見出し画像

イケポのつくりかた01_チェックと準備

はじめに

今回の講座では「パワポの作り方ってこれであってるのかな?」と漠然とした不安をお持ちの社会人のみなさんのために、「公認会計士×経営者×プレゼンクリエイター」という3つのキャリアを持つ私(しらき@パワポ図解)が、あなたのパワポをイケてるパワポ(イケポ)にする方法を説明していきます。どんな場面やツールでもプレゼン製作の基本は同じなので、企業だけでなく学校やイベント等様々な場面で応用してもらえると嬉しいです。

イケポって何なの?

突然ですが、みなさんは「2:6:2の法則」をご存知でしょうか?これは「パレートの法則」とも呼ばれ、集団の上位2割が全体の8割の生産性をあげるという傾向のことをいいます。

私の経験則ではパワポの世界にもこの法則が当てはまります。つまり、「ビジョン・デザイン・構成」の3要素が作りこまれた土台の上に製作され、聴衆に狙い通りの行動を促すことのできる「イケポ」は、パワポ全体の上位20%にあたり、これが世の中のパワポの80%の結果を出しています。

あなたのパワポは「イケポ」?それとも「ダサポ」?

普段あまり自分のパワポがイケてるかどうかをチェックする機会はないと思いますが、パワポ力をアップするためには、まず自分のパワポレベルを認識する必要があります。簡単なチェックリストを作ったので、自分の作るパワポが何個当てはまるかチェックしてみてほしいと思います。

イケポ☆チェックリスト

①「1スライド=1メッセージ」
②「誰にどんな行動をしてほしい」のか伝わる
③文章が長すぎない
④色数が多すぎない※
⑤フォント種類が多すぎない※
⑥どこを見ればよいのか明らか
⑦適度な余白がある
⑧デザインルールが決まっている
⑨ストーリーの流れがわかりやすい
⑩スライド全体を貫くビジョンが明確

※ノンデザイナーであれば色数は5色まで、フォントは欧文1種類+和文1種類の合計2種類までを目安にしましょう。

さて、結果はどうだったでしょうか?

・8個以上当てはまる:あなたのパワポは「イケポ」です。自信を持ってパワポ力をさらに磨けば社内での評価はさらに高まり、プレゼンクリエイターとしても独立できそうです。

・3~7個当てはまる:あなたのパワポは「ふつポ」です。特に大きな問題を感じていなくても、現状に甘んじることなくプレゼンで思い通りの結果を出せる「イケポ」を目指してステップアップしていきましょう。

・当てはまるのが2個以下:残念ながら、あなたのパワポは「ダサポ」の恐れがあります…せっかくのプレゼンで言いたいことが伝わってないかもしれません。毎日パワポ修行に励むか、プロの指導を仰ぎましょう。

「ふつポ」や「ダサポ」と判定されてしまった人も大丈夫です。「イケポ」の作り方にはノウハウがあり、これからお話する5つのステップをおさえることで誰でも作れるようになります。

イケポをつくる5つのステップ

1.チェックと準備
現状のパワポと、イケポ3原則をみたすパワポの違いを認識する
2.情報の整理
プレゼンのあるべき姿(ゴール×時間×枚数)から逆算してパワポ構成を作る
3.情報の整頓
パワポ要素(文字・写真・データ)を整頓して分かりやすいデザインにする
4.デザインのブラッシュアップ
デザインをブラッシュアップして独自の世界観をつくる
5.ビジョンの共有
目指す未来をビジョンとして共有し、相手の共感を呼ぶ

今回はイケポを作る最初のステップ「01チェックと準備」についてお話します。

パワポを開く前にやるべき準備とは?

みなさんはプレゼンを作る時に何から取り掛かりますか?PCを立ち上げてパワポを開く前に、紙とペンを取り出して考えてほしいのが「プレゼンのゴール」が何かということです。

採用プレゼンであれば「沢山の学生に興味を持ってもらい、新卒採用に応募してもらうこと」、営業プレゼンであれば「商品やサービスに興味を持ってもらい、購買意欲を促すこと」、研修プレゼンであれば「企業理念や方針を共有して、協力して働いてもらうこと」などの目的がありますよね。

このように全てのプレゼンに共通するゴールは「人を動かす」ことです。初めての土地で地図を持たずにドライブしても目的地にたどり着けないように、初めて作るプレゼンではゴールを明確にしなければ結果は得られません。

逆にゴールが明確になれば、最短距離で目的地までどう行けばよいかを考えることができます。まずはプレゼンで「誰をどう動かすか」を具体的に考えて紙に書きだしておきましょう。

「イケポ3原則」を意識して、ゴールを目指そう

ゴールが明確になったら最短距離で目的地を目指しましょう。忙しいビジネスパーソンは、パワポ製作にかけられる時間も限られています。そのため、試行錯誤を繰り返しながら、最小の努力で最大の結果を出せるようになる必要があります。

