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BeautyTech その可能性を現場から探る~Part2.「マーケット」編~

前回、「AI」を軸にBeautyTechにおける課題とその可能性を書きまして、予想以上に多くの方に読んでいただけて、さらにシェアまでしていただけて嬉しかったです。
ありがとうございます!
おかげさまで、自分の1番最初のnoteである誕生日コンテンツ記事のview数を全然超えて未だにジワジワ伸びてまして、周囲の知人だけでなく、直接的な面識のない方々にも届いていることを実感しております。

さて、今回も前回同様、メイクとスキンケアに絞ってお話していきますが、
・BeautyTechが主戦場はどこなのか
・そのマーケットの成長可能性は?

を軸にお話します。

なぜマーケットを考えるかと言いますと、どんなに素晴らしいテクノロジーでも市場の需要が無かったり、インパクトさせる場所を間違えると継続提供や開発が難しくなるからです。
この記事は、BeautyTechのその可能性がどこにありそうかを考察していくものであり、正解かどうかは今後の市場を見てみないと誰にもわからないという前提で読んでいただければと思います。

1. 世界の化粧品市場の今

メイクやスキンケア関連のBeautyTechは、文字通りメイクやスキンケアのサポートを行うテクノロジーが多く、主に化粧品市場がターゲットになります。

【全世界化粧品市場】
 ・市場規模は約34.5兆円(2021年で約37兆円)
 ・生産の55%は欧米(日本は8%)
 ・輸出の50%は欧州製
 ・需要1位はアジア太平洋(次いで北米)

【日本国内化粧品販売金額(2018)】
 合計: 1.7兆円
 ・TOP3
 皮膚用化粧品: 8,503億円(スキンケア系)
 頭髪用化粧品: 4,144億円
 仕上用化粧品: 3,615億円(メイク系)

また、市場規模を押し上げるのは購買量の増加と購入単価の上昇であり、前者は人口、後者はGDPに依存するため、人口の多い国の経済発展が規模を押し上げる大きな要因となります。
なので、日本の約2倍の市場規模が既にあって、人口も約12倍で、1人あたりのGDPの成長がまだまだ見込める中国市場が世界から注目されないわけないですよね。
個人的には、インド市場の伸び率がすごそうな予感がしてます。

【ビューティー&パーソナルケア市場規模と人口】
 1. 米国:9.6兆円(3.2億人)
 2. 中国:6.7兆円(14億人)
 3. 日本:4.0兆円(1.2億人)
------------------------------
 8. 印度:1.5兆円(13.5億人)

※ソース
https://www.similar-web.jp/blog/archives/9735
https://twitter.com/kunichan0402/status/1122320868955181056
(日本国内化粧品販売金額はリンクが切れてました・・・Orz)
https://www.shiseidogroup.jp/report/data/market_data.html

2. 化粧品のECは、衣類のそれと同じ成長速度

世界の化粧品市場の簡単な数字を紹介してきましたが、BeautyTechが化粧品市場のどの部分に対して1番インパクトを残すのかは、僕もかなり悩みました...
なぜなら、BeautyTechを導入したからといって個人の化粧品購入数や消費量が爆増したり、いつもの2倍, 3倍高い単価の化粧品を買うようになるとはなりづらいので、化粧品市場規模を直接的に大きく押し上げる要因にはならないからです。
そんな中、いろいろ調べていたら、世界的にEC市場がとんでもないことになることがわかりました。

2021年の世界EC市場規模:536兆円(4.88兆ドル)

( ゚д゚)ポカーン

最初見た時、数字の桁が間違ってるのかと一瞬思いましたが、どうやら間違ってないようです。
毎年20%前後の驚異的な伸び率であり、今の日本のGDPが4.87兆ドルなので、ちょうど同じサイズです。
EC化率も2021年に世界全体で17.5%に達すると予想されています。
ちなみに、この市場規模の約1/5は中国の市場で作られるようです。(ガクブル)

さて、世界がこのような流れとなっている中、化粧品市場だけ流されないかというと...

