百貨店の進化

この本のメモ書きです。


百貨店を通して社会の進化が見える

社会の変化に最も敏感に反応するのは小売業、小売業の変化を調べることで社会の変化の深いところが見えてくる

B2CからC2Bへ
百貨店らしさとはなにか?
古くからある「お帳場」はその一つ。富裕層や優良顧客への特別なサービス。
これはまさしくC2B。1人ひとりの消費者にビジネスが対応していく

オフラインからオンライン
オンラインでつながる事でC2Bがさらに強化される

■百貨店の課題
・売上高の減少 百貨店の売上高は1991年の9兆7000億をピークに、2016年まで下がり続け約6兆。ただ2009くらいから横ばい
・これは小売業の売上が落ちたのではなく、百貨店のシェアが縮小している

B2CのEコマース市場規模
・物販系 8兆43億円  ※Eコマース化率が5.43%
・サービス系 5兆3500億円
・デジタル系 1兆8000億円
Eコマースだけで15兆を超えて、百貨店の2.5倍の市場規模

・百貨店売上の中でも大きな割合(30%程度)を占めていた衣料品売上が特に落ちている
・百貨店売上にひきづられて衣料品売上も落ちているのか、衣料品売上が落ちたから百貨店売上が落ちたのか?は定かではない

・日本には1000億円の売上を超える店舗が14店舗ある。パリでもロンドンでもこのクラスは数店しかない。
→人口が都市部に集中していることの特徴
→この傾向はさらに強まる。そのため都市型の百貨店と地方型の百貨店を同列に議論してはいけない

・都市部に近いところのローカルな百貨店は、よりローカル性を強化する必要がある

・百貨店の中の売上シェアは、衣料品などハードグッズはシェアを下げているが、身の回り品や雑貨、食料品は売上シェアを伸ばしている
→ハードグッズは百貨店の店頭から姿を消したのではなく、大型家電店、ニトリ、専門店チェーンが百貨店のスペースを利用する形で出店していることが多い

・小売業でよくいわれる「一生の中で最も消費行動が変わるのは、その家に赤ん坊が生まれた時だ」
→消費者の行動が変わりやすいタイミングを、デジタルを駆使して見つけるべき

・海外の消費者に目を向ける
→インバウンド需要を狙うべき。パリのオ・プランタンやロンドンのハロッズの売上は5割が海外旅行者によるもの

■情報化社会の中での百貨店

百貨店は技術革新のユーザーではなく、IT企業になるべき
Eコマースによって流通の流れが大きく変わった
┗アリババの「シングルの日」という企画。11月11日をシングル(独身)の日として大きくプロモーションしている

顧客の購買情報のうち、顧客に関して本当に重要なデータを確保し蓄積すること
┗就職、結婚、出産、転居、孫の生誕など、顧客の状況を分類して把握すること

三越伊勢丹のオリジナルブランド「ナンバートエンティワン」の事例
・イージーオーダーパンプス
┗顧客の靴のサイズのデータを収集して管理する、というのは百貨店スタイルのビジネスの典型

GAFAのような不特定多数の情報を集めて分析することの対極に、特定の顧客の情報をしっかり管理し、それを販売やサービスに活用するという手法がある

情報化の進展により消費者の情報武装化は進んでいく
 ┗そうした消費者の期待に応える新たな小売ビジネスが次々と現れる
 ┗そうした変化の中で、旧来の百貨店の提供するサービスの束はますます魅力のないものになる恐れがある

ここで重要なのが、百貨店が自ら、提供するサービスの束の中身をどこまで戦略的に組み替えられるか?

■キーワードは「代替」と「補完」
代替:新しい情報技術サービスによって置き換えられるような機能
補完:情報技術サービスによって置き換えられないもの

百貨店にとって
代替:楽天やアマゾンのようなEコマース
補完:リアルな空間としての店舗、店頭での人による対応

多くの百貨店がすべて同じようなチャネルから商品を調達していては、店の差別化ができない。
百貨店がもつ商品の企画や調達力を生かし、百貨店がプロデューサー的機能を果たすべき。

地方百貨店は特に、地方の商品の編集と発信機能を強化すべき
地元の商品を地元の店舗で販売するだけでなく、百貨店の編集で、Eコマースを利用して、より広域で販売することも可能

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