プレゼンの力だけで他人に行動を促すのは、想像以上にハードルの高いことですが、「①ワクワクするビジョンで全体を貫く」「②ミニマルなデザインでまとめる」「③心に刺さるストーリーを構成する」という3原則を意識して情報を整理することで、思い通りの結果を出しやすくなります。

「忙しくて準備に時間をかける暇がない…」「なんだか面倒そう…」と思う人もいるかもしれません。しかし「木を切る前に斧を研がない人」と「斧を研いでから木を切る人」では、斧を研いでから木を切る人の方が早く沢山の薪を得られるように、パワポを開く前に準備する事でパワポ製作の効果が高まります。

ここからは、パワポ製作前に意識すべき3原則(イケポ三原則)の内容を説明します。

①ワクワクするビジョンで全体を貫く

まず、人を動かすために大切なのが「ワクワクするビジョン」です。
「ビジョン」は経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱した概念で、企業の存在意義を示すために必要とされます。

自分たちの使命や目的を「ミッション」として定義し、ミッションを実現させた将来像を「ビジョン」の形に落とし込むことで、聴き手とイメージを共有して価値観の似た人を惹きつけることができます。

明るく前向きな価値観でスライドの最初から最後まで貫くことで、聴き手の信頼と共感を獲得できるだけでなく、プレゼンター自身が納得して「プレゼンのゴール」に向かうことができます。聴き手とプレゼンターの両方がモチベーションを高めて同じゴールに向かうことで、プレゼンの成功率は大幅に高まります。

②ミニマルなデザインでまとめる

つぎに、大量の情報を分かりやすく伝えるために必要なのが「ミニマルなスライド」です。文字数を減らして、フォント・カラー・イラスト・アイコン等に統一感を持たせることで、スライドの世界観を作り、洗練された印象を与えることができます。また図解やグラフを使用することで、情報が圧縮されて一目で内容を理解しやすくなります。

プロのクリエイターであれば、クライアントのイメージやリクエストに応じた「デザインシステム」を用います。スタバやアメーバなどの企業が公開しているデザインシステムはミニマルで美しく、スライドデザインを考える際の参考になります。

ノンデザイナーの方にはデザインシステムを1から考えるのは難しいと思うので、ミニマルで汎用性の高い「スライドテンプレ」を使用して、様々な場面で使えるパワポを作るのもおすすめです。

こちらの「Presentainment」というサイトで、世の中にある洗練されたスライドテンプレを検索しやすくまとめてくれているので、こちらも参考にしてみてください。

③心に刺さるストーリーを構成する

最後に、プレゼンから受ける印象を大きく左右するのが、心に刺さるストーリー構成です。エモーショナルでポイントをおさえたスライド設計により、聴衆の気持ちを惹きつけ、盛り上げることができます。

スライド構成は大きく「オープニング」「ボディ」「クロージング」の3つのパートに分けられます。オープニングパートは「表紙」「目次」「ビジョン」、クロージングパートは「目指す未来」「まとめ」等のスライドから構成され、スライド内容にあまり左右されないので、自分の型を決めておくと便利です。

メインコンテンツはボディパートで展開されますが、スライドの目的によってパターンが異なります。例えば企業スライドでよく使われる「採用スライド」「営業スライド」「研修スライド」の構成例には以下のようなものがあります。

・採用スライドでは、汎用性の高いSDS型の構成が使われます。ボディパートでは、事業概要(Summary)→実際の業務やロールモデル(Details)→応募方法(Summary)という流れで説明し、学生に入社後のイメージを沸かせて応募してもらいます。

・営業スライドでは、DESC型の構成が使われます。ボディパートで、背景(Describe)→問題点(Express)→提案(Suggest)→結論(Consequence)の流れで説明することで顧客のニーズを掘り起こし、自社のサービスや商品をアピールして成約につなげます。

・研修スライドでは、PREP型の構成が使われます。結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)という流れで説明すれば、論理的で説得力のある研修を行い、伝えたい内容を印象付けることができます。

上記の例は一例で、ほかにも様々なパターンが考えられます。色々な組み合わせを試しながら、聞き手が欲しい情報が盛り込まれたストーリー構成をつくり、Win-Winの提案をしていきましょう。

まとめ

今回は、イケポの特徴と必要な準備について説明しました。「自分のパワポに自信のない人」も「そこそこ自信はあるけどさらに結果を出したい人」も、ぜひチェックリストを使って改善ポイントを見つけてください。

パワポを開く前に「誰をどう動かすか」というプレゼンのゴールを紙に書いたら、「①ワクワクするビジョンで全体を貫く」「②ミニマルなデザインでまとめる」「③心に刺さるストーリーを構成する」という3原則を意識して情報を整理すれば、成功率の高いパワポプレゼンの土台を作ることができます。

次回からは、あなたのパワポをイケポに改善するための具体的な方法をお伝えしていきますので、楽しみにしていてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?