【国内化粧品・医薬品のBtoC-EC市場規模】
 2013年:4,088億円
 2017年:5,670億円

【国内物販系EC市場の前年成長率TOP3】
 1位:雑貨, 家具, インテリア(9.8%)
 2位:事務用品, 文房具(8.2%)
 3位:化粧品, 医薬品(7.6%)
 3位:衣類, 服装雑貨等(7.6%)

しっかりとこのECビッグウェーブに流されています。
なんならECの抵抗無くなってきた衣類と同じ且つ、TOP3に入る成長率。
しかし、ここで大事になってくるのが、ポテンシャルです。
EC化率が高ければ高いほど、EC市場におけるそのジャンルの成長ポテンシャルは低くなります。

【国内物販系EC市場のEC化率ワースト3】
 1位:食品, 飲料, 酒類(2.4%)
 2位:自動車, 自動二輪車, パーツ等(3.0%)
 3位:化粧品, 医薬品(5.3%)

しっかりワースト3に入ってます。
家電のEC化率が約30%なので、その低さがわかると思います。
つまりは、伸びるし、ポテンシャルもかなりありそうですね。

※ソース
https://www.stockclip.net/notes/5511

3. BeautyTechは化粧品のEC化を加速させる

化粧品のEC市場のポテンシャルを書いてきましたが、僕はBeautyTechがそのEC化率を更に加速させていくのではないかと考えています。
なぜなら、化粧品のEC化が進みにくい主な理由が大きく以下の3つになるのですが、その内2つはBeautyTechが解決してしまいそうだからです。

【①EC以外の販売チャネルが多数】
化粧品は百貨店やドラッグストアなどの店頭販売から、訪問販売、カタログ通販、テレビ通販など多数の販売チャネルが存在します。
ドラッグストアに限っては、全国に約1.5万店舗もあるそうです。
つまりは、平日帰宅時とか休日とか、日用品を買いに行くときとかに少し寄るついでに気になるコスメ等をさっと試してさっと買える環境が整っているということですね。
特にメイク系の化粧品となるとプチプラのものをわざわざ送料払ってネットで買うと割に合わない感が強く出てしまいます。

このチャネルの話は、BeautyTechで解決するというよりも、これから幅広い多様性に対応する様々なブランドがD2Cなどで出てくるトレンドが更に加速する(※掘り下げると長くなるので割愛)ので、それら全部を各店舗の店頭に並べられるかというと、店内の場所も限られているし、ある程度売上ないと置いてもらえないし、そもそも自分の住んでいる地域には店舗が無かったりすることも多いと思うので、やはりECの需要はますます大きくなるのかなと感じています。
敢えて言うなら、この流れをよりスムーズにする下記の②のような顧客体験を作り上げるのがBeautyTechの役割になります。
テクノロジーが発達してより細かい顧客ニーズに答えられるようになると品数もどんどん増えるので、店舗にすべて置くという考え自体に無理が生じてくるのは想像に難くないと思います。

そういえば、amazonもスキンケアPB出しますね。


【②実際に試したい】

メイク用品であれば色味や発色、スキンケア用品であれば肌に合うかはもちろん、ベタベタしないかなどの肌触りなど、もう実際に試してみないとわからないことは多いですよね。
高ければ高い商品ほど試したくなります。

メイクに関しては、前回の記事でも触れましたが、YouCamメイクを始め、AR技術を用いてカメラに映った自分の顔に直接メイクを載せてくれて、その質感や色味をつけなくても試すことができるため、実際に店舗で使ってみなくても購買に繋がりやすくなります。
すごくタイムリーなのですが、昨晩テレビで錦織とナダルの激闘を観ていたら、ロレアルが買収したModiFaceというメイクシミュレーションのBeautyTechを持つ会社がAmazonに技術提供する情報が入ってきました。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000962.000004612.html

このように、みなさんが普段使うECプラットフォーム上でより手軽にメイク体験をすること自体が可能になってきています。
そして、メイクは骨格、各パーツのサイズ・バランスによって同じ「大人可愛くなりたい」でも人によって全然異なってくるので、例えばこの先BeautyTechによって「自分と同じ顔の形をしている人はこのアイライナーをこんなに上手に活用しているんだ」、「チークはこういう塗り方をしているんだ」のようなことがわかるようになってくるのも時間の問題ですね。

