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「害獣」に価値を見出した移住料理人の新商品を堪能。

おはようございます。

何だか最近「作ってみた」「食べてみた」の記事が多くなっているのですが、今日はいつもお世話になっている「KANUKA PARK」さんの新しい商品を食べてみました、というお話です。(ただいま、秋のイベントに向けていろいろと試しているところなのです。)

「KANUKA PARK」は雲南市の山の中にあるイノシシ肉加工施設です。
オーナーである鹿糠俊二さんはもともと神奈川県出身。

島根の中山間地域では深刻な問題となっている「害獣」イノシシを、自然の恵みがもたらす「おいしい食材」としてポジティブにとらえ、新鮮なうちに処理・加工してお客さまへお届けする加工施設をオープンされました。東京などでシェフとして活躍されていた鹿糠さんならではのスパイスの調合や技術で調理されたイノシシソーセージは、ワイルドな中にも絶妙なうまみが凝縮されていて、本物を感じさせる味わい。ソーセージについてはこちらの記事で詳しく紹介させていただきました。

オーナーの鹿糠俊二さんには、「シマシマしまね」のワークショップ講師としても大変お世話になりました。また、奥さまである鹿糠さやかさんは素材にこだわった焼き菓子を製造しておられて、こちらもすごくお世話になっています。移住される前から施設を訪れていただいており、お子さんの成長も見守ってきた…なんだかちょっと他人じゃない感じさえするおふたりなのです。

今回事務所で食べてみた、のは、「猪パテ・ド・カンパーニュ」と「地元野菜&猪肉のミートソース」。ワイルド感あふれるネーミングですが、どちらも本当に繊細で、おいしいお料理でした。

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パテ・ド・カンパーニュは、イノシシ肉のミンチのほか、レバーや心臓などの内臓も入っています!それを玉ねぎや香辛料と一緒に混ぜ込み、肉汁が逃げないように猪の網脂で包み、じっくりと焼き上げている、というお料理。アクセントにはピスタチオ。すごくおしゃれなデリ、という趣です。

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肉の処理ももちろんですが、野生の肉の内臓となるとやはり処理をしっかりしたうえでおいしさを引き出す、というところがポイントになるのでは、と思います。確かな腕がなければできない仕事。手間ひまを繰り返して作られたパテ・ド・カンパーニュは、1週間以上寝かせて素材の味を一体化し、なじませてからカットし、冷凍しておられます。

この料理の開発には、鹿糠さんの「レバーやハツ(心臓)を捨ててしまうのはもったいない」という思いがあります。いただいた命をしっかりと「いただき切る」ことができれば、そしてそれが美味しければ、めちゃくちゃエコだし、サスティナブルだし、誰にとっても幸せ、ですよね。ソーシャルグッドの極み!

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この日は松江市の「CARRE」さんで朝焼きたてのライ麦カンパーニュを買って、サラダやじゃがいものハーブソテーと一緒に盛り付けていただきました。

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田んぼが見える雲南の田園風景が、急にフランスの片田舎になったような…そんな錯覚を起こすほど、おしゃれ!

レバーの食感が苦手な方にはおすすめしにくいのですが、臭みはなく、滋味あふれるおいしさです。フェンネルなど香りの強いハーブや野菜との相性が良さそう。黒コショウやマスタード、ピクルスなどを添えて食べてもおいしいそうです。酸味のあるパンとのバランスも良かったです!調理は不要なので、自然解凍してそのままいただけるのも手軽で嬉しいところですね。

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また、ミートソースはイノシシ肉を粗めに挽いたミンチと、雲南市産の野菜をじっくり6時間コトコト煮込んで作られています。粗めのお肉がボリューム感を出していて、食べ応えもたっぷり。

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ちょっと肉団子みたいな食感も味わえ、パスタとの相性はもうパーフェクト!です。こちらも自然解凍の後あたためてパスタにかけるだけ、なので、何しろ簡単で贅沢で嬉しい。

イノシシ肉、と聞くとちょっと構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の手を加えずに育った野生ならではのお肉は、肉自体の味がしっかり感じられ、濃厚な旨味が詰まっています。そのワイルドさを程よく残しつつも、嫌な感じにならず美味しさをぎゅっと感じられるのは、鹿糠さんの的確な処理と絶妙な調理のおかげ。

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移住者である鹿糠さんにこうして島根のいいもの(しかも本来は害のあるものとされているイノシシ肉)を素敵にプロデュースしていただき、「おいしいでしょ」と形にしてもらうことで、私たちも新たな島根の良さに気づかされたり、はっとしたり、新鮮な気持ちをいつもいただいています。

ビジネスとしてももちろんですが、その根底にある「ここにあるいいものを、いいものとしてそのまんま、皆さんに知ってもらえたら、もっと盛り上がるはず」という鹿糠さんの信念が、新しい風を起こしているのかなあ、と納得しながらいただきました。

鹿糠さんが加工施設をオープンされて、シェフとしてそのお料理を楽しめなくなったことは、いちファンとしては非常に残念なのですが、こうして新たな商品を出してくださることで、自宅で気軽に、シェフのお料理を食べることができる、と前向きにとらえて楽しみたいと思います。

「KANUKA PARK」のネットショップで販売中ですので、ジビエに興味のある方は、一度お試しくださいね。



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