おまじないは皮を剥いて

最近うちの学校ではみかんの皮を使ったおまじないが流行っている。
まず、みかんを皮がヒトデ型になるように剥いて、内側にそれぞれの願いごとを書き込む。
そしてその皮の先端をおまじないに参加する人がそれぞれ持ち、願いを意識しながら引っ張って裂き、手元に残った皮の断片を乾燥させお守りにするのだ。
そうすると願いを叶える手助けをしてくれるのだという。

剥かれておまじないに使われたのは、みかんだけでなく僕の弟もだった。
ある日僕が部活の練習を終えて家に帰ってきたら、リビングに弟の「中身」が転がっていたのだ。
そばに無造作に捨てられていた皮膚の「残った部分」には、びっしりと「みなさんがしあわせになれますように」と書かれていて、
僕はあまりのことに床にへたり込んで、母さんが見つけてくれるまでヒッヒッと喉を鳴らしていた。

それからしばらく後のことだった。
「しあわせになります」とだけ書き残し失踪する人が増えてきたのは。

(続く)

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みかん