの移住だと、2拠点生活ほんと疲れる

こうやってみると30代のほうがデメリット多そうですが、「稼げる、当面の生活に困らない」っていう部分はけっこう移住の根幹なので、やっぱりメリットも大きいですね。

■30代の2拠点居住について。私の場合。

私は「30代の2拠点居住」だったわけですが、私自身は2拠点居住・多拠点居住をおすすめしていません。
移住1年目、収入の99%が名寄の外で、80%が道外だったので、私は東京にも拠点を持っていて、1年のうちの半分を東京で過ごしていました。

その結果なにが起きたかというと、
地域でやりたいことができない理由を「東京で稼いでいるから」として、
東京での仕事に集中できない理由を「私がやりたいことは地域のことだし」としてしまったのです。2つのどちらも、できない理由をもう片方のせいにしてしまう。

そう、

2拠点居住って、アタマもカラダも情熱も、ぜーんぶ普通の人より飛びぬけてないと、できないんですよ。

地方で活躍してる、メディアとかに出る人って二拠点居住が多いけど、あれ、地方移住者のデフォルトじゃないですよ。あれやってる人って、かなーーーーり優秀な人です。正直、体力もかなりないとできません。私は親に感謝してるくらい体力のある人間ですけど、それでも1年目の半々はキツかったです。

それに気づいちゃった私は、いまも東京の仕事はできるだけ減らす方向でいて、月に1回弱の東京出張となる、1-2つのクライアントに抑えています。(本当は出張をもっと減らしたいけど、東京の仕事って稼ぎがいいから1本あるとめっちゃ収入安定するのよね笑)

ま、30代の移住はフリーでやるにしろ起業するにしろ、20代のそれより安心感あるかもしれません。家族がいて収入が…という場合は別ですけど(その時は毎月の生活費をリアルに計算することで解決したりもします、都会より生活費抑えられるから)。

※私のようにソフトな部分のスキル(営業とかコンサルとか編集とかファシリテーターとか笑)の方は、一つのスキルで稼ぐのは難しいと思ってください。地方って、このあたりの仕事がまとまってあるわけじゃないので。
一つの仕事で月3~5万円×5本、っていうイメージでいたほうがいいです。
あと、コンサルで稼ぐにしろ、アナタはなんのためにその仕事をするの?ということが都会以上に求められます。金を稼ぐためじゃないよね?それなら東京のほうがよっぽど稼げるので。
アナタはそのスキルで、どんな街を創りたいのかを考えてくださいませ。
あと、地方に行ってコンサル業のみってつまんないですよ。だって、コンサルって自分で手を動かす人じゃないからさ。なので、私は(金にならない)コミュニティスペースも運営して、自分自身を「現場の人」に置いてるんですね。

■20代の地方起業について

これはねぇ、なんとも言えないんですよ。うまくいくとかいかないとか。
私がいつも例に出すのは大学卒業後にすぐ札幌に移住して起業したステイリンクの3人(←リンク先見てみてください)で、昨日もこのうちの一人のリョーヘイが「早く帰って、やりたいこと始めちゃったほうが絶対いいですよ!!!!」と力説してましたが、

結局ねぇ、この3人、能力が高いんだよねぇ(爆)

だから、起業して(たくさんの失敗も経て)成功してるんですよ。

ただ、彼らがやっていることの内で、誰にでもできることは、
・知らないっていうことが当たり前!と思う
・めっちゃ調べまくる、読みまくる、聞きまくる
・人と対話してさらに知識と考えを深める
・教えてくれてありがとうございます!と感謝する

かな。
彼らはいろいろと秀でてるんだけど、この部分の能力が特に優れていました。

彼らと出会ったころ、当然去年まで大学生だったわけだから「あれ?こんなことも知らないの?」と思うこともありました。だいじょぶかな?と。
でもね、次会った時には私よりも知ってるんですよ。
で「黒井さん、ここどう思います?」っていう質問にもはや答えられない。

人とのお付き合いもそうです。
30代になると、なんか遠慮しちゃったり、「きちんと整えて・・・」とか思っている間にトキが過ぎてしまうんだけど、彼らはどんな人に対しても「初めまして!よろしくお願いします!」と元気よくアプローチしてました。
これ、ほんとにねぇ、地方に移住するときに基本なんだよね。
私は1年目、ほとんど名寄にいなかったんでこれをしそびれたまま、やりきれないまま、今に至っちゃいました。(これ、いまだに失敗だったなって思ってます。まあ、もう取り返しつかないけど)

