角館

明治以降の才覚で残った武家屋敷/公家出身だった殿様が残した京文化/仙北市

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 全国の古い街並みを残すために、重要伝統的建造物群保存地区(通称:重伝建)という制度がある。角館はその最初の指定地7か所のうちの一つだ。長野県の妻籠宿や合掌造りの白川郷と同時といえば、その位置付けがわかるだろう。
 江戸時代そのままの街路、黒塀の道。シダレザクラ並木や紅葉も美しく、かつての武家屋敷跡にはカフェなどもあってゆったりできる。
 しかしこの街並みが残ったのには、角館独特の事情がある。武士というと一般には明治以降没落したイメージだが、角館では違った。江戸時代にサラリーマン化していた武士が多かった中、角館では自身の領地を持ったまま明治維新後も地主となり、それを元に山林事業や地方の有力者となる家が多かったのだ。
 例えば青柳家という武家は、当初60石、幕末でも100石という決して大身の武家ではなかったが、明治以降は成功して現在見られるような大きな敷地に屋敷を広げ、角館町長など輩出する地元の名家となった。そうした武家が数多くあった結果、今のような武家屋敷の街並みが残った。
 そして重伝建指定後は、街並み維持、修復のために毎年多額の費用をかけてきた。電線を地中化し、建物や塀の造りを揃え、空き地には武家屋敷風の施設も建てた。こうした努力あってこその歴史的街並みなのだ。
 残念なのはそうした努力で素晴らしい観光地になっているのに、平成の大

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