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なんちゃって研究員、博士課程へ行く

本稿は社会人学生Advent Calendar 2020 4日目の記事です。

ご挨拶

初めまして、kumpyと申します。
2021年4月に博士課程に入学する予定の者です。

後になって初心を思い出せるよう、進学の動機や抱負を書き残しておきたいと思い、執筆することにしました。
社会人学生を検討している方の参考になれば幸いです。

自己紹介

アイコン:吉川優子さん(響け!ユーフォニアムシリーズ)
年齢:27歳
学位:修士
職業:某国研の研究員
進学先:某大学工学系の院

進学の動機(陽)

一言でいえば、研究者としての能力を高めたいというのが進学の動機です。
一応、ありがたいことに無免許ながら某国研の研究員(パーマネント)として働けています。
研究で生計を立てているという点では、プロの研究者といえそうです。
しかし、研究者としてはよわよわです。
今後、研究者としての転職や留学を視野に入れて生きていくためには、博士号はもちろんのこと、研究者として武器となるような技術・知識が必要だと思いました。

進学の動機(陰)

現職では研究ができない。

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え、国研なのに研究ができないの?と思われることでしょう。
はい。言い過ぎました。でも、研究に向いていない環境なのは確かです。
その理由を下記に挙げます。(あくまで私の職場の話です)

1.森羅万象が非合理
主な活動資金源が税金であり、使途を厳しく管理するためだと思うのですが、ありとあらゆることに多数の人間による承認が必要で、非合理的です。本質的に無意味な書類作成にどれだけの時間(≒税金)を費やしているかと考えると恐ろしくなります。
2.1年のうち、予算執行できる期間がとても短い
就職したとき驚きました。具体的には書きませんが、とても短いです。しかも、物品の調達には最低で2週間はかかります。当然、研究の進みは遅くなります。
3.論文よりも「社会に役に立つ」成果を「短期間で確実に」出すことが大事
そういうの、私は研究とは呼ばないと思います。
そもそも「役に立つ」の定義も評価方法も不明瞭です。
何をするにも多数の人間による承認が必要な仕組みと相まって、チャレンジングな(時間を要するor失敗リスクが高い)研究をしづらい文化になっています。
研究の皮を被った開発ばかりが行われているというのが実態だと思います。
4.専門性を究めづらい
理由がわからないのですが、人事異動や方針転換で担当の研究内容がガラッと変えられてしまうことがまれによくあります。そのせいか、(他はダメでも)これだけは誰にも負けないという尖った強みを持った人があまり多くない気がします。

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待ち受ける研究者としての死

さて、このような組織で何年、何十年と過ごすとどうなるでしょう。
待っているのは、業績も、専門性も、博士号すらないまま年を重ね、転職したくてもできない、外部資金も獲得できないという「研究者としての死」だと思います。
それを回避するため、早い段階で博士号と研究者としての何らかの武器を手に入れたいというのが、進学の動機です。

「環境のせいにするな!研究しろ!」、「授業、大学運営、その他雑務をこなしながら研究しなければならない大学教員よりはマシだ!研究しろ!」という声が聞こえてきそうです。
確かに、どんな環境でも強い意志でゴリゴリ研究を進められる人もいることでしょう。でも、私は自分が怠け者であることを知っています。そんな私が、研究者として一皮むけるためには、それに適した環境に身を置いたほうが良いと考えました。

修士 or 博士?

修士までは工学部ではなかったので、工学の修士課程からやり直そうか迷っていました。しかし、進学先の教員に相談したところ「研究のプロセスを一通り経験していることが重要なので、他分野の修士号でも構わない。むしろ、研究では必要に応じて新しい知識を柔軟に蓄えていくことが重要なので、そのトレーニングも含めての博士課程と思えばよいのでは」と言われ、博士課程進学を決意しました。人気の研究室は修士課程の進学希望者が定員オーバーしてしまうこともあるので、博士課程に入れる人はそちらに入ってほしいというのが本音かもしれませんが、おかげで迷いを吹っ切ることができました。

どのように社会人学生をやるか?

修士までと全く違う分野ということもあり、1年次は休職して大学に専念するつもりでした。しかし、新型コロナウイルスの影響で来年度の大学がどうなっているか全く予想できないため、休職は2年次以降に延期または中止することにしました。休職したは良いものの、大学に一切行けないとなったら辛そうですから。一定の収入を得ながら学生をやれるほうが、精神衛生上は良さそうです。
研究テーマは、現職の分野に応用できそうなものを考えています。できれば共同研究に持っていきたいと目論んでいます。

博士課程の抱負

欲張って色々なことをやろうとして、結果的に全部中途半端で投げ出してしまう人生を歩んできました。「あのとき、1つだけでも継続していれば...」と思うことが多々あります。その反省を生かし、「1つの軸を持って研究に粘り強く取り組み、研究者としての武器を手に入れる」を抱負といたします。

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終わりに

長文ポエムにお付き合いくださりありがとうございました。また、執筆の機会を設けてくださった望月紅葉さんと幸せな家庭を築きたいさんに感謝いたします。来年は1年次をほぼ終えた感想を書けたらいいな、と思います。

画像引用元
http://tv2nd.anime-eupho.com/sp/special/episode-icon/

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