見出し画像

くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第187回 「ADHDとASDが見ている世界の『解像度』ってどんだけ違うの!?」ってお話

*この記事はゲスト回の中編となります

登場人物

Kindle版も好評販売中!

前回

本編

[く] これまではADHDとASDの違いについて語ってきたのですが、ちょっと志堂さんと私の会話のペースが違いすぎて色々噛み合わない、という現象が起きています(笑)

[寺] くらげさん、タイピングが結構早いですからね。というか、考えて書いていますか?

[志] 以前寺島さんとお話しした時に、「会話している時の自分の頭の中」に気付いたという話をしました。そしたら詳しく話を聞いてみたいと伺っていたので、今回はそのリクエストにお応えしたいと思います。

[寺] 以前に駱駝家さん(ADHD/ASDの友人)が、一度頭の中にタイピングされた文字を読むような感じで話すと言ってて、面白いなーと思ったんですけど。志堂さんはどんな感じなんですか?

[志] 私は頭の中で文章を作りながら話しているのには以前から気付いてました。ですが、その文章に至るまでの過程がわからなかったんです。この過程には、『鋼の錬金術師』という漫画が関係しています。作中に出てくる錬金術は「理解・分解・再構築」という仕組みなんですが、実は私が会話する時の頭の中も似たような感じなんです。

[く] どういうことです?

[志] 私の場合、何か物事について話そうとすると、その物事のイメージ(画像・映像)がまず頭に浮かびます。イメージがどんな要素で、どんな構造でできているかを〝理解〟した上で〝分解〟し、言語に〝再構築〟する。その言語から文章を作りながら話す、という感じなんです。 

[寺] いったん単語の時代(?)があるんですね。

[志] 単語……そうですね。そのイメージに見合った言葉がすぐに見つかればいいけど、そうでない場合は、「何を言ったらいいかわからない」「どう説明していいかわからない」ということが起こる、と気付きました。これに気付いたのは絵を描き始めた後からなので、本当に最近です。ちなみに文章を書く時も同じ手順を踏みます。私もタイピング自体は早いんですが、頭の中で文章を作りながら打つのでくらげさんよりもスピードが落ちるのではないかと。

[寺] ああ、わかります。どう束ねようかな〜みたいなのに時間かかりますよね。私は頭の中に文字はないです。書き出しながら文章を整えるのが一番ラク。発話はしどろもどろですね。絵を描く人は思考もイメージのままでこねくり回す人多いんですよ。イメージのままの方が量的に大きいまま扱えるので漏れがないように思われるのですが...。でもこういう話、文字思考派の人は全く理解できないみたいなんですよ。言葉にしないことは考えてないも同じという人もいて、格差を感じますね。

[志] そうです。どう収束させるかにかなり迷います。 私の場合、元々は絵を描く人ではなかったんですけどね(笑)絵自体は見るのは好きでしたし、描けたら楽しいだろうなとは思っていたのですが。いかんせん、画力がないと思っていたもので……アナログ画がはちゃめちゃに苦手というのもありましたから。「言葉で説明できない=理解していない」と言う人はいますよね。実際は言葉で説明するのが苦手なだけなんですけども。

[く] わかんないですねぇ(笑)。いや、ほんと頭の中でイメージがあってもそれを言葉に分解して取り出す人間なので。これはADHDがどうの、というより脳の癖な気もしますけど。私は頭と口が直結してるので、「何を言ったらいいかわからない」ということがないんです。正直、言いよどむときは「これ言ったら怒られるな」「損するな」という判断が働くときで、言いたいことは常にあります(笑)。話すことが考えること、書くことが考えることなので頭の中でぐるぐるしてるときがあんまりないです。

[寺]  分かりやすい例では、絵を描く時、建物の角度を少しずつ頭の中で変えて 「あっ、ここだ!」っていうところで固定して描き始めたりしますよね。イメージのまま 「考える」と窓の数とか、窓に見える色が何かということや、面の大きさ、影の当たり具合、更にその背景まで一度に精査できるから大きな情報を一度に扱えるじゃなーい?って思っています。

[く] 逆に言葉だけの人はリニアですよね、処理が。リニアでしか処理できない(笑)でも、ハマると返答がめちゃくちゃ早かったりします。

[寺] 確かにくらげさんはリニアだ(笑)私はイメージ思考の中から、相手が必要とする答え...例えばサイコロの映像があるとすると、隠れている目はいくつか「だろうな」と推測するのに時間がかかっていると思います。

[く] というか、脳のどの部分でイメージを捉えてるんですかね? 私はワーキングメモリがめっちゃ貧弱なのでどうしてもリニアにせざるを得ない面があるのかな、と思っているのですが。そういや、私、将棋できないんですよ。頭の中で2手以上考えるのが無理。頭の中で物事を展開させられない。あれ、言葉で処理できませんもん。たぶん、棋士に純粋なADHDいないと思います(笑)。

[寺] 棋士はASD傾向の強い人ばっかりだと思いますよ(笑)。

続きをみるには

残り 2,960字 / 1画像
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。