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ゲームUIデザイン独学レポート その1

はじめまして。国東愛永です。
ゲームUIデザイナーに転職したいので勉強をしている者です。

この記事はGame Graphic Design Advent Calendar 2019の17日目の記事です。

UIデザインの情報は少ないので、まとまった形で、
しかも毎日更新されている今回のアドカレの記事は非常に貴重&参考になり、私も毎日楽しみにしています。

私はまだUIデザイナーではないのですが、自分の体験を書くことで他の学習者の助けになったらいいなと思い、参加させていただくことにしました。よろしくお願いします。

https://adventar.org/calendars/4439

今回はゲームUIデザインを手探りで学んだ過程を振り返ってみたという視点で書いてみたいと思います。

⓪「UIが良い」と評価されているゲームをプレイしてみた

・バイオハザードリベレーションズ1 3DS
・Dead Space PS3
・ペルソナ5 PS4

まずはこのあたりのソフトを注意してプレイしてみました。

観察してみて気がついたのは「UIが良い」と言ってもどんな風に良いのかはゲームによって全く違うという点です。
その違いがなんなのか説明できるようになる必要があるな、と目星をつけ
そこを基点に学習していくことにしました。

①UIデザインの仕事の全体像が把握しづらい

進めていくうちに、
ただ単に業界研究をしただけではやることの全体像がイメージしづらく、興味があっても始め方がわからないといった状態に陥りました。

いま振り返ると全体像がわからなかった原因はこの3つ。

UIデザインに関する情報が少ないため、断片的な情報を頼りに学習する必要があった

「UI」という言葉が指す範囲が広すぎるので、最初のうちはどの意味でのUIなのか判断するのが難しい

「どこまでがUIデザイナーの担当なのかは会社や開発チームによって違う」という事情を知らないと混乱する

当時はこの原因をはっきりと認識しているわけではありませんでしたが、
この問題を解決するためには
ユーザー体験やユーザー導線、ビジュアルを考えるだけでなく、
まず開発のワークフローを意識し、その中で考えていく必要がある
ことに気がつき、
そのための学習をしていくことにしました。

②UIデザインの全体像を把握するために役立った本3冊

ではどうやって全体像を把握したかと言うと、
関係ありそうな本やブログの記事を片っ端から読み続けていたら
だんだんわかってきたという身も蓋もないやり方をしたんですが、

あまり効率が良くないし、これでは他の人の参考にはならないので
その本の中から全体像の把握に重要だったものを選んで
オススメしてみます。

初心者がまずUIデザインの全体像を知りたい場合、
この3冊でかなりの部分をカバーできると思います。

『ゲームインターフェイスデザイン』

ゲームインターフェイスデザイン 


ゲームにおける広義のUIについて網羅した書籍で、
どの意味でのUIなのか分類するのが楽になり、
混乱を解決しやすくなりました。


特にUIの表現方法の四分類を読んだ後は頭がスッと整理され、
良いとされるUIデザインに多様性がある理由が納得できます。

唯一の欠点はコンシューマーのゲームソフトがフルプライスで一本買えるほど値段が高いことかな?自分は図書館で読めたのでラッキーでした。

『誰のためのデザイン?』

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論


人間工学の基本の考え方がまとめられている非常に有名な本。
有名すぎて説明はいらないんじゃないかと思うほど有名。

専門知識がなくても読めて、しかもスラスラ頭に入ってくる。
UI全体に共通する考え方の基本が学べました。
迷ったらこの本を読み返し、
新しいことを学んで一区切りつくたびに読み返す、
という何度も読み返す使い方をしました。

『マイクロインタラクション』

マイクロインタラクション ―UI/UXデザインの神が宿る細部


ゲームのUIではなくスマホアプリのインタラクションについての本ですが、
上の二つの本の内容を実践するための手がかりになる考え方を学べました。

UIを構成する最小単位がインタラクションだとわかると、
UI全体の設計から実際の画面にどうデザインを落としこんだらいいか、
段階的に分解していく作業がどう進むのかを把握しやすくなります。

③コミュニケーションのための準備

実際の仕事ではUI以外の担当者とのコミュニケーションが重要だとわかったので、
意思疎通を楽にするために相手の分野の基礎を予習しておくことにしました。

【プランナー対策】

・ゲームデザイン、遊びの本を一通り読んでみた
具体的にはこのあたりの本です。

ホモ・ルーデンス 文化のもつ遊びの要素についてのある定義づけの試み (講談社学術文庫)

遊びと人間 (講談社学術文庫)

ルールズ・オブ・プレイ(上) ゲームデザインの基礎

ルールズ・オブ・プレイ(下) ゲームデザインの基礎


キリギリスの哲学―ゲームプレイと理想の人生


フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)


ビデオゲームの美学 

「レベルアップ」のゲームデザイン ―実戦で使えるゲーム作りのテクニック 

一通り読んでみた結果、
ゲームの体験に必要な記号をデザインするのがUIデザイナーの役目なんだなと納得できました。
だからどんな体験をつくるのかによってやることが大きく違う
そこから自分のスキルでその体験にどんな貢献ができるのかを考えていく感じかな?


