大阪都構想についての文系大学生なりの意見

大阪都構想とは、簡単に言えば現在の大阪市24行政区を解体し、4つの特別区に再編し、大阪都を作ろうという計画です。
 橋下徹でお馴染みの大阪維新の会が主体となって進めてきました。
ですが、2015年5月17日に行われた住民投票の結果、わずか0.8ポイント差で反対派が勝利し、現在も24行政区のままです。

 では、上にあげた行政区・特別区とは一体どんなものなのか?
行政区とは、政令指定都市の行数単位で、任意の区画で分割して設置される事実上の行政区画です。つまり、政令指定都市の市を区で分けたということです。
特別区とは、“都”の管轄にあって、議会を持つ基礎的な地方公共団体。地方自治法第281条第一項で「都の区」と規定されていて、現在は東京のみとなっています。大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づいて、特別区を設置することができますが、設置された例は未だありません。

 行政区と特別区の違いは?
政令指定都市の区と、都の区とでは大きく違ってきます。
行政区は、単純に市を中で細かく分けたものであって、独立した自治体ではないです。市役所の内部組織であって、区長も市の職員から選ばれます。区ごとの議会の設置もないので、市議会となります。
特別区は、独立した自治体であって、簡単に言えば市、町、村と同じ機能を持っています。区長も区民の選挙から選ばれ、議会も区ごとに設置されます。

 大阪都のメリットを見ていきます。
 大阪都構想の住民投票は2015年だったので、僕が中学生のころにニュースでの報道や、街頭演説が活発でした。当時は、選挙権がなく、興味がなかったのですが、二重行政の解消というワードをよく使っていた気がするので、それについて調べていきたいと思います。

 大阪維新の会は、大阪府と大阪市がそれぞれ莫大な税金を投じて、互いに非効率な事業を行ったことにより、大きな無駄遣いをしてしまう。と主張していました。
 実際に、府と市がビルの高さで競い合い、税金の無駄遣いが行われていました。結局は民間に売却や譲渡などが行われ、作った意味が無いということです。
 府と市の意見の食い違いなどから二重行政は生まれるので、市を解体することでそれを防ぐことができるということです。ですが、府と市の連携協定を推し進めることで二重行政は解消できるという声もあります。
二重行政の解消は府と市の連携によっても成り立つと思いますが、これに関しては府市連携でも、特別区設置でもどちらでもいいように思えました。

  今までは、区長は選挙で選ばれておらず、市職員からの選出でした。ですが、特別区になると、区長を公選することができ、住民自治を強化することができます。
 反対派の意見は、区長権限の強化や、市民の声を反映する仕組み作りなどの声が上がっています。
区長が公選されるというのはとても良いことで、今は市長が24行政区を担当するというものですが、260人を超える大阪市では一つ一つの区を細かく見ることはできないので、区長の公選は住民自治にかなっており、個人的に大賛成です。

 広域行政の一体性の向上や、行政効率の向上などもメリットとしてあり、広域政策は都が担当するので、今まで市の260万人規模から880万人規模で行うことができて、基礎行政は特別区が行うことになって、行政効率が上がります。二重行政の解消もこれに当たります。
広域政策の規模の拡大はとても良いことで、今まで入り込めなかった部分に入ることができるので、効率化という面では大きいと思います。

 では、デメリットはどうなのでしょうか。
 再編コストが大きな問題になっていました。当時とは構想もかなり変わっていますし、市の内情も変わっているのですが、当時の試算では特別区設置の経済効果よりもコストが上回るというものでした。7区構想、5区構想などから現在の4区構想へと変わったのはコスト削減のためです。
市民の僕からしても、特別区設置自体が税金の無駄遣いということになって欲しくないので、過大なコストは反対意見を増やすと思います。

 二重行政と言われているのは、知事と市長が強調せずに独自で動くからであり、都構想でも知事と区長の間でも同様のことが起こるという反対派の意見などもありました。
 大阪市の財源の流出の可能性も叫ばれていました。
現行の市内での税収約8438億円(2017)が、特別区では1593億円になり、財政調整交付金や目的交付金など合わせても約6350億円で、2000億円ほどが再配分となってしまいます。
2000億円が特別区に使われるのであれば問題ないと思いますが、都の財源となってしまうのであれば、反対の声が上がるのもわかります。

 大都市機能の弱体化も叫ばれていて、都構想が実現しても、二重行政解消が約束されるわけでもなく、今まで大阪市が担ってきた都市計画の権限が全て大阪府に移ってしまいます。大阪市には大都市計画の経験やノウハウがありますが、大阪府にはそれが無いために機能が衰えるのでは無いか?という声が上がっていました。
これに関しては、現在の市職員が都と協力すれば問題ないように思いますね。ノウハウがある人材と協力すれば、弱体化もしないでしょう。

さらに、職員が330人ほど増えるという試算もあり、それによるコストの増大も問題視されています。
職員が増えることで雇用が生まれるというメリットもあるので、特にデメリットには感じませんでした。

 このようなメリット・デメリットがあり、結果としては住民投票で否決されました。
僕は都構想には賛成寄りですが、これは簡単に覆るものでもありますし、暫定という結果に至ります。

ここで書いたものはほんの一部であり、個人の意見も多く含まれているので、詳しく知りたい人はインターネットで調べることをお勧めします。

 最後に、都構想に限らず、府や市の政策の内容を理解し、様々なメリット、デメリットを自分で判断し、大阪市民が自分達の意見をしっかりと持って、選挙で決めることが大切です。
 近年、選挙に行かない若者が多いですが、自分達は政治に興味がない。選挙はだるい。などと言っていると、自分達の意見が何も反映されないような政治運営が起こるかもしれません。首相に文句を言う、地方自治体の長に文句を言うのはいいですが、まずは被選挙権を無駄にせず、選挙に行って、政治に目を向けることから始めるべきだと思いました。

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