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人は簡単には変わらない

会社での部下のマネジメント、夫婦関係、子育てなど、人生に対人関係の悩みはつきものだが、その多くが「人は簡単に変えることができる」という誤った思い込みによって作られているのではないか?という仮説を持っている。

先日コーチングのクライアントさんから、毎日のように子供に片付けや食事のマナーなどについて指導しても一向に変わらず怒り心頭、という話を聞いた。

親なら誰しも遭遇することで共感しかなかった。

我が家でも「ランドセルをしまいなさい」「靴をそろえなさい」「食事中は左手をそえなさい」とほぼ毎日のように伝えていながら、変わらない現実にイライラしている。

僕がイライラしてしまうのは、自分が言ったことを聞いてもらえない虚しさや、自分をぞんざいに扱われている気がするからであり、子供に対しても自分の気持ちをもっとわかってほしいという思いからである。

しかし、人はそう簡単に変われないのだ。

人にはホメオスタシスという現状維持を強く望む機能が備わっている。

人はどんなに現状が不都合で、口では「変わりたい」と言っても、無意識は現状維持を望むやっかいな生き物だ。

他者に対して行動を改めるための言葉がけをして、その瞬間は反省したとしても、無意識は現状維持を望むから、結局また同じ行動を繰り返してしまう。

慶應義塾大学の前野先生が提唱した「受動意識仮説」でも、無意識によって意識は規定されるとされている通り、行動が変わるには無意識レベルで変わる必要がある。

この構造を知らずに「人は簡単に変えられる」という思い込みを持って周りと接してしまうと、どうにもならないことで苦しみ続けてしまう。

これはいい意味での諦めと忍耐が必要だ。

子供が言われなくてもランドセルを片付けるようになるには、片付けないと気持ちが悪いと無意識レベルで思えるようになるまで、じっと待つ必要がある。

感情をこめずにただ淡々と「片付けようね」と毎日言い続ける。

言ったらすぐに変わると期待してしまうと、それが執着や苦しみに繋がるので、間違ってもすぐに変わると期待してはいけない。

これは簡単なことではないし、未だにイライラしてしまうことはよくあるが、どうにもならないことに悩むのではなく、より楽しいことに時間を使いたいと思うから、合理的に考えて実践してみようと思える。

仕事でもパートナーシップでも子育てでも、何か悩みが生じた際は「人は簡単に変わる」という誤った前提に立っていないか?とぜひ問い直してみてほしい。

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