・要件定義の本に目を通してみた
どんな風に仕様書が来るのかわからなかったので、
初歩的な要件定義について知っておこうと思い読みました。
全く知らないよりも考えやすくなったかなと思います。

はじめよう! 要件定義 ~ビギナーからベテランまで

要求仕様の探検学―設計に先立つ品質の作り込み

人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない (Professional computing series (別巻3))

【エンジニア対策】


知識がゼロだったので、段階的に習得していくことにしました。

1.基礎知識
→基本情報技術者の資格を取った

情報系の知識が足りず、どう勉強したらいいかわからなかったため、
まず基本情報技術者の資格を取ってみることにしました。
実務的な部分にはあまり関係なく、ゲームから遠い内容でしたが、
ある程度まとまった情報系の知識を勉強するための枠組みが欲しかった自分にはけっこう役に立ちました。

他の人にオススメできるか?と言うとちょっと微妙。
開発会社に新卒で入れば研修でカバーしてもらえる範囲じゃないかな?

2.プログラミング
→ArduinoやProcessingをいじってみた

プログラミングがどんなものか実感していなかったので知りたいと思い、
初歩的な部分だけですが触ってみました。
少しだけでも触った経験があれば専門外の人でも知識が身につきやすくなると実感できたのはよかったですね。

しっかり知識を身につけるための下地としてはよかったものの、
UIデザインがしたいだけなら回りくどかったような気がします。
多分Unityをいじったほうがいい。

3.設計
→オブジェクト指向プログラミングについて調べてみた

「インターフェイスとユーザーインターフェイスの違いって何?」
「情報設計がなんなのか、UIの勉強だけではいまいちわからない」
と思ったので入門書を読んでみました。
実装と機能を分離させて考えるのがインターフェイスで、
ユーザーインターフェイス(UI)はインターフェイスをユーザー向けにデザインしたもの
…と定義できてから全体像を把握するのが楽になり、
UMLは作業フローを把握するのに役立ちました。

ここも初歩的なことだけで十分かなと思いました。


ただエンジニアではないUIデザイナーがどこまで学んだらいいのかは不明。
ここのさじ加減はちょっとわからないですね。
これもケースバイケースなんでしょうか。

④まとめ:UIデザインだけを学ぼうとしても、UIのデザインはできない?

確かに「何を」作るかはユーザーのことを中心に考えたUIなんですが、
それを「どうやって」作るかになると、開発のワークフローに重点を置いた方法を考える必要があり、
この2つの視点を両立させるのが未経験者には大変で、
どんな仕事なのかイメージしづらいため、志望者が少ないのかな…
独学を進めているとそんな印象を受けました。

つまり
UIの全体像が把握できないとUIのデザインについて深く考えるのは難しいが
そのUIの全体像を把握するには先に開発の全体像を把握しなくちゃいけない

経験者にとっては当たり前かもしれませんが、
UIデザインを学んだり練習したりするのが難しい理由の1つは
UIデザイン「だけ」をやることが難しいからだと思います。

ゲーム開発の他の職種とはここが違いますよね。
2Dも3Dもアートはアートだけでスキルを伸ばすことができるし、
プログラマも自分のスキルに集中していれば活躍できます。

完全に分業された1つの職種として独立した領域があるんじゃなくて、
他の職種との協調が前提になっているのがUIデザインの大きな特徴だと思います。
その結果、必要な勉強量が多い
これがハードルの高さになっているのかな?

私は元漫画家志望者で、こういう作業に慣れており、楽しかったですが、
人によっては面倒に思えるのかもしれません。
ジャンルの違う要素を枠組みを超えて組み合わせ、一貫性のある形に整理にすることにやりがいを感じるタイプには魅力的だと思います。

以上です。

長い上に堅苦しい文章になってしまいましたが…
このnoteが他のUIデザインを勉強している方々、
特に私と同じ初心者の悩みの助けになれば幸いです。



読んでいただきありがとうございました!

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