サドラーズウェルズ+ハイトップ+シャーリーハイツ=最強の逃げ馬?

 天皇賞・春で非常に強い勝ち方をしたタイトルホルダー。序盤から猛ダッシュでハナに立つと、後半はロングスパートでさらに突き放す圧巻の逃げ切り。スピードはもちろんですが、パワーとスタミナがないと到底できない競馬をやってのけました。


 この馬の走りを見て、GⅠ2勝馬・メジャーエンブレムに近い印象を抱きました。使われている距離こそ違いますが、積極的な競馬で後続をふるい落とすスタイルが持ち味。非常にタフな逃げ馬でした。

 似ているのは走りだけではありません、血統構成にも興味深い共通点があります。どちらも母方に「サドラーズウェルズ+ハイトップ+シャーリーハイツ」の3つを併せもっているのです。
 


 ここで3つの血脈の簡単な特徴をまとめました。


サドラーズウェルズ

 スタミナ、パワーに秀でた欧州屈指のタフな血統。大繁栄を遂げた歴史的な名血です。

ハイトップ

 現役時代こそマイルを中心に走りましたが、血統自体は底力に富んだ構成。サドラーズウェルズとの組み合わせでは、スタミナ寄りに機能しやすい傾向があります。

シャーリーハイツ

 柔らかい体質を伝える切れ味型の血統。ただ現役時代に愛ダービーを勝っており、相応のスタミナも兼備した重厚なタイプです。


 僕は欧州競馬にそれほど詳しくないので正確なことはわかりませんが、サドラーズウェルズ×ハイトップ、サドラーズウェルズ×シャーリーハイツは親和性の高い関係。欧州で多くの活躍馬を出しています。適性の差はあれど、いずれも欧州の重たい芝で結果を出し、発展してきた血。確かなスタミナと底力をもち、タイトルホルダーとメジャーエンブレムを支えているのは間違いありません。


 実は今回この記事を書いたのは、2頭の類似性を伝えるためだけではありません。もう1頭、比較してほしい馬がいます。

 今年のドバイターフ勝ち、世界のGⅠ馬になったパンサラッサ。この馬も母方にサドラーズウェルズ、ハイトップ、シャーリーハイツの3つをもっているのです。
 


 昨年の福島記念を勝ったときは、「令和のツインターボ」と呼ばれていましたが、いまはそういう次元の存在ではなくなってしまいましたね。この馬の圧倒的なスピードと、それを持続させるスタミナの凄さは、レースを見ている皆さんが一番よくわかっていると思います。

 サドラーズウェルズ、ハイトップ、シャーリーハイツの3つを使った欧州の本格的な血統が、現在の日本競馬において、逃げ馬の底力として機能している。しかも単なる個性派ではなく、本物の名馬を立て続けに生み出しました。これは偶然なのでしょうか?


 メジャーエンブレムがNHKマイルCを勝ったころは、ディープインパクト産駒の全盛時代。あくまでも僕個人の主観ですが、競馬界全体としては切れ味主体であったように感じます。そこから6年が経ち、今はいろいろなタイプの種牡馬が台頭。絶対的サイアーがおらず、群雄割拠の時代です。それに伴い、パワーやスタミナを含めた総合力で戦う土壌になりつつあるように感じています。逃げ馬に限らず、以前より「強い個性派」が生まれやすい(活躍しやすい)雰囲気はありますね。

 余談ですが、サドラーもちのモーリス×ハイトップもちの繁殖牝馬という組み合わせは面白いと思います。そこにシャーリーハイツまで加える必要があるかはさておき、強い馬がでてもおかしくはないでしょう。注目しておきたいところです。


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