見出し画像

資格試験に合格してても日本語があやふやな中国人学習者を見て思うこと

日本語教育という職業をしていて、直面するジレンマのひとつが資格試験対策です。

日本での就職や進学を考える人は、日本語能力検定試験N2を取得します。N2レベルでなけれな門前払いされてしまうからです。

ですから、N2で合格点以上を持っているかどうかが人生の分かれ道となります。

それで、試験に合格するために日本語を勉強します。

この日本語能力検定試験はN5からN1までわかれています。そして難易度に応じて使われる単語も文法も違います。

ですから、N2を持っているからといってN5からN3までの範囲を理解しているとは限らないのです。

しかし、日本語ができるようになるのが目標ではなく、N2をとることが目標な学習者さんは、必要ないと判断したN3までの部分を切り捨てます。

そのことを、オンライン日本語講師おじさんさんも指摘しています。

ただ、これは日本語学習者だけにかぎった話ではありません。

たいていの中国人が同じような価値基準を持っています。

例えば、世界の名著を読んだことがあることを自慢する人がいますが、その人は読んだことがあるだけで内容から特に影響は受けていません。

フランスに行ったことがある。凱旋門を見たと言っても、実際には車窓から眺めただけとか。

つまり、名目上の経験が大事であり、実質を伴っている必要はないのです。

ですから、N2をとらないと日本で就職はできない。留学もできないのでN2をとるだけで、そのレベルの日本語を取得することには、それほど関心はないのです。

これがN1に引き上げられれば、N1のテキストのみを勉強し、なんとか及第点をとるように努力することでしょう。

もちろん、制度を利用することは間違いではありません。わたしも就労ビザを申請するために中国語の検定試験であるHSK5級を使いました。

試験前に問題集を何回か繰り返して受験し、及第点を得ることができました。お陰様でビザの申請もスムーズでしたが、自分の中国語にHSK5級の実力があるなんて思ってません。

この結果がなければ、先にすすめないので5級を取得しただけです。

ですから、中国人学習者さんがN2をいきなり学ぼうとすることも理解できます。

そして、オンライン日本語講師おじさんさんの学生たちは、誠実だなと思います。

なぜなら、生活のための日本語を学ぼうとさらに努力しているからです。

日本には中国コミュニティもあり、日本語ができなくてもビジネスをしている人も大勢います。また片言でもコミュニケーションが取れれば構わないという中国人も大勢います。

加えて、日本人も相手が外国人だと分かれば、多少日本語に不自然なところがあってもスルーする傾向があります。

それでも、会話のスキルを伸ばそうと学ぶわけですし、すでにN2レベルの語彙は習得しているわけですから、日本語教師としては願ったり叶ったりではないかとも思えます。

さて、わたしも今週自称N1レベルの中国人のレッスンを行います。すでに、妻がその学習者のレッスンを行っており「発音はいまひとつ。文法もあやふや」と言ってます。

とはいえ、日本語でコミュニケーションが取れるそうですので、しっかりとサポートしたいと思っています。

自分とは違う価値観や方法論を持っている人を、どれだけ助けられるか。これが今後日本語教師という職業として成功できるかどうかに関わってくるかもとも思ってます。

今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日!

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。