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もし、もう一度引き出物が選べるとしたら。

先日スタッフ同士で話をしていて、「結婚式の引き出物」の話題になりました。
「もう一度結婚式をするとしたら、引き出物どんなのにする?」

まあ、ありえない話なのですが…。

20代の若い頃、もちろん「くらしアトリエ」の活動なんてしていないし、何なら「こんなところ、何もないな」と愚痴を言いながら山陰で暮らしていた私。
結婚式は出雲大社で行い、披露宴などはせず、お互いの家族だけがこじんまりと集まっての食事会を催したのですが、引き出物は百貨店に勤めていた兄に頼って、

・女性にはウエッジウッドのひざかけ
・男性にはバーバリーの何か(もう忘れた)
・引菓子はパティスリーキハチ(当時すごい流行ってた)の焼き菓子セット

という、ブランドばりばりの、今思うとちょっと恥ずかしいラインナップだったのでした。当時の自分の「都会が上で田舎が下」という浅はかな考えが透けて見えます…。

当時の私が重要視していたのは「かさばらないこと」。
カタログギフトなどもなかった時代。重たいものは贈りたくない一心で、東京に暮らす兄のセンス(笑)に任せて用意をした記憶があります。今思うと、地元感ゼロで笑えますね。

別のスタッフは当時九州に暮らしていたので、地元のうつわのセレクトショップで、参加者の方それぞれのイメージに合わせたカップを贈ったのだそうです。なにそれ素敵!と思ったのですが、やはり念頭には「あまりかさばらないもの」というのがあったらしい。

それなのに…私とそのスタッフに共通していたのは、どちらも「親に勝手に赤飯とかまぼこ詰め合わせをプラスされていて、結果的にめっちゃ重たい引き出物になった」ということなのでした…。

びっくりしちゃうようなエピソードなのですが、同じような経験のある方ももしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。

結婚式といえば白い大きな紙袋にどっしりとした引き出物じゃないと!という当時の年長者の概念は、若い新郎新婦には覆せなかったのでした。

いや、赤飯もかまぼこも、おいしくて好きなんですけどね…許可なく「かさばるものとして」追加されたっていうのはやっぱり、衝撃的でした。

当時は披露宴をする会場が提携しているお店の商品からじゃないと選べない、とかいう縛りもあったり、そもそもカジュアルなウエディング自体が存在していなかった時代でもあったりして、引き出物を選ぶというのは、特に地方ではけっこう大変だったなあ…という思い出です。

(ちなみに、披露宴をしなかったので、個別にお祝いをいただいた際には内祝いとして結婚した年号がエッチングされたペアのグラスを用意しました。これは米子の「ティズクレイ」さんでオーダーしたもので、当時の私は「クレイさんで内祝品をオーダーできる」ということが嬉しくて仕方なかったのでした。)

もし、いまもう一度引き出物を選べるなら、兄に任せてブランド品を贈るという選択肢はないなあ。

例えば私の出身地である鳥取のものと、オットが暮らす島根のものを贈るとか、それこそ地元のうつわを贈るとか…お菓子も自分が好きなお菓子屋さんにお願いをするだろうし、パッケージもちょっと自分でやってみようかな、とか、考え始めると妄想が広がります。
こう考えると、なんだかもったいなかったなあ、私の結婚式。

割と最近に結婚したスタッフは、会場の装花やお菓子のひとつひとつにまでとてもこだわっていたりして、うらやましい。

そういう細やかなところにまで心配りができるって素敵です。


思うに、結婚式の引き出物って「シビックプライド」を具現化する一つのいい機会ではないでしょうか。

シビックプライドとは…くらしアトリエが活動のコンセプトとして掲げていることばです。

一般的には「まちへの誇り・愛着・共感」をもち、まちのために自ら関わっていこうとする気持ち」のことを指しますが、私たちが思うシビックプライドはもっと暮らしに根差したもの。

地元産の野菜でおいしいごはんを作ろう!という気持ちや、おいしいお店を開拓したり、それをSNSで発信したり、そんなひとつひとつの積み重ねが「ここに暮らしててよかった」という思いにつながるわけで、それこそが地域への誇りなのだ、と思っています。

そんな、自分の足もとをあらためて見つめ直し、自分が暮らした町、パートナーが暮らした町、あるいは、二人でこれから暮らしていく町のことを、皆さんに知ってもらう機会になり得る「引き出物」。

自分のルーツである場所で作られたものや、相手の出身地のものを「贈る」という行為によって、出席された方に「私たち、こういう背景のもとで暮らしてきました」というのがちゃんと伝わる。自然と新郎新婦に思いを馳せることにつながるし、土地への興味も沸くし、いいことづくめです。

そういえば数年前、オットが滋賀県の知人の披露宴に出席したのですが、引き菓子がバームクーヘンだったのです。が、パッケージの裏を見たら作っていたのが大阪のお店で(たぶん結婚式場と提携しているお店なのでしょう)、私は「滋賀で!バームクーヘンなのに!なぜクラブ〇リエじゃないのか!」とオットにさんざん文句を言った、なんてこともありました(オットに罪はない)。
滋賀で結婚式=引き菓子はクラブ○リエのバームクーヘン、と勝手に期待した私も悪かったのですが、やっぱりその人が育った土地のおいしいもの、が贈られたほうが嬉しいんじゃないかなあ…と思います。

引き出物に限りませんが、その人のルーツが感じられるものをもらうと、ものの向こうにある背景を思うことができるだけじゃなく、なんだか自分に心を許してもらった気がして嬉しくなります。

私にはもう引き出物を贈るチャンスはないので、これから結婚する、という人にはぜひ、自分が吸ってきた空気、見てきた景色、触れてきたもの…そんなルーツが伝わるような選び方をおすすめしたいです。

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