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「これって解雇ですよね?」

みなさん、こんにちは。
労基署にいる社会保険労務士、黒田英雄です。

ちょうど年度が替わるこの時期は、労働契約の更新についての相談が多くなります。
1年の期間雇用を繰り返している方などは、新たにまた1年継続されるかどうかが決まった頃でしょう。

自分の希望がかなわずに契約が更新されなかった労働者は、相談にいらしてこう訴えます。

「これって解雇ですよね?」

厳密に言うと、これは解雇ではなく「雇止め」と言います。
期間の途中に契約を打ち切られるのは「解雇」ですが、期間満了ということであれば、更新されなければ契約は終了します。

しかし、契約を更新しないことが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、この契約は更新されたものと見なされます(労働契約法第19条)。
つまり、合理性のない雇止めは認められず、契約は継続していますよということです。

解雇についても同じように定めがあり(労働契約法第16条)、雇止めも解雇も合理的な理由がないと認められません。

雇止めの理由に合理性があるかどうかは、残念ながら労基署では判断できません。
労基署はあくまでも「労働基準法」の違反があるかないかを監督する機関だからです。

この場合は、労基署の窓口でも申請できる、労働局の「助言」「あっせん」という制度を使って、自主的解決をするよう会社に話し合いを求めます。
それでも解決しない場合は、裁判で白黒つけるということになります。

ちなみに期間雇用は1年と決まっているわけではないので、2か月や3か月、半年といった期間で更新している方もいると思います。
過去に反復して更新されたことがある契約であれば、個々の期間の長さに関わらず対象になる可能性があります。

新型コロナウイルスによる影響で、これから解雇も雇止めも増えていくと予想されます。
もちろん会社も大変ではあるのですが、それを労働者がまるまるかぶる必要もありません。

もしも自分の身に降りかかってしまったときは、早めに専門家にご相談くださいね。

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ラジオレギュラー「ろうどうステーション」
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※写真はインスタでアップしているものです。
kuroda_hideo(黒田英雄)で検索してみてください。

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