ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則

この本のメモ書きです。


野心は会社の為に【第五水準のリーダーシップ】

謙虚さ+不屈の精神=第五水準
不屈の精神 なすべきことを実行する
第五水準のリーダーシップを習得する

・偉大な実績に飛躍した企業は全て、決定的な転換の時期に第五水準の指導者に率いられていた

第五水準の指導者は…?
・個人としての謙虚さと、職業人としての意思の強さという矛盾した正確をあわせもっている。野心は何よりも会社に向けらていて、個人には向けられていない
・次の世代でさらに偉大な成功をおさめるように後継者を選ぶが、第四水準の指導は後継者が失敗する状況を作り出す
・徹底して謙虚であり、控えめで飾らない
・熱狂的といえるほど意欲が強く、すぐれた成果を持続させなければ決して満足しない。
・偉大な企業への飛躍に必要であれば、どれほど大きな決定でも、どれほど困難な決定でもくだしていく。
・職人のように勤勉に勉強する。
・成功をおさめた時は窓の外を見て、自分以外に成功をもたらした要因をみつけだす。結果が悪かったときは鏡を見て、自分に責任があると考える。(成功をもたらした要因として、個人の偉大さではなく、幸運をあげる。)

・最近の傾向で、派手で有名な経営者を選び、第五水準の指導者になりうる人材を排除する傾向がある。
・第五水準の指導者になりうる人材は、どの点に注目して探せばいいのかが分かれば、周囲にたくさんおり、第五水準になりうる素質を持った人も多いと見られる。

誰をバスに乗せるか

【最初に人を選び、その後に目標を選ぶ】
「一人の天才を一千人で支える」方式は取らない
誰に報酬を支払うかが問題で、どう支払うかは問題でない
厳格であって冷酷ではない

・偉大な企業への飛躍を導いた指導者はまずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこに向かうべきか決めている。
・「だれを選ぶか」をまず決めて、その後に「何をすべきか」を決める。ビジョンも戦略も戦術も組織構造も技術も、この原則を厳格に一貫して適用する
・比較対象企業は「一人の天才を一千人で支える」方式をとっている場合が多い。天才的な指導者がビジョンを確立し、ビジョンを実現するために有能な兵士を集める方式である。この方式は天才が退けば崩れる。
・飛躍を導いた指導者は人事の決定に厳格であって冷酷ではない。業績向上の主な戦略としてレイオフやリストラを使うことはない。比較対象企業はレイオフをはるかに頻繁に使っている。

人事の決定で厳格になるための実際的な方法
①疑問があれば採用せず、人材を探しつづける(成長の最大のボトルネックは何よりも、適切な人々を採用し維持する能力)
②人を入れ替える必要があることが分かれば、行動する(まず座っている席が悪いだけなのかを確認する)
③最高の人材は最高の機会の追求にあて、最大の問題の解決にはあてない(問題の部門を売却する判断をしたとき、優秀な人達を一緒に売り渡してはいけない)

・偉大な企業への飛躍を導いた経営陣は、最善の答えを探し出すために活発に議論し、方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を超えて、決定を全面的に支持する人たちで構成されている。
・報酬制度の目的は、不適切な人びとから正しい行動を引き出すことにはなく、適切な人をバスに乗せ、その後もバスに乗り続けてもらうことにある
・人材こそがもっとも重要な資産だという格言は間違っている。人材ではなく、適切な人材こそがもっとも重要な資産。
・どういう人が「適切な人材」なのかは、専門知識、学歴、業務経験より、性格と基礎的能力によって決まる。

最後には必ず勝つ

【厳しい現実を直視する】
真実に耳を傾ける社風を作る
厳しい現実のなかで勝利への確信を失わない
ストックデールの逆説

・偉大な業績に飛躍した企業はすべて、偉大さへの道を発見する過程の第一歩として、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視している。
・自社がおかれている状況の真実を把握しようと、真摯に懸命に取り組めば、正しい決定が自明になることが少なくない。厳しい現実を直視する姿勢を貫いていなければ、正しい決定をくだすのは不可能である。
・偉大に企業に飛躍するためにまず行うべき点は、上司が意見を聞く機会、そして究極的には真実に耳を傾ける機会が十分にある企業文化を作らなければならない。

上司が真実に耳を傾ける社風をつくる四つの方法
①答えではなく質問によって指導する
②対話と論争を行い、強制はしない
③解剖を行い、非難はしない
④入手した情報を無視出来ない情報に変える「赤旗」の仕組みを作る

