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【アーカイブ】放送開始10周年!! 「海賊戦隊ゴーカイジャー」(劇場版を中心に)


結構前の話になっちゃいますが、東映制作のスーパー戦隊シリーズ第35弾「海賊戦隊ゴーカイジャー」(2011年)が放送開始10周年を迎え、4月19日から東映のYouTube公式チャンネル「東映特撮YouTube Official」で無料初配信中されています。第1話は既に110万回を超える再生数を記録しています。

レンジャーキーというアイテムを使って、過去34の戦隊ヒーローに擬態する能力を持った「ゴーカイジャー」は、長い戦隊シリーズ史上初めて「正義を振りかざさない」ヒーローでもありました。彼らはあくまで"宇宙一のお宝"を求めて地球を訪れ、たまたま宇宙帝国と闘っただけで、地球を守るためじゃないと堂々表明するのです。ここでお気付きの方もいると思いますが、初期メンバーが全員異星人と言うのも、戦隊史上初となります。

処女作「クウガ」から、単純明快な勧善懲悪を避けた難解なドラマ性を持ち込み、高年齢層のアピールを強くした平成ライダーシリーズに対し、戦隊シリーズは純然たる子供番組としての基本=勧善懲悪は頑なに守ってきた訳で、そういう意味でも「ゴーカイジャー」は斬新で画期的な設定でした。でも、コレって考えてみると実に"東映"的なキャラだと思いませんか? 実は「ゴーカイジャー」は、 戦隊シリーズ第35弾のみならず東映創立60周年記念作という位置付けもされていました。東映のイメージといえば…端的に言えばヤクザ、任侠映画ですよね。いささか暴論ですけど(笑)
そこで活躍した高倉健、鶴田浩二、菅原文太、藤純子…、皆カッコよかったですよね。でも彼らは"正義の味方"、ではなかった。彼らの目的は他者の復讐だったり、個人的な情念だったり…。結果として"勧善懲悪"に帰着するとしても、自ら"正義"を振りかざしたりはしません。確かに天津敏や安部徹や遠藤辰雄といった悪ボスを仕留めていくカタルシスはあっても、彼らは基本"アウトロー"であり、単純なヒーローやヒロインとは割り切れない部分もありました。でもそこがたまらない魅力を秘めてもいました。
そういう訳で、東映の60周年にあえて"アンチヒーロー"的スタンスの戦隊が出てきたというのは、実に感慨深い事実なのです。
とにかくあらゆるアニバサーリーを込められたなかで登場した「海賊戦隊ゴーカイジャー」では、劇場版もこれまでになくアクティブに制作されました。

なかでも2011年6月に公開されロングランヒットとなった映画『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー決戦』。

1975年からスタートした「秘密戦隊ゴレンジャー」に始まる"スーパー戦隊シリーズ"35作目の記念作品ということで、ゲストも内容もとんでもなく濃密でした。
冒頭、34戦隊のメンバーが総結集する"レジェンド大戦"のシーンから、迫力を超えて感慨に思わずジーン…。その後は、ゴーカイジャーとゴセイジャーという、個性の異なる集団の若者たちが対立と和解の果て、最後の大決戦に揃い踏みで向かう戦隊シリーズ恒例となった「VS」シリーズムービーとして、手堅い仕上がり。
メモリアルムービーとして、過去の戦隊シリーズの出演者もゲストで続々登場したのですが、なかでもデンジブルー・青梅大五郎としてメインで登場した大葉健二さんの年輪を重ねた芝居と表情が絶品。驚いたのは、そのたたずまいや口調が、薫陶を受けた千葉真一さんを彷彿とさせていたこと。世界に名立たるサニ千葉の遺伝子を真に受け継いだのは、真田さんでも悦っちゃんでもなく、芸名にその1文字を次いだ大葉さんその人であることを、まざまざと知らしめさせられた場面でした。

続く夏の映画は、東映60周年を反映させたかのような『海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船』というタイトル。

1969年の「まんがまつり」で公開された東映動画製作のアニメ映画『空飛ぶゆうれい船』(原作・石ノ森章太郎)が元ネタになっています。

さらに2012年1月には、『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開。

ライダー、戦隊に続く特撮ドラマ"メタル・ヒーロー・シリーズ"との初コラボが実現した画期的な1作となりました。こちらもヒットとなり、後年の「スーパーヒーロー大戦」シリーズや「スペース・スクワッド」シリーズといった東映特撮ヒーローによりコラボ作品の原点を打ち立てたのです。

※本稿は、2011年7~8月に寄稿した旧外部ブログの内容に加筆・修正を加えたものです。

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