恐怖の吸血ワカメ

「クソ、追いつめられたか……」
「嫌だ、死にたくないよぉ」
家庭科室の片隅で、俺は怯えるユウキの前に出るようにして周囲を取り囲む緑色のビロビロどもをにらみつけた。

2年のタナベが学校の池にふえるワカメをしこたまブチ込んだのが事の発端だった。
池でふくれあがったワカメどもはなぜか空を飛んで人を襲い始め、襲った相手の血でさらに数を増やした。
今ではおそらく校舎のほとんどがヤツらに占拠されている。

「ひっ、うわあぁっ!」
ぴと、と一匹が貼りついてきたのを合図に、ワカメが俺たちに群がり始める。
貼り付かれたところが焼けるように痛い。皮膚や肉がすすり取られていく。
「クソっはなせっ、この……っ」
もう駄目か、と思ったそのとき。
シュボッと何かの音がして、身体が軽くなった。

「これは……」
ガスコンロの火から逃げゆくワカメや焼け焦げた残骸を前に俺とユウキは顔を見合わせる。
「校舎ごと燃やせば……!」「全滅が狙える……!」

(続く)

#逆噴射小説大賞 #逆噴射プラクティス #小説 #モンスターもの #パニックもの

みかん