【後半】ビジョナリー・カンパニー

こちらの本のメモ書きです

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後半の⑤~⑩は、ビジョナリーカンパニーを作る上での具体的な構想

⑤社運をかけた大胆な目標(BHAG)

■BHAG 進歩を促す大胆な仕組み
■重要なのは指導者ではなく、目標。時ではなく時計を作る

・BHAGは単なる目標ではなく、思わずひるむほど大きな課題
・明確で説得力があり、集団の力を結集するもの
・ゴールがはっきりしているので、目標をいつ達成できたのかすぐわかるもの。聞いただけでわくわくするようなもの
・目標があれば進歩を促せるわけではなく、目標の達成にどこまで必死になっているかが重要。BHAGが進歩を促すものとして有要となるのは、その目標を達成する決意が固い場合のみ。
・BHAGを設定するには、ある程度まで、合理的な判断を超えた自信が無ければいけない

↓言い換えると↓
・BHAGはきわめて明確で説得力があり、説明する必要もないほどで無ければならない。BHAGは目標であり、「声明」ではない。それで組織内に活力がみなぎらないのであれば、それはBHAGではない
・BHAGは気楽に達成できるようなものであってはならない。組織内の人々がなんとか達成できるだろうが、英雄的な努力とある程度の幸運が必要だと思えるものでなければならない
・BHAGはきわめて大胆で、それ自体が興奮を呼び起こすものでなければならず、達成する前に組織の指導者が去ったとしても、進歩を促し続けるものでなければならない
・BHAGには、それを達成した後、「目標達成症候群」にかかって組織の動きが止まり、停滞する危険がつきまとっている。次のBHAGを用意するべき。さらにBHAG以外にも進歩を促す仕組みを持っておくべき
・BHAGは会社の基本理念にそったものでなければならない。

↓例↓
・アメリカ大統領「月にいく」
・フィリップモリス「業界のゼネラルモーターズになる」
・フォード「大衆のための乗用車をつくる。価格が安く、誰でも手に入る」
・ウォルマート「ニューポートの小さな店を、5年以内に州内で最高でもっとも利益の多い雑貨店にする」「4年以内に10億ドル企業になる(売上高を2倍以上にする)」

⑥カルトのような文化

■イデオロギーの管理と業務上の自主性
・カルトとビジョナリーカンパニーに共通の4点
「理念への熱狂」「教化への努力」「同質性の追求」「エリート主義」
・カルトのような文化とは、基本理念を熱心に維持する、しっかりとした仕組みを持った組織を作ること
・カルトのような文化は基本理念を維持する物であり、これとバランスをとる物として、進歩を促す強烈な文化がなければならない
・ビジョナリーカンパニーは、基本理念を厳しく管理すると同時に、業務上幅広い自主性を認めて、個々人の創意工夫を認めている
(カルトのような文化を持ちながら、権限分散が進んでいる)
・従業員に権限を与えて、分散型の組織を作りたい場合は、まず理念をしっかりさせ、従業員を教化し、残った従業員にエリート組織の一員として大きな責任を負っているという感覚を持たせるべき

イデオロギー【Ideologie】 社会集団や社会的立場(国家・階級・党派・性別など)において思想・行動や生活の仕方を根底的に制約している観念・信条の体系。 歴史的・社会的立場を反映した思想・意識の体系。 観念形態。

⑦大量のものを試して、うまくいったものを残す

■進化する種としての企業
■「機軸から離れない」ではなく、「基本理念から離れない」

・ビジョナリーカンパニーで成功した動きのうちいくつかが、綿密な戦略計画に基づくものではなく、偶然の産物であることがある
・ダーウィンの進化論はビジョナリーカンパニーにもあてはまる
・進化の過程をよく知り、積極的に利用すれば、進歩を促す強力な方法になる
・ポストイットの開発には偶然の産物の積み重ねという部分があったとしても、その開発を可能にした3Mの環境は、偶然の産物ではない

