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配合パズル解血新書

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母の父ディープインパクトについて考える(牝馬編1)

牡馬編はこちら  牡馬編につづき、牝馬について考察したいと思います。過去に同様の記事を投稿したことがあり、その内容と重複するところも多いですが、おさらいのつもりで読んでいただけると嬉しいです。 ブラックタイド化の弊害  ディープインパクトは母の父になるとブラックタイド化する。牡馬編で書いたことですが、牝馬においてもおなじ傾向が見られます。牡馬において、この変容は「伝える資質が変わる」という意味合いが強いのですが、牝馬の場合は少し複雑になります。  母の父ディープ産駒で

母の父ディープインパクトについて考える(牡馬編2)

前回の考察はこちら  今回は母の父ディープインパクトの効果的な活用方法についてのお話しです。これまで送りだした活躍馬をみると、父となる種牡馬が欧州血統中心である場合と、北米血統中心である場合で、狙いを変えるべきだと感じます。 パワーストライド型の欧州型種牡馬と好相性  欧州血統なら、全身を使った雄大なフットワークを伝えるパワーストライド型の種牡馬がおすすめ。筋力で推進力を生み出していることがポイントです。ディープの欧州血脈が父方のパワーストライドを後押しすることで、しぶ

母の父ディープインパクトについて考える(牡馬編1)

 最近は母の父にディープインパクトをもつ活躍馬が増えてきましたね。これを機にいろいろと考えてみることにしました。じっくりと書きたいので、牡馬と牝馬に分けて考察したいと思います。今回は牡馬編のパート1です。 ブラックタイド化  ディープインパクトは卓越した切れ味を武器にした競走馬。現役時代は “空を飛ぶ”と称されたほどです。種牡馬としてもその特徴は健在。産駒が挙げた勝ち星の9割近くを芝で占めており、瞬発力に優れた活躍馬を数多く輩出しました。  ディープに伝わる切れ味は、あ

ロードカナロア考察(9) ~牡駒における、サドラーズウェルズの効果~

 今回は母方に『サドラーズウェルズ』の血をもつロードカナロア牡駒についての考察です。この組み合わせは「ヌレイエフ≒サドラーズウェルズ」の4分の3同血の近親クロスになり、体幹を固める効果があります。   17~19年のサドラーもち  ロードカナロア産駒の第一世代がデビューした17年から19年ころの初期は、サドラーの血はマイナスになるのではないかと考えていました。サドラーのパワーは鈍重さを含んだパワー。カナロアのしなやかさが削がれたような産駒が多く、ピリッとしない印象があった

無料配布『配合パズル解血新書 ロードカナロア編』

血統同人誌の新シリーズ『配合パズル解血新書 ロードカナロア編』を無料配布します。 PDF版は血統屋、Kindle版はAmazonよりダウンロードしていただけます。 ※紙書籍版の刊行予定はありません 本書はロードカナロアの配合について考察した血統本です。 種牡馬としての傾向、相性の良い血の組み合わせ(ニックス)、産駒の特徴などさまざまな角度から徹底的に掘り下げています。 代表産駒のアーモンドアイやダノンスマッシュなど、活躍馬のポイントをわかりやすく解説。 一口馬主の出資

ロードカナロア考察(8) ~コーモラントとシャーペンアップの同調~

★コーモラントの特徴 ロードカナロアの2代母の父である『コーモラント』。この血は「ヒズマジェスティ×テューダーミンストレル」という、欧州の重厚な資質を中心に構成されています。パワーと底力に秀でた存在で、ロードカナロアの体幹の強さを支える影の立役者です。  種牡馬カナロア視点で見た場合、おなじパワー血統のヌレイエフやセックスアピールは配合上の主役として活用されています。それに比べるとコーモラントはあまり目立たず、表舞台に立つことは多くありません。 ★シャーペンアップとの同調

ロードカナロア考察(7) ~セックスアピールが男たちを硬くする~

※ロードカナロア考察(5)もあわせてお読みください ★第二のパワー源 アーモンドアイがヌレイエフとともにクロスしている『セックスアピール』。頑丈さに長けた血で、カチコチに硬くさせる効果があります。・・・いや、下ネタじゃないですよ(確信犯🙈)  セックスアピールはパワー血統のバックパサーを父にもち、ウォーアドミラル3×4、ラトロワンヌ4×5によってその資質を増幅しています。ほかにもアリバイのような頑丈さを伝える血を含んでおり、パワーの純度でいえばヌレイエフより上かもしれませ

