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第112話 大きく息を吸い込んで

ベランダに出て大きく息を吸い込むと、
息をしていると感じる。

夜はずいぶん涼しくなった。
ベランダで空を見ながら、書いている。

鈴虫の鳴き声。
どこかの家のテレビの音。
子供の声。

目の前にある、たくさんの家。
たくさんの人の生活がここにある。


息が出来ていない。と感じる事がある。
家から出るときには必ずマスクをする。
自然と呼吸は浅くなる。
私は考え事をしているときも、息を止めている事がある。


意識して深呼吸をする。
身体中に酸素が届くように、大きく息を吸う。

自分の足で立っていることを確認する。
目の前の現実をしっかり見つめられるように。


どんな時でも同じように時間は進む。
私の天気が晴れていようと、
どしゃ降りだろうと。

それに救われる時もあるし、
それに苦しめられる時もある。


何が良くて
何が悪いのか。
その時その時で変わっていく。

子供達の存在に助けられる時もあるし、
一人の時間が欲しいと思うときもある。

それと同じように、
自分の事を受け入れられる時もあれば、
受け入れられない時もある。


自分の事を否定してしまう時、
頭にも心にも酸素が足りていないと思う。

大きく息を吸い込む。
深呼吸をしている少しの間、
何も考えない時間をつくる。


何も考えない事で、
片寄った考えを真ん中に戻す。

どっちでもいいよね。
どっちに行ってもいいよね。

どっちも良いなら、
好きに選んでいいよね。


答えはいつも決まっている。

決まっているのに悩む。

感情が答えに追い付かないからだろう。


きっかけがあれば、
考えを変えることは一瞬でも出来る。
でも心は、
変わったと思っても、
またすぐにもと居た場所に戻ってしまう。

だから、少しずつ動かしていくしかない。


ある日突然、
別人のようになっている事なんて
無いのだから。



いつも元気に、とはいかないけれど、
ゆらゆら揺れながら、わりと穏やかに過ごせている。
有り難いことだ。

自分を甘やかして、
子供達も甘やかして、
ゆるくゆるく生きている。


いらない物を少しずつ手放して、
必要なものを見つけながら、
自分がいちばん楽に生きられる方法を
探していきたいと思う。












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