↓進化の過程がもっともうまく働いている3Mの事例から↓
■試してみよう、なるべく早く
・じっとしていてはダメ。動けば、時に予期せぬ機会にぶつかったり、変異を生み出せたりする
■誤りは必ずあることを認める
・進化の過程には誤りと失敗が必ずあることを認めるべき
■小さな一歩を踏み出す
・実験が失敗に終わっても、企業全体を揺るがす失敗でなければ容易に許せる。小さな一歩が、大きな戦略転換の基礎になる
■社員に必要なだけの自由を与えよう
・社員に自由を与えれば、社員が何をやるか正確に予測できなくなる。それがいい点。

■重要なのは仕組みであり、着実に時を刻む時計をつくるべき
■進化の際に、同事業分野かどうかではなく、基本理念に従っているかどうかで、剪定を行う

⑧生え抜きの経営陣

■社内の人材を登用し、基本理念を維持する
・モトローラの「執行室」制度:有能な生え抜きの人材がいつでも会社を指導する立場に立てるようにした。中間管理職のレベルでも行っている。
2人か3人のチームで管理にあたる体制。経営幹部を育成し、経営の継続性を保証する仕組み
・次の世代、その次の世代でどうなるか、を考えて後継の計画を立てて、後継が基本的価値観を貫いていく

⑨決して満足しない

■現状を不十分と感じるようにする仕組み
■将来のために投資する そして短期的にも、好業績をあげる

・ビジョナリーカンパニーで最も大切ことは「どこまでうまくいっているか」でも「競争に対応する為には、どこまでやらなければならないのか」でもなく「明日にはどうしたら、今日よりうまくやれるか」
・ビジョナリーカンパニーは自分自身に対する要求がきわめて高い
・「不断の改善」がしっかりした仕組みに基づいて、日々の行動に一本筋を通す習慣として組織にしみ込んでおり、現状をいつも不十分と感じるようにする仕組みによってそれを強化している
・どのような「不安をもたらす仕組み」をつくり、自己満足に陥らないようにし、内部から変化と改善を生み出すとともに、基本理念を維持していくことができるのか。そのような仕組みに強力なムチの要素を加えるには、どうしたらよいか
・将来のための投資を進めながら、同時に、たった今の業績をよくするために、何をしているのか。業界に先駆けて新しい方法や技術を導入しているか
・不景気にどのように対応するのか。不景気の間も、将来のための投資を続けているか
・安心感が目的ではない。ビジョナリーカンパニーが働きやすい職場ではないことを社員は理解しているか。楽な生活を最終目標にするのを拒否し、こうした目標に代えて、いつも明日には今日より前進するという終わりのない修練の過程を重視しているか

⑩はじまりの終わり

■一貫性の力
1.全体像を描く
ビジョナリーカンパニーは基本理念を維持し、進歩を促すために、ひとつの制度、ひとつの戦略、ひとつの仕組み、ひとつの文化規範、ひとつの象徴的な動き、CEOの一回の発言に頼ったりはしない。重要なのは、これらすべてを繰り返すことである。

2.小さなことにこだわる
従業員は小さなことを見逃さない

3.下手な鉄砲ではなく、集中砲火を浴びせる
ビジョナリーカンパニーは仕組みや過程をバラバラにつくっているわけではない。それぞれが互いを強化し合い、全体として強力な連続パンチになるように、仕組みや過程を集中している。

4.流行に逆らっても、自分自身の流れに従う
正しい問いの立て方は、「これは良い方法なのか」ではなく、「この方法は当社に合っているか、当社の基本理念と理想に合っているのか」である。

5.矛盾をなくす
一貫性を達成するには、新しい物を加えていけばいいわけではない。同時に基本理念からの乖離をもらたしたり、進歩を妨げたりする矛盾を見つけだし、なくしたり変えたりする。

6.一般的な原則を維持しながら、新しい方法を編み出す
ビジョナリーカンパニーになるには、
基本理念がなくてはならない
進歩への意欲を常に維持しなければならない
すべての要素に一貫性がとれた組織でなくてはならない

この3点を達成するために使う具体的な方法は、BHAG、カルトのような文化、実験による進化、生え抜きの経営陣、不断の改善、以外にも編み出せないわけではない。新しい方法を考えだすこともやるべき。

絶対に覚えておくべき4点

・時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
・ANDの才能を重視しよう
・基本理念を維持し、進歩を促す
・一貫性を追求しよう

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