見出し画像

雲のすき間から、かすかに光が見えて……🌻🌻

 12年前に実家が燃えて、可愛がっていた甥っ子が亡くなって、妹の心が壊れました。

 私は仕事を辞めて妹を介護することにしました。

 母が「お前のお給料じゃ、住宅ローンは払えないけど、恵子を職場復帰させれば住宅ローンは返せる」といいました。

 確かに公立の保育所の保育士である妹と、民間の介護事業所のケアマネージャーの私とでは倍近くの差がありました。

 しかも私は脳性まひで車の運転もできず、自転車にも乗れないので、妹を介護しながら仕事を続けても、わたしのお給料では住宅ローンの返済は無理でした。

 当時の母は元気満々の高齢者で100歳まで生きて当然のようで、「お前の生活費はおれがだしてやる」といいました。

 そして「お前は空いた時間に小説を書け、おれのことを書けばいい、おれは面白いぞ」といいました。

 私は母の言葉にうなずいて、仕事を辞めて、妹の復職プランをたてました。

 長期目標と短期目標を仕事の続きのようにたてました。

 心療内科への通院同行、デイケアへの移行、復職プログラムを実行に移し、1年半をかけて妹を復職させることができました。

 でも、長くは仕事を続けることはできず、また休職になってしまいましたが、今度は化学物質過敏症による喘息で、症状は悪化するばかりで、結局退職することになりました。

 その後、母は85歳であっけなく亡くなり、去年の終わりに貯金は底をつきました。

 マンションを売ることに決めて、ふるさとに帰ることにしました。

 実家に帰る気動車の走る街で、再出発することにしました。

 曇った空の上には光があります。

 ひまわりのように明るかった妹の笑顔が戻りますように。

 きっと神さまが整えて下さった道があることでしょう。

 そんな気がする空でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?