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「下山千歳白菜発祥之地」

新種野菜だった白菜を改良

★ジャンル【農業】
★場所 世田谷区北烏山9-1-38
★最寄駅 京王線千歳烏山駅

★碑文
「下山千歳白菜の由来 下山千歳白菜の育成者下山義雄翁は、父下山吉太郎氏、母フデ刀自の児子として大正2年10月20日北多摩郡千歳村に生る。下山家は北烏山の旧家で代々精農家である。旧千歳村一帯は早くから東京市場向け野菜産地として発展、中でも秋収穫する白菜は栽培が多く、市場で千歳白菜と呼び著名であった。白菜は明治中期に中国より渡来、明治末から大正初期に全国に普及、東京各地にも白菜栽培が始まった。しかし、白菜の作付け増加と共にウイルス病、軟腐病等の病害が増え白菜は病気に弱く栽培の難しい野菜とされ栽培者の悩みであった。翁は昭和3年学を卒え就農、白菜栽培の将来性に着目、白菜栽培と同時に品種改良に着手した。研究心旺盛で当時栽培の主要品種であった芝罘系白菜に包頭系との自然交雑の中より品質形状良好な固体を選抜中、たまたま昭和8年ウイルス病が発生、附近の圃場に著しい被害が発生したが、この白菜のみ2割程度の被害に止り、ウイルス病に耐病性があることを知り、更に軟腐病の発生する圃場で繰り返し栽培、その中より病気にかかり難い固体を年々数十株選びだし、これを母体として集団採種、改良を続け逐にやや晩生であるが強い耐病性品種を育成した。なお、昭和19年より21年の間は兵役のため中断したが、21年復員し帰農して再び白菜栽培に取り組んだ。下山千歳白菜の最大の特徴はウイルス病、軟腐病に対する耐病性で、現在も耐病性品種の親として使われている。昭和25年秋東京都下の白菜産地は かつてないウイルス病の被害を受けたが下山氏の圃場はわずか15%の被害に止り、翌26年は軟腐病の被害が著しい年であったが、下山氏の5カ年連作圃場は、独り本種のみ軟腐病発生が15%に止まり他品種に比較し断然強いことが証明され、東京都農業試験場長松原茂樹博士等の勧めによ農林省に種苗登録を申請、昭和28年7月種苗名称登録第65号として登録された。下山千歳白菜の育成により白菜栽培が安定し、当時の白菜栽培農家に大きな福音を与え下山千歳白菜は全国に普及した。その功績は多大である。下山千歳白菜の特性は外葉稍濃緑色、中筋は白色で幅広、結球は砲弾形状をなし、頭部は包頭系に近くよく抱合し、芝罘と包頭の中間品種、結球内部はよく軟白し、締まり結球共に良好、品質柔軟風味良好、播種後収穫までの生育日数約90日とやや晩生であるが早蒔に耐え、一個重量4kg前後、収穫時の結球丈は40cmでやや大型である。また、結球後の耐寒性強く貯蔵性に富む。翁は白菜以外の一般野菜の栽培にも優れた経営手腕を発揮、地域の範とされていたが、近年農業経営の基盤を縮小し、一方屋敷林を貴重な市民緑地として地域に開放された。環境の重要さが強く望まれている今日、屋敷林を広く区民に開放され区民に憩いと潤いを与えていただき、下山家は近隣住民より親しく敬慕され感謝の念にたえない。ここに翁は米寿を迎えるに当たり記念碑を建立。翁の永年にわたる功績を讃え、大場啓二世田谷区長より、揮毫をいただいた。また、その功績を後世に伝えるため「下山千歳白菜の由来」を当時城南地区担当農業改良普及員として普及活動に従事した縁を以て経過を収録した」

★解説
 千歳烏山駅の北口を出て、北へ向かう烏山通りを甲州街道を越え10分ほど歩いた左側に「北烏山九丁目屋敷林市民緑地」という個人宅の緑地を開放した場所があります。その入り口奥に設置してあります。
 しかしこの発祥の地紹介史上、記録的に長い碑文です(笑)。これを読んでいただければもうすべてわかるような・・・。というのなんなので少し補足します。
 現代日本のほとんどの方はハクサイは日本の伝統野菜、と思っていると思いますが、実は数ある野菜の中でも日本での白菜の歴史は新しいものです。入ってきたのは明治の終わりで、人気が出て栽培が増えるのは大正以降です。ジャガイモやトマトより新しいのです。
 その要因の一つに、他の種との交雑が簡単に起き、品種としての安定性に欠ける、と言う面がありました。似たような野菜は以前にも入ってきていたようなのですが、すぐに他の種と交雑して「ハクサイ」として日本に定着できなかったのです。
 ハクサイはアブラナ科ですが、この科の野菜には他に大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、ルッコラ、わさび、クレソンなど非常に種類が多く、姿を思い浮かべると「同じ仲間なの?」と驚くと思います。それぐらい変異が大きく速いのです。
 しかし使い勝手がいい野菜ということで人気が高まり、その将来性を感じ

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