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「現代川柳ことはじめ」3月の振り返り
ミニ講義 「川柳の連作、川柳の句会」背景
高円寺パンディットで行われた我妻俊樹さん、平岡直子さんとのトークイベントや、「おかじょうき」4月号誌上句会の選を通して、「川柳の連作」と「川柳の句会」を並べて喋ってみたらおもしろいかもしれないという思いつきが生まれた。
たくさんの句の中から自分が良いと思うものを選び、いいかんじに並べるという選者制の句会で選者が行う作業は、川柳が「連作」に接近するシーン
023:詩
短歌
詩ってよく鼻血を出すし、それなのにあたまがいいし、なんかいいよね
川柳
ビフテキを流す詩的な判断で
022:素
短歌
トロフィーを返さなかったのは素敵 だけど落ち度もいっぱいあった
川柳
味の素 水面に降っていい気持ち
021:窓
短歌
眼裏にキュクロープスの禿頭がうつりこむほど窓を磨いて
川柳
薔薇窓が遠くにあってさわれない
020:害
短歌
実害があったあとでは遅いからはだかで渡される飾り雛
川柳
害虫をのぼらせている長い髪
019:蒟蒻
短歌
「父親を弑するように蒟蒻を手綱のかたちにせねばならぬ」と
川柳
側溝に蒟蒻畑つまらせる
018:泣く
短歌
泣くところ見てる 話は明け方にすると丸ごと土のうになるね
川柳
泣くほどのことではないよ後鳥羽院
017:雲
短歌
雲泥の差、タッチの差だよわたしたちあんなに急いで波及したのに
川柳
雲の上の人から順におりてくる
016:紅
短歌
半券が喉の奥まで溜まったら紅白歌合戦をするのよ
川柳
口紅の色を想像してごらん
015:葉
短歌
ナマケモノから渡されるプリントに落書きをするなら針葉樹
川柳
葉もの野菜に切りつけられる
014:段ボ-ル
短歌
段ボールでできた肉から食べなさい 世界はいつか塔になるから
川柳
段ボール敷いて悪寒に備えよう
013:愛
短歌
愛は詩人の靴箱 脳みそをオープンカーと取り替えたいわ
川柳
「はなごえ」とルビをふられる 愛してる
012:突破
短歌
拍子木で覆われた地をあなたなら突破できると思われていた
川柳
こけももの一本槍で突破する
011:イオン
短歌
本物のイオンモールは予想より腕毛が濃くてぼうぼうだった
川柳
マイナスイオンよりありえない
010:浮く
短歌
わたしもう昼光色の幽霊ね 髪の先から浮いてきちゃった
川柳
トルマリンあなたもきっと浮かばれる