ロードカナロア考察(6) ~ヌレイエフをクロスした馬がしてはいけないこと~

★特別な恩恵をもたらす血 ロードカナロアの体幹を引き締め、アーモンドアイの能力に大きく寄与している『ヌレイエフ』。実はこのクロスをもつ活躍馬はアーモンドアイだけではありません。ジョーカナチャン(アイビスSD)、レッドルゼル(コーラルS)、エイシンデネブ(オパールS2着)、ルガールカルム(アネモネS)なども出ています。  また直接クロスだけでなく、ヌレイエフと血統構成が4分の3一緒のおじにあたる『サドラーズウェルズ』や、『フェアリーキング』を母方からもってきて、近親クロスを作

ロードカナロア考察(5) ~アーモンドアイは 教科書的な存在~

※ロードカナロア考察(3)もあわせてお読みください ★アーモンドアイの強さは血統で測れるのか ロードカナロアの代表産駒で、現役最強馬のアーモンドアイ。以前、この馬について「アーモンドアイみたいなバケモノは血統では測れないのか?」という質問をいただいたことがあります。たしかにGⅠをノーステッキでぶっちぎるほど次元の違う能力は、配合論を超越したところにあるでしょう。そういう意味では答えは「YES」なのかもしれません。 ★アーモンドアイから学ぶこと ただしアーモンドアイの血統表

ロードカナロア考察(4) ~サーゲイロードの効果~

※ロードカナロア考察(3)のつづきです ★異父兄との近親クロス 現状、セクレタリアトを直接クロスすることは効果的な仕掛けとは言えません。しかし別の手段でセクレタリアトを刺激することで、プラスに機能させる方法があります。それは『サーゲイロード』の血との組み合わせです。  サーゲイロードはセクレタリアトと4分の3同血の異父兄。この血との近親クロスをもつカナロア産駒の成績は悪くなく、GⅠ馬のサートゥルナーリアなど6頭の重賞勝ち馬を出しています。 ★近親クロスとは  サーゲイロー

ロードカナロア考察(3) ~柔らかさの源~

★セクレタリアト=シリアンシー ロードカナロアの母・レディブラッサムは、ストームキャットを通じて『セクレタリアト』の血をもっています。さらに牝祖の『シリアンシー』は、そのセクレタリアトの全姉。つまりレディブラッサムは「セクレタリアト=シリアンシー」3×4の “全きょうだいクロス”をもつ繁殖牝馬ということになります。  セクレタリアトは軽快なスピードとともに、体質の柔らかさも与える血。レディブラッサムはシリアンシーとのきょうだいクロスを用いることで、その資質を大きく増幅してい

ロードカナロア考察(2)~競走馬カナロアと種牡馬カナロアの違い~

 競走馬としてのロードカナロアは、13勝のうち11勝が1200mでした。しかし産駒にはマイラーや中距離馬もそれなりに存在しており、現役時代の印象とは少し違いがあります。  カナロアとともに「日本最強のスプリンター」の1頭として挙げられるサクラバクシンオーは、父としても頑固にスプリント適性を伝えていました。参考例として、この2頭の産駒の成績データを見比べてみてください。カナロアも短めの距離を主戦場としてはいますが、バクシンオーほど極端な傾向ではなく、もっと幅の広いマイルドな適性

ロードカナロア考察(1)~血統的特徴~

 現役時代のロードカナロアは、香港スプリントやスプリンターズS、高松宮記念など、国内・海外あわせてGⅠ6勝を挙げた歴史的スプリンターでした。種牡馬としてもGⅠ7勝のアーモンドアイを筆頭に、サートゥルナーリア、ステルヴィオの3頭がGⅠを勝利。すでに14頭の重賞勝ち馬を輩出しています。  今回はロードカナロアを構成する主要な血について、簡単にチェックしていきたいと思います。 (父)キングカメハメハ  2010~11年のリーディングサイアー。12~18年もディープインパクトに次

配合パズル解血新書

「配合パズルでアタリはわかる2016」でダイワメジャー編、ゼンノロブロイ編、スクリーンヒーロー編を書いたのを最後に、特定の種牡馬についての詳しい考察はお休み中でしたが、そろそろ復活させようかなと🤔 2013~16年に刊行した旧・配合パズルシリーズの本流を汲むものではありますが、これを機にタイトルをリニューアルして、「配合パズル解血新書」という新シリーズで頑張っていこうと思います。 いきなり同人誌として書き上げるのは大変なので、まずは不定期に有料noteでコツコツ投稿してい