では、スキンケアはどうかと言いますと、肌検知のBeautyTechによって解決されると思います。
弊社が挑戦している部分でもあるのですが、前回の記事にも記載した通り、肌検知を作るのはかなりのハードルを乗り越えないといけません。
しかし、現場で開発している感覚ですとこれも時間の問題ですね。
納得感の高い肌検知を気軽にできる時代はすぐそこまできているし、なんなら弊社がやろうとしてるし・・・w

ただ、たとえ肌課題に合うスキンケア用品がわかったとしても、実際に試してみないと肌触りはわからないと思います。
ここで顕著な問題になるのが、デジタルマーケティングの難易度です。
そうです。宣伝です。広告です。化粧品EC的にはサンプリングです。
しかし、そこでも役に立つのが肌検知のBeautyTechです。
理由は以下で書いていきます。

【③デジタルマーケティングの複雑化と費用の高騰】
最近のデジタルマーケティングは、SNS, アドネットワーク, インフルエンサー, SEO, 動画サイト, O2O...というように選択肢が多すぎて複雑性が増しており、且つ化粧品市場は資本力のある多くの大手企業が参入しているレッドオーシャンであるので競争が激しく、1人あたりの顧客の獲得費用も高騰しています。
その打撃をもろに受けているのが特にスキンケア系の化粧品だと感じています。

スキンケア系のほとんどは「敏感肌のための...」、「ニキビのための...」、「シワを改善する...」のような機能訴求商品となっています。
つまりは、そういう課題を持った方に届けられたほうが1番効果実感が高いわけですが、今どこにそのような課題を持つ方がいるのかを探す方法がほぼ皆無です。
理由は、みなさんそれぞれバラバラの肌検知機を使っているか、自分の感覚かだからです。
となると、届けたい人がどこにいるのかわからないスキンケア系の商品は、1人の顧客を獲得する単価がより高くなります。(もちろん商品も高い)
実際、現状の広告では、例えば敏感肌向けの商品であれば、自分が敏感肌だと思っている人にしかクリックさせないようなクリエイティブを作成していたりします。

そこで、もしすごく使いやすくて信頼のおける肌検知サービス, アプリ, 機械のようなものが出て超流行りますと...

敏感肌向け商品の例

検知データを元に敏感肌の人がどれくらいいるのかがわかる


その人たちに敏感肌向けのサンプルを配布する

検知データを元にしているので効果実感されやすい

サンプル配布したお客様が定期継続カスタマーになりやすい

2, 3回目以降で回収すればいいので、1回目のサンプルにかけるコストを増やせる

お客様がサンプリングで試せる量や質が上がり, ブランドの訴求力も高まる

化粧品会社としてもユーザー側としても嬉しいですよね。
サンプリングやらなくても肌状態に応じたターゲティング広告を出せたりするわけですので。
このように、肌検知のBeautyTechがサンプリングの質にまで繋がれば、より化粧品のEC化率が上がっていくのではないでしょうか。


ここまでざーっと化粧品ECのお話を書いてきましたが、こういう調査をしていますと、「化粧品EC化率を上げるBeautyTechがマーケットを制する」だろうなと思うわけです。
また走りながら都度考えていきます。

4. 次回予告

毎日少しずつ書いていたら、気づいたら今回5000文字も書いてしまっていました...
頭の中で考えていることをどう伝えるのかをめちゃくちゃ考えて書きましたので、変なところあったらすみません。
ぜひtwitterのDMなどで優しく教えてくださいmm

次回のPart3でこのBeautyTechの可能性を現場から探るシリーズは一旦終わりにします。
さすがに1000-2000文字ぐらいに収めたいなぁと思います。
「BeautyTechが当たり前になった世の中ってどうなるんだろ」についてグダグダと書いていく予定です。

また、例のごとく、良かったらtwitterをフォローしてくださるとやる気出ますので宜しくお願い致しますmm


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