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人間のダメさ加減を理知的に捉える、行動経済学のなんて面白いこと!

社内の経営戦略勉強会「Tribal Professional Academy」、通称「TPA」。今回のお題は「行動経済学」。課題図書はこちら。

3冊ともアプローチも内容もほぼ一緒。深度と事例が違うくらいでどれも面白い。というより行動経済学が圧倒的に面白い分野なのだと思う。

これらの本を読み始めて真っ先に思いをよぎった本がある。代替医療と言われる古今東西のあらゆる”治療”の効果について徹底的に検証したサイモン=シンの『代替医療のトリック』
現代の私たちに馴染みの“代替医療”においてでさえ、もっとも科学的効果があったのがプラセボ、つまり偽薬だったという、衝撃的に取り付く島もないダークな医療系の一冊。

経済学が「人間は合理的な行動と判断をする」という前提に対し、行動経済学は「人間は非合理的(感情的)な行動と判断をする」という前提に立っている。

プラセボ効果だけではない。たとえば、同じような商品でも多くの口コミのある方を選ぶ。お得になるとわかっていても今のプランを乗り換えない。同じ100円でも誰かにあげるより取られる方が損得感情が大きく振れる、負けが込んでるギャンブルでも自分は強いと本気で思う...などなど、私たちは日々、合理的とは言えない(賢くなさそうな)ことを(わかってはいるけど)繰り返す。

これらの「ついやってしまう」心理や行動パターンを研究検証し、予測可能なものとしてリアルな経済活動に活かそうね、というのが行動経済学。うん、リアル。このテーマで誰かが映画を作れそう。

行動経済学の柱① 「ヒューリスティクス」


人が意思決定をしたり、決定を下す時には2つの判断パターンがあるという。厳密な論理で一つずつ答えを導く「熟慮システム(システム2)」。そして、一瞬にして本質や結論を導く「自動システム(システム1)」=「ヒューリスティクス」。簡単に言っちゃえば、論理と直感。いつもシステム2で行けたらそりゃ間違いも少ないんだろうけど、疲れるし時間かかるし、論理のとっかかりがないことだって多い。だから私たちは日々、システム1でサクサク判断・行動している。そして、そんなヒューリスティクスはしばしば間違える、というより間違いに気づかない。バイアスがかかっているからだ。この、バイアスにもイロイロある。

例えば、最初に提示された数字を基準に価格を判断する「アンカリング効果」。みんなが支持しているから正しいと判断する「代表性ヒューリスティックス」。簡単に思いつくものを過大評価して意思決定してしまう「利用可能性ヒューリスティックス」がバイアスの例だ。

ヒューリスティックスにはどうしたってバイアスが含まれるからそこんとこ織り込んでおこうね、というのが行動経済学の大前提。

行動経済学の柱② 「プロスペクト理論」

私たちの実際の行動を説明する、現実にもっとも近いとされる理論が「プロスペクト理論」。ざっくり言うと、損得感情を理論化したもの。経済活動に直結しそう。

損と得の「感じ方の差」を法則化したのが「価値関数」は、高額になると差額に鈍感になるというもの。例えば、98円と118円の納豆は悩まず安い方を選ぶのに、400円のアイスを買うときには次回使える5%還元券を「要りません」と言ったり。

損得感情の非対称性の特性を定義したのが「損失回避性」。1000円もらった嬉しさよりも1000円失ったダメージの方が同じ金額でも大きい、というヤツ。

さて。他にもうんと楽しい行動経済学、一通りさらってふと考えた。行動経済学後の経済学ってどうなってるの? っていうか、リアルな経済の現場はどうなんだろう? やっぱり気になる景気判断とか、日銀の動きとかってこれらをどう取り入れてるんだろう?と。

そしたら、ありました。ドンピシャなのが。

へええ。やっぱりね、というかなんというか。面白いなあ。

なんて感心しながら、個人としては行動経済学を知ることで思考の癖の”弱点”を知って克服できたらいいなと思ったり。マーケターとしては行動変容に有効な視点としてメモメモしたり、事業開発としては事業企画の主体としての癖を見つけるのに有効そうだぞ、なんて思ったりしてまとまらなくなってきたので、行動経済学のレポートはおしまい!


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