月の途中で保険が変わったとき

月の途中で保険が変わったとき

保険の変更があったら

 初歩の初歩ですが、改めて。このとき、レセプトは2枚つくって出しますよね。

 その根拠はというと、「診療報酬請求書等の記載要領」(保医発0326第5号平成30年3月26日)に、こうあります。

第3 診療報酬明細書の記載要領(様式第2)
 1 診療報酬明細書の記載要領に関する一般的事項

(6) 月の途中において保険者番号又は本人・家族等の種別の変更があった場合は、保険者番号ごとに、それぞれ別の明細書を作成すること。高齢受給者証又は後期高齢者の被保険者証が月の途中に発行されること等により給付額を調整する必要がある場合又は公費負担医療単独の場合において公費負担者番号若しくは公費負担医療の受給者番号の変更があった場合も、同様とすること。
 なお、それぞれ別の明細書を作成する場合は、変更後の明細書の「摘要」欄にその旨を記載すること。

 うーん読みにくい。つまりは「保険者が変わったとき と 種別が変わったとき は、レセプトを別々につくってね」と言われているわけですね。

 保険者の変更は、

社保 → 国保へ
国保 → 社保へ
社保 → 保険者番号が違う別の社保へ
国保 → 市町村番号が違う国保へ

といったケースのことです。

 種別が変わったとき は、

本人 → 家族へ
家族 → 本人へ
六外 → 家外へ

です。が、保険が変わらず本人・家族だけ変更はまずないので、保険者(提出先)が変わったら2枚 と理解すればよいでしょう。

 ちなみに、「六外→家外」は年度替わりに変更になるため、月途中で変更になることはありません。

 後半は、

75歳の誕生月の人だと、国保など → 後期高齢者医療へ と変わりますが、その時も同様。
「公費単独」の場合では、公費負担者番号か受給者番号が変わったときに、同様。

と書いてあるわけですね。

 「公費単独」は、ほとんど出会うことはありません。国の公費(18や30など)か、生活保護が該当します。

月に2枚書く理由

 月に2枚レセプトを出す意味は、変更前の保険者に請求するための1枚と、変更後の保険者に請求するための1枚が必要だからです。提出先が2つになるからですね。

 ということは、10日とか、15日とか、「月の途中で保険証が変わった」=「2枚必要」ではありません。

 15日づけで退職して、16日から国保になった場合で、14日と28日に受診があったら、2枚必要です。14日の診療は社保で、28日の診療は国保ですから。

 でも、1~15日に受診がなければ、その月に社保に請求するものはないので、作るのは国保に出す分の1枚だけです。

2枚書くときの記載内容

 保険変更前の診療分は、いつもどおりで構いません。

 変更後の保険者あてのレセプトは、2つポイントがあります。

①変更後のレセプトの「診療開始日」欄に、新しい保険証の資格取得年月日を記載
②変更後のレセプトの摘要欄に、保険者が変わったことがわかるコメントを記載する。たとえば「社保より」「国保より」「保険者変更」など。

 審査する人には、自分のところに送られてきたレセプトだけしか見えません。保険者変更後のレセプトからは、「1回目の受診なのに、再診料を算定してある」状況です。レセプト内で辻褄が合わず、「????」→返戻……されても文句は言えません。

 審査する保険者に「この日から、うちの被保険者になったんだなー。この診療は前から続いている分か、ふむふむ。」とわかってもらうための記載なのですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?