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アドベンチャーツーリズム

地球をでっかく遊ぶアドベンチャー

世の中には新しい言葉が常に溢れていて、コロナ禍でより一層加速したような気がしますね。
今回のテーマは「アドベンチャーツーリズム」、略すと「AT」。
この言葉もコロナ禍で一気に業界での認知度が広まった感じ。

僕らはグラベルバイクパッキングバイクキャンプをキーワードにしているので、「アドベンチャー」という言葉にいきつくのは必然のように思います。
言葉のイメージが壮大なので遠慮して使っていなかったのも本音です。

先日チャレンジしたトライアルツアーを今回は紹介しますね。

サイクリング×登山

アドベンチャーツーリズムというと、大陸を横断したり、前人未到のルートで登山したりといったハードルの高いアクティビティを想像しますが…
定義としてはもっと等身大の冒険が範疇になります。

参考に環境省や推進団体のアドベンチャーツーリズムの定義は次のとおり。

アドベンチャーツーリズム(以下、AT)とは「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」をいいます。
(参照元:一般社団法人日本アドベンチャーツーリズム協議会

今回、トライアルで試したのはサイクリングと登山の組み合わせ。
登山口まで自転車で行くので、E-Bike「MIYATA RIDGE-RUNNER」を利用しました。
27.5+で2.8インチのタイヤを履くセミファット、ハードテイルのE-MTB。

サドルバッグ、ハンドルバーバッグ、トップチューブバッグと控えめな積載ですが、本気のバイクパッキングにも対応できそうです。

今回のトライアルツアーは、くりこま高原駅から栗駒山を目指す1泊2日の旅。
1日目は農道・林道を含めたサイクリング、2日目は登山口まで自転車で行き、晩秋の栗駒山登山という行程に挑みました。

グラベルライド

まずは農道と林道のグラベルライド。
午後イチのスタート予定が各々の仕事の都合で2時間ほど遅れ…
やや焦りながらスタート。

あまり写真を撮る暇がありませんでしたが、車では普段通らない農道や林道、潜り橋を走る楽しいサイクリングに。

しかし、後半はすっかり日が暮れて、栗駒山の中腹の宿を目指して、暗闇の山道を走るという稀な体験ができました。

この日は走行距離約48km、獲得標高約930m。
E-BIKEとはいえ、普段は自転車にあまり乗っていない人にとってはかなりハードなアクティビティになっちゃいました。

「お尻が痛い!」という悲痛な声が (笑)

余談ですが「自転車に乗るとお尻が痛い」問題、皆さんはどうでしょうか?
僕は自転車でお尻が痛くなったことが無いので、この苦しみにアドバイスが出来なくて困りました。

ベース基地はくりこま高原自然学校

予定時間を大幅にオーバーして、到着した今夜の宿はくりこま高原自然学校
冒険教育として子どもたちのキャンプや大人向けの登山など、様々な自然体験を実践するアドベンチャーのパイオニア的な団体。

この薪ストーブの炎を見たときの安堵感といったら…
そう、これがアドベンチャーの醍醐味でもあります。
自分の限界を突破して達成したときの達成感と命がつながったときの安堵感、「生きてる」って実感が沸きます。

たくさん料理を準備してもらって。
まるでお父さん、お母さんに迎えてもらったような気持ちに。
自然学校の皆さん、僕よりも年下ですが (笑)

ヒルクライムと登山にチャレンジ!

美しい朝日で目覚めた2日目、メインのアクティビティのヒルクライム+登山へ。

お世話になったくりこま高原自然学校を出発し、栗駒山の登山口のいわかがみ平を目指します。

いわかがみ平は標高1,113m。
メンバーはお尻の痛みを堪えながら、約7.5kmで獲得標高約500mのヒルクライムを難なくクリア。E-Bikeのおかげ☆

車では停車して紅葉を眺めると渋滞しちゃいますが、自転車ならこの美しい紅葉を満喫しながら走れます。

40分弱でいわかがみ平に到着!

晩秋の栗駒山登山

いよいよ登山スタート。
上りは東栗駒コース、下りは中央コースというルート。
標高1,626 mの山頂を目指します。

東栗駒コースの魅力は、梯子を使ったり、川を渡ったり、岩場があったりと変化に富んでいるところ。
風が強かったものの天気が良いのもあって、最高の気分でした。

木々の紅葉は終わり心地でしたが、山頂周辺の草紅葉が美しかった。

どれだけ良い登山だったか、しばらく写真をご覧ください。

とはいえ、さすがに昨日からの自転車が足に効き、後半は足を引きずるように登るメンバーもいました。
それでも無事に登りきり、絶景を眺めました。

下りは中央コース。
元気な2人は一気に駆け下り、足に効いている2人は石畳を慎重に歩いて、下山も無事に終了です。

標高差1000mを一気に下るダウンヒル

登山後は再び自転車にまたがり、標高約200m地点まで一気にダウンヒル!