・飛躍した起用は、比較対象企業と変わらぬほど逆境にぶつかったが、この結果、逆境を通り抜けた後にさらに強くなっている。
・偉大さへの飛躍を導く姿勢の鍵は、ストックデールの逆説である。どれほどの困難にぶつかっても、最後にはかならず勝つという確信を失ってはならない。そして同時に、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実の中でもっとも厳しい事実を直視しなければならない。
・カリスマ性は強みと同時に弱みである。経営者が強い個性をもっているとき、部下が厳しい現実を報告しなくなりかねない。
・リーダーシップはビジョンだけを出発点とするようなものではない。人びとが厳しい現実を直視し、その意味を考えて行動するよう促すことを出発点とする
・従業員や幹部の動機づけに努力するのは時間の無駄である。ほんとうの問題は「どうすれば従業員の意欲を引き出せるか」ではない。適切な人達がバスに乗っていれば、全員が意欲をもっている。問題は、人びとの意欲を挫かないようにするにはどうすればいいかである。そして、厳しい現実を無視するのは、やる気をなくさせる行動のなかでとくに打撃が大きいものだ。

単純明快な戦略

【針鼠の概念】
三つの円
世界一になれる部分となれない部分
経済的原動力は何か
情熱を理解する
虚勢ではなく現実の認識

・偉大な企業になるには、三つの円が重なる部分を深く理解し、単純明快な概念(針鼠の概念)を確立する必要がある
・その際の鍵は、自社が世界一になれる部分はどこか、そして同様に世界一になれない部分はどこかを理解することである(世界一に「なりたい」分野ではない)。針鼠の概念は目標ではないし、戦略でもないし、意図でもない。理解である。
・中核事業で世界一になれないのであれば、中核事業は針鼠の概念の基礎にはなりえない。
・世界一になれるとの理解は、中核的能力(コアコンピタンス)よりもはるかに厳しい基準である。能力があっても、ほんとうに世界一になれるほどの能力だとはかぎらない。逆に、世界一になれる事業があるが、現在はその事業について能力がない場合もある。
・経済的原動力になるのが何かを見つけ出す際は、最大の影響を与える一つの分母を探し出すべきだ。企業なら「Xあたりの利益」、非営利事業なら「Xあたり年間予算」のXを探し出す
・偉大な実績に飛躍した企業は理解に基づいて目標と戦略を設定している。比較対象企業は虚勢に基づいて目標と戦略を設定している。
・針鼠の概念の確立は、反復の過程である。
・偉大な実績に飛躍した企業は針鼠に似ている。ハリネズミは単純で冴えない動物だが、たったひとつ、肝心要の点を知っており、その点から離れない。比較対象企業は狐ににている。狐は賢く、さまざまな点を知っているが、一貫性がない。
・飛躍した企業は、針鼠の概念を獲得するまでに平均四年かかっている。
・戦略を確立していた点だけでは、飛躍した企業と比較対象企業に違いはなかった。どちらの種類の企業も戦略計画をたてていたし、比較した企業の方が戦略の開発に時間とエネルギーをかけていたといえる事実はまったくなかった。
・偉大な実績を持続するためには、偉大な産業で事業を行っていなければならないわけではまったくない。飛躍した企業は、産業がどれほど悲惨であっても、卓越した利益をあげる方法を見つけ出している。

人ではなく、システムを管理する

【規律の分化】
枠組みのなかの自由と規律
コッテージ・チーズを洗う
必要なのは文化であり、暴君ではない
針鼠の概念を徹底して守る
やめるべきことのリストを作る

・偉大な業績を維持する鍵は、みずから規律を守り、規律ある行動をとり、三つの円が重なる部分を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まる企業文化を作り上げることにある。
・官僚制度は規律の欠如と無能力という問題を補うためのものであり、この問題は不適切な人をバスにのせていることに起因している。適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスからおろせば、組織を窒息させる官僚制度は不要になる。
・規律の文化には二面性がある。一方では一貫性のあるシステムを守る人たちが必要。しかし他方では、このシステムの枠組みのなかで、自由と責任を与える。
・規律の文化は行動の面に限られるものではない。規律ある考えができ、つぎに規律ある行動をとる規律ある人材が必要である。
・飛躍した企業は、外部からみれば退屈だとか月並みだとか思えるかもしれない。しかし内部を詳しく見ていくと、極端ほど勤勉で、おどろくほど徹底して仕事に取り組む人たちが大勢いる(コッテージ・チーズを洗う人たち)
・規律の文化と規律をもたらす暴君とを混同してはならない。このふたつはまったく違ったものであり、規律の文化はきわめて有益だが、規律をもたらす暴君はきわめて有害である。救世主のCEOが強烈な個性によって規律を持ち込んだ場合、偉大な業績を持続出来ないのが通常だ。
・偉大な業績を持続させるためにもっとも重要な点は、針鼠の概念を熱狂的ともいえるほど信奉し、三つの円の重なる部分に入らないものであれば、どんな機会でも見送る意思をもつことである。
・宗教的ともいえるほどの一貫性をもって、三つの円の重なる部分に止まる規律をもつほど、成長と貢献の魅力的な機会が増える。
・「一生に一度の機会」であっても、三つの円が重なる部分に入っていないのであれば、飛びつく理由はまったくない。偉大な企業になれば、そのような機会にたくさんぶつかるようになる。
・超優良に飛躍した企業では、予算編成は、それぞれの活動にどれだけの資金を割り当てるかを決めるものではない。どの活動は針鼠の概念に最適で、したがって集中的に強化すべきか、どの活動は完全に廃止すべきかを決めるものである。
・「止めるべきこと」のリストは、「やるべきこと」のリストよりも重要

