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「あの人に贈りたい」、という気持ち。

人に贈り物をするとき、自分用にものを選ぶ時よりもテンションが上がってしまう。そんなことありませんか?

何を贈ったら喜んでくれるだろうか、と考え、あれこれ悩みながらプレゼントを選ぶ作業は、かなり楽しい。春からのステイホーム期間を経て、「会えない人に気持ちを贈る」ということの楽しさをあらためて感じました。

今年の夏のこと。

京都に暮らす同郷の友人が、「今年は社会情勢を鑑みて、お盆の帰省を諦める」と連絡をくれました。いつも、関西に行くときには泊めてもらい、まだ知らない京都をいろいろ案内してくれる大切な友。

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何か贈りたいな…と思い、島根のおいしいものをあれこれ考えて詰め合わせました。お盆休みをゆっくり過ごせるように、お菓子とコーヒー、調味料などなど…。

翌日LINEが届いて、「帰れなくて気分が盛り上がらなかったけど、めっちゃテンションあがった~」と喜んでくれました。

それから1週間ほどして、思いがけずその友人から荷物が届いたのですが、これがまた、京都のおいしいものがぎゅぎゅっと詰め合わせてありました。

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コーヒーに合う羊羹、抹茶パンナコッタ、和菓子屋さんの限定のお菓子、老舗の料亭の上品な塩昆布などなど、私のツボを押さえたセレクト。

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包装も自分でやってくれたみたいで、これがまたかわいくて、普段は「何も考えずにビリビリ包装紙を破いて開ける」ことで有名な私も、さすがにていねいに開封しました。

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「ありがとう!」とLINEをしたら、友人から「選ぶの楽しかった!」という声がかえってきて、ああ、私と同じところでアドレナリンが出るんだなあ、とうれしくなりました。

一般的なギフトでは味わえないこの高揚感は、その人その人に沿ったオリジナルな「異種詰め合わせ」にあるんじゃないかと思います。「銘菓詰め合わせ」でもなく、「干魚詰め合わせ」でもなく(もちろんそれもうれしいのだけど)、その人の「暮らし」を考え、生活のシーンの中のあれやこれやをジャンル関係なく詰め合わせる。その作業が楽しく、また受け取ったほうも幸せな気持ちになる、という感じ。

どんなものが好きなのか、普段何を着ているのか、どんなものを食べているのか、どういうインテリアで暮らしているのか…などなど、選んでいる時間はずっと相手のことを考えているわけで、その時間や思いが形になるのだから、贈るほう・贈られるほう、両方楽しい気持ちになるのは当然だといえるでしょう。

それだけ相手のことを思い浮かべ、考えているということ。そういう人がいる、というのは嬉しいものですね。

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くらしアトリエ/シマシマしまねのネットショップでも、例えば朝ごはんをイメージしたセットや、料理が楽しくなるような調味料をメインにした詰め合わせなどを販売してきましたが、企画はまず商品というよりも「その季節の暮らしのひとコマ」を想像するところから始まります。


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年末年始にこういうものがあると気持ちが上がるよね、とか、そろそろ春だから気分を新たにできるようなセットがあるといいね、とか。

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過去には、想像力が強いあまりセットがしぼり切れず3種類になってしまったものや、ラッピングに力を入れすぎて、スタッフ間では「やればやるほど赤字セット」という別名を持った伝説のセットとかもあります…。

この「暮らしを考えて詰め合わせる」姿勢は15年前からずっと変わらず、くらしアトリエの原点である「花雑貨」も、「お花!ドーン!主張!見て!」みたいなアレンジメントではなく、暮らしの中にそっとひそやかに存在していて、でもそれがあることで確実に日々が豊かになる、そんなお花に、同じく生活になじむ雑貨を組み合わせるという「異種詰め合わせ手法」をとっていました。

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今でも思い出すのが、「家庭訪問とかお茶会とかで、お客さまにさりげなく出せるかわいいおしぼりがほしい」というスタッフのアイデアから生まれた「おしぼりセット」の花雑貨。

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ワッフル地に花柄を合わせたおしぼり(手作り)、

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それを入れる籐のかご(手作り)、かごを入れる四角いトレイ(手作り)。そして、かごの一つにはさりげない素朴な花々のアレンジメント(手作り)を入れて。

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「かわいいフラワーアレンジメントを作ろう」という発案ではなく、「おもてなしの場面でさりげない演出があったらいいな」を形にする、ということを何より大切にした商品で、だからこそおしぼりとかごと花、という異種を掛け合わせたものができたのでした。

※実はこの商品、スタッフの思い入れがあまりに強く、自信満々で委託のお店に持って行ったらまったく売れなかったというエピソードがあります‥(しょんぼり‥でも、思いをしっかり綴ったネットショップの方ではちゃんと売り切れました。)

「絶対いい!!」と思っていても、消費者側にはその思いは必ずしも伝わらないのね、というのを突き付けられた、思い出深い商品でもありました。


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ともかく、企画から発信、製作、梱包、発送まで、一貫しているのは「喜んでくれるかな」というわくわく感です。

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それは、前述した友に送る詰め合わせとまったく同じ気持ち。


活動をしているスタッフたちも、みなこの気持ちを共有していて、一緒にわくわくし、その高揚感をそのままWEBでお伝えしている。そんな感じなのです。


ところで「詰め合わせ」に似た言葉に「詰め放題」がありますね。「詰め放題」には、また違う高揚感がある気がします。「こんな小さな袋にこんなに入った!」という気持ちの中には、「やってやったぜ!」という「征服感」のようなにおいがします。私の場合、「放題」でたくさんゲットしても使い切れず捨ててしまう、ということになりそうなので、ほとんど参戦したことがないのですが、たまにスーパーで人参を袋に入れておられる、その芸術的なフォルムに心を動かされることもあります(やってみたけどうまく入らなかった。あれは鍛錬が必要ですね)。

「放題」よりも「合わせ」の部分に惹かれる自分としては、立ち上げ当初からの気持ちをしっかり持続させて、これからも皆さんに「うわ~!!」と思わず声が出てしまうような高揚感を持っていただけるよう、商品企画をしていきたいなあ…と感じています。

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2020年は、会いたい人に直接会えない、という気持ちを多くの方が抱えて過ごした、歴史的な年になりました。思いをモノで表現するのは時に俗っぽい、と思われることもありますが、でも、「喜んでもらえますように」という気持ちでモノを選ぶ、そのわくわく感はとても崇高なものだと思います。

皆さんにそんなわくわく感を持ってもらえるように、ネットショップもまだまだ充実していけたらいいな、と考えています。今後はもっと、「個」に焦点を当てた、「ほかの誰でもない、あなたに」という気持ちのこもった商品の提案ができたらいいなあ…と、ここ1年くらいスタッフと話をしているところ。

世の中の流れも、カスタマイズに移ってきつつあるな、というのをなんとなく感じています。

「ものを売る」というのは簡単なことではないのだけど、ものを通じて気持ちを届けたり、ものによって気持ちが豊かになったり、という、もの向こうにある「思い」をこれからも真ん中に考えていきたい。

「会いたい人に会えない」という悲しい状況からではありますが、ものを贈るという行為の価値を再認識、再評価した日々だったなあ…という、そんなお話でした。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。