教頭先生の秘密の楽しみ

「なあ、教頭のやつマジで育ててんのかな……?マンドラゴラ。確か禁呪種だろ?」
「静かに!気づかれちゃう」
アリッサに言われて俺は慌てて声を潜める。一応身隠しの呪文は効いているはずだが油断は禁物だ。
幸い教頭は気づいた様子もなく、恰幅のよい体を揺らしながら校舎裏の森へと歩いてゆく。
ねじくれた木々の合間の闇に完全にその後ろ姿が消える前に、俺たちは急いで跡を追った。

薄暗く曲がりくねった道をしばらく進むと、広場のような場所に出た。その中心で、教頭が身をかがめ何かに話しかけている。
まさかマジでマンドラゴラを?
よく見ようと身を乗り出そうとしたところで、ひっと短く息を呑む音が聞こえアリッサが身を強ばらせた。

先月転校したはずのロザリーが、なぜか首から下を埋められた状態でここにいる。
顔の至る所から血を流しており、片目が腫れあがっていたので最初は彼女と気づかなかったが。
硬直する俺たちに向け教頭が笑顔で振り返った。

(続く)

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みかん