新技術にふりまわされない

【促進剤としての技術】
技術と針鼠の概念
技術の罠
取り残されることへの恐怖心

・偉大な業績への飛躍を遂げた企業は、技術と技術の変化について、凡庸な企業とは違った考え方をしている。
・飛躍した企業は技術の流行に乗るのをさけているが、慎重に選んだ分野の技術の利用で先駆者になっている。
・どの技術分野に関しても決定的な問いは、その技術が針鼠の概念に直接に適合しているのかである。この問いへの答えがイエスであれば、その技術の利用で先駆者になる必要がある。ノーであれば、ごく普通に採用するか無視すればよい。
・技術は適切に利用すれば業績の勢いの促進剤になるが、勢いを作り出すわけではない。偉大な業績に飛躍した企業が、先駆的な技術の利用によって転換を始めたケースはない。しかし三つの円を理解するようになり、業績が飛躍するようになった後に、どの企業も技術の利用で先駆者になっている。
・飛躍した企業が開発した最先端技術を直接比較対象企業に無料で提供しても、比較対象企業は偉大な企業に近い業績をあげることはできないだろう。
・技術の変化にどのように反応するかは、偉大な企業と凡庸な企業の動機の違いを見事に示すものになる。偉大な企業は思慮深く、創造性豊かに対応し、自社の可能性を実現したいとの動機によって行動する。凡庸な企業は受け身になって右往左往し、取り残されることへの恐怖によって行動する。
・かつて超優良であった企業の没落(そしてほとんどの企業が凡庸さから抜け出せないこと)が技術の変化を主因とするものだとの見方を支える事実はでてこなかった。たしかに技術面で遅れていては、偉大な企業にはなれない。しかし、技術そのものが偉大な企業への飛躍や偉大な企業の没落の主因になることはない。
・偉大な業績への飛躍を導いた経営幹部を対象に行ったインタビューでは、全体の80%は、飛躍をもたらした上位5つの要因のひとつとして技術をあげていない。新技術の利用の先駆者として有名な企業でも、この点は変わらない。
・技術が急激に大幅に変化する時期にすらも、「這い、歩き、走る」方法がきわめて効果的になりうる。

劇的な転換はゆっくり進む

【弾み車と悪循環】
準備と突破
贅沢な環境に恵まれた訳ではない
弾み車効果
悪循環
間違った買収

・偉大な企業への飛躍が、外部からみれば劇的で革命的だとみえるが、内部からみれば、生物の成長のような積み重ねの過程だと感じられる。最終的な結果(劇的な結果)と過程(生物の成長のような積み重ねの過程)を混同すると、見方がゆがんで、実際には長期間にわたる動きであることがみえにくくなる。
・最終結果がどれほど劇的であっても、偉大な企業への飛躍が一気に達成されることはない。決定的な行動、壮大な計画、画期的な技術革新、たったひとつの幸運、魔法の瞬間といったものはない。
・偉大さを持続できる転換は、準備段階から突破段階に移行するパターンをつねにたどっている。巨大で重い弾み車を回転させるのに似て、当初はわずかに前進するだけでも並大抵ではない努力が必要だが、長期にわたって、一貫性をもたせてひとつの方向に押しつづけていれば、弾み車に勢いがつき、やがて突破段階に入る。
・比較対象企業はこれとはまったく違う「悪循環」のパターンに陥っている。弾み車を押し続けて一回転ずつ勢いを積み重ねていくのではなく、準備段階を飛び越して一気に突破段階に入ろうとする。そして業績が期待はずれになると、右往左往して一貫した方向を維持できなくなる。
・比較対象企業は、賢明とはいえない大型合併によって突破口を開こうと試みることが多い。これに対して偉大な実績に飛躍した企業は通常、突破段階に達した後に、すでに高速で回転している弾み車の勢いをさらに加速する手段として、大型買収を使っている。
・飛躍した企業の内部にいた関係者は、転換の時点ではその規模の大きさに気づかず、後に振り返ってみてはじめて、大規模な転換であったことに気づいている場合が多い。転換の動きには名前や、標語や、開始の式典や、特別な計画など、何か特別なことをやっていると思わせるものは何もなかった。
・偉大な企業への飛躍を導いた指導者は「力の結集」「従業員の動機付け」「変化の管理」にはほとんど力を入れていない。条件がうまく整えばそれらは自然に解決する。力の結集は主に実績と勢いの結果であり、逆ではない。
・短期的な業績向上を求めるウォール街の圧力は、弾み車の方法と矛盾しない。弾み車効果はこうした圧力のもとで発揮できない訳ではない。それどころか、こうした圧力に対応する際の鍵になる。


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