活気のある商店街「六日町通り商店街」に立ち寄って遅い昼食をとり、グラベルを盛り込んだ農道サイクリングへ。

グラベルを満喫していると次第に日が暮れ始めました。
遠くには栗駒山が見えます。
ついさっきまであの山の山頂にいたなんて…
しかも、自転車であそこから移動してきた…
感慨深い光景でした。

達成感に満ちた帰り道ですが、さらに最高のエンディングが待っていました。
くりこま高原駅に着くころ、ちょうどマガンがねぐらの伊豆沼・内沼に帰るタイミングが重なり。
マガンと一緒に走る素敵なライドで無事に到着。

2日目は約54km、獲得標高約590mのサイクリング、そして約510mの登山でした。

栗駒国定公園をフィールドにしたアドベンチャー

アドベンチャーツーリズムの定義でいうと、今回はサイクリングのアクティビティに登山という自然の体験を組み合わせた旅でした。

くりこま高原自然学校やくりくりサイクの運営母体のくりはらツーリズムネットワークは、もともと多くの体験プログラムを実践しています。

今期は二つの団体の体験プログラムをピックアップして、栗駒国定公園と周辺をフィールドにしたアドベンチャーツアーをつくるミッションに取り組んでいます。

自転車や登山はもちろん、キャンプ、釣り、シャワークライミング、写真のイグルーづくりなどの雪のアクティビティなど、たくさんのアクティビティが用意できそう。

レンタサイクルはMIYATA RIDGE-RUNNERのリース終了に伴うリニューアルで、より自転車旅に適したE-Bikeを新たに導入する計画です。
とにかく楽しみでしかありません。

3つのアドベンチャーツーリズム

いま、僕のアドベンチャーツーリズムの構想では大きく3つのプロジェクトを考えています。

アクティビティ・自然・文化
アクティビティ・自然・文化3つの要素のうち、2つ以上のアクティビティによるアドベンチャーツーリズム。
今回の自転車×登山など、前述したとおり、くりこま高原自然学校と一緒に栗駒国定公園をフィールドにしたプログラムのピックアップに取り組んでいます。

グラベルバイクのアドベンチャーコース
グラベルバイクで数百kmを数日かけて走るコースを設定しようと調査を進めています。
舗装路に農道、林道、古道などのグラベルを盛り込み、通常のルートと栗駒山へのヒルクライムなど難易度高めのオプションを設定して。
スルーハイクで宿やキャンプしながら、または区間を分けてトライするとか。
新たに導入するE-BIKEは、自転車旅ができるようにバイクパッキングまたはパニアバッグなどが積載できるものをチョイスする予定です。

ロングトレイル
アドベンチャーといえばロングトレイルは外せませんね。
栗駒山麓ジオパークを生かし、加えて民俗学的な視点も盛り込みながら、ルートを設定していきたいと考えています。
栗駒山一周とか、旧奥州街道を踏破とか、夢が膨らみます。

僕が考えるアドベンチャーツーリズムは、基本的に自己完結型の旅。
ルートの設定やアクティビティの選択、交通や宿の手配などをすべてセルフガイドで行い、必要に応じて旅行会社等に手配を依頼する流れで仕組みを作っていきます。

オーバーツーリズム、ゼロドルツーリズムに対して、環境保全やサステイナブル、SDGsなどで観光の姿勢を「おもてなし」から数歩進めるきっかけにしたいな。
アドベンチャーツーリズムを通じて、自然と人の暮らしを意識するカルチャーを生み出すのが目標です。

長い間、観光業にたずさわってきましたが、自転車に乗るようになって、自然に触れること、身体と精神の限界を突破することの価値を改めて体感し、アドベンチャーツーリズムに取り組む気持ちが芽生えました。

自転車って本当にすごい乗り物ですね。

くりくりサイクリングくらぶは非営利団体の一般社団法人くりはらツーリズムネットワークが運営しています。ローカルの暮らしを豊かなものにしていきます。サポートをよろしくお願いします(._.)