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私と源氏物語の間に▶miyo

横浜読書会KURIBOOKSの不定期で行われるビブリオバトルの司会を担当していますmiyoです。
よろしくお願いします。

横浜読書会KURIBOOKS - 知的好奇心を解き放とう~参加者募集中~

誰による訳にしろ、現代語訳を読んでいるときは、「訳された文」を読んでいる気がするのだが、一度英語訳され、それを日本語訳に戻したこの文で源氏物語を味わうことによって、私は、紫式部と同時代にこれを読んだ人たちが味わったであろう物語の世界感を味わうことが出来た。毬矢氏、森山氏の姉妹による「源氏物語」は他の誰の訳よりも馥郁(ふくいく)たるあの時代の香りを纏っている。

あなたにもあるだろうか、書かれている文章と「作者」の見た目のイメージがかけ離れている時が。私にとっては「北村薫」がこの筆頭である。
この読書会の主宰者・KURIさんの尽力により、訳者の毬矢氏と森山氏が2度も「源氏物語」の読書会にゲストでいらしてくださった。
2度ともオンラインによるご参加だったが、初めてお二人を(画面越しにではあるが)拝見したときは、お二人が訳された「源氏物語」の雰囲気そのものの、たおやかで美しく、話し方も品があり、教養にあふれた、イメージ通りの方っているんだと驚嘆した。私たちの質問に時間を1時間30分も超過しながらも、最後の一人までそれはそれは丁寧にお答え下さり、参加者一同至福の時を過ごした。

第66回考える横浜読書会KURIBOOKSの様子(2023/9/30)


お姉さまの毬矢氏は大学でフランス語を専攻なさった方で、フランス語の新聞をご紹介下さる時に発音なさったのだが、発音が美し過ぎた。意味も分からないのに、その発音だけでうっとりした。

KURIさんは源氏「沼」にはまったようだが、私は「池」程度かな。それでもまだ書きたいことはあるので、それはまた次回。

さて、最後に姉妹が読書会で上げてらした本や作家の中から、オクタビオ・パス(Octavio Paz)の詩をお届けしよう。お二人からオクタビオ・パスの名が出た時、驚きとともにいいようのない喜びに包まれた。私は昔から「詩」を読むのが好きだった。20代の若かりし頃、大学の薄暗く、古い本独特の匂いのする図書館にある、誰にも手に取られなさそうにひっそり佇んでいる「詩集」をせっせと借りては読んでいた、あの頃の自分を一瞬にして邂逅した。あの頃の自分に教えてあげたい「今、俳人であり詩人であり翻訳者の美しい姉妹も同じ地平に立っているのよ。」と。

「詩」というものをこれほど端的に、美しく表現した詩をわたしは知らない。

私が見るものと私が言うこととの間に
  Between what I see and what I say
私が言うことと私が黙っていることとの間に
  Between what I say and I keep silent
私が黙っていることと私が夢みることの間に
  Between what I keep silent and what I dream
私が夢みることと私が忘れることの間に
  Between what I dream and what I forget
詩は、ある
  Poetry
オクタビオ・パス(Octavio Paz)

皆さまの参加を心よりお待ちしております。
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【投稿者】miyo

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