■ということで、結論。

どちらがいいか?問題は、どっちでもいいと思います。ただ、
20代でも30代でも能力は高めてから移住したほうがいいです。で、

30代の能力→仕事のスキル・人脈。
20代の能力→人間力。

20代で地方に行ってもいい。でもその時に問われるのは仕事のスキルじゃなくて、人間力ですよ。人間力を高めてくださいませ。
(いわずもがなですが、30代だって人間力がないとダメですよ。その上の仕事のスキルと人脈です・・・とここまで書いて、じゃあ私に人間力があるのかと問われるとそうでもないな・・・と、思える謙虚さが人間力なんだと思いますっていう無限ループに入りました)

という条件を満たしたうえで、「まちづくり」「コミュニティ形成」みたいなところに関わりたいなら、地方は早く行った方がいいと思います。
(逆に言うと、まちづくりとか興味なかったら、早くなくてもいいかもしれないです)
2014年にUターンした私ですら、「地方移住」という文脈でいくと後発組だなと思ってましたから。実際、道北地域では私がUターンする3~5年前から移住して活躍している同世代の人たちがいて、彼らがいたから割とラクチンな道を歩みながら、彼らと共に地域へのアクションを取れました。
「あー考えていたこと既にやられてる~」っていう悔しさはあったけど、まあ、その上に積み重ねられるんですから、本当に感謝。楽させてもらいました。ありがとう。
なので、みなさんが「地方に行ったらこんなことしたいな」と漠然と考えていることは、たぶん既に地域おこし協力隊がやっています。

■経験を積むっていうこと

誰もが、いつでも、人生の旅の途中なんです。
移住したら、そこでアガリ!じゃなくて、そこがスタート。
なので、移住したいなと思ったら移住して、いろいろ経験して、都会に戻りたいなと思ったら戻ればいいんじゃないでしょうか。
「故郷に錦を飾る」っていう時代でもないでしょうし、地方行ったらそこにずっと永住っていう時代でもないでしょう。独立してうまくいかなかったら、会社に就職したらいいんです。地方の会社に就職してから独立でもいいんだし。もっと自由に住んで・生きて、いいと思いますよ。
時々流されて、時々棹を立てて。ずーっと流されていると10年後くらいに「あれ?」と思っちゃうんで、棹(27歳にこの表現通じるかわからんけど)は手放さないほうがいいとは思うけど。あ、別の棹に持ち替えたりとかそういうのは起きるけど。

「経験を積む」
経験って、どこにいたって、積めるんです。

東京にいたら東京でしか積めない経験が、地方にいたら地方でしか積めない経験が積めます。

ただ残念ながら、人生の山は一つなんで、二つの経験を同時に積めないっていうだけです。
かつ、積まれる経験が、良質な経験か、普通の経験か、悪い経験か、どれになるかはアナタ次第なんです。

早い方がいいと言いつつ、私はいろんな経験を東京で積んでから帰ってきてよかったと思っています。営業と編集のスキルしか持っていなかった27歳の私ではできなかったであろうことが、今たくさんできているから。
一方、リョーヘイたちのように、早くチャレンジして先駆者になっていくっていうのもいいんだと思います(こちらの方がハードだろうな、とは思いますが)。それもいい経験だよね。

いやー長くなっちゃった。
二日酔いで書く、だぶん。

※以下余談
これは感覚、地方に関わり始めた私のたった5年ほどの感覚でしかないけど、「経験を積んでから地方に」と言っている人で実際に経験を積んでから移住した人って、1-2人くらいしかいません。
その経験を積んでから移住した1人は、「タウンマネジメントがしたくて、いろいろ調べたら、第一線で活躍しているタウンマネジャーはだいたいコンサルあがりだと知ったので、コンサル会社に就職しました」と言っていた子で、私と出会った2年後くらいに地方に移住しました。
「どんな経験を積むか」を明確にせずに漠然と「経験を積む」と言っているだけだと移住に至らないみたいですね。

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