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トラップだらけの「健康への道」

二度目の退院を果たし、再び自宅での養生生活に入っている。

せっかく絶食でお腹がリセットされたのだ。これを機に食べ物に気遣って腸内環境を整え、もう二度と病院に行かなくて済むようにしたい。

理想的には三食とも自分で作りたい。腸内環境を整えるレシピ本も3冊ほど買った。主食はしばらくは玄米粥。それに野菜の汁物や、発酵食品などを足している。

必然的に「買い物」が重要な仕事になる。16時になると仕事を切り上げ、運動も兼ねて片道20分かけてスーパーに歩いて行っている。以前は車で行ってまとめ買いという買い物習慣にどっぷり浸かっていた私は、リュックをしょって歩いて行くなどゆめゆめ考えもしなかった。

しかしよく考えれば、「食べる分をその都度買う」というこのスタイルは自然な姿だ。1人暮らしでまとめ買いなど必要ないのだ。それなのに車で行ってまとめ買いして、時間を節約したつもりでいたのだ。しかしそんな「効率化」は私をちっとも健康にも、幸せにもしてくれなかった。

買い物行動の変化はそれだけではない。買うものをじっくり選ぶようになった。特に加工食品は添加物や糖分、塩分が気になる。後ろの食品表示をよく確認するようになった。

すると、今まで全く気づかなかった、様々な「トラップ」が見えてきたのである。


たとえば「減塩」。

チューブタイプの「塩麹」の棚には、A社の製品が定番製品と「減塩」タイプの製品の2種、B社の定番製品が1種あった。

塩麹は発酵食品だから身体にいいと言われているが、塩分が高いのが以前から気になっていた。塩分と発酵成分は、健康の面からはトレードオフなのではないか。だから「減塩の塩麹」にはとても興味があった。

でも「減塩」っていうけど、実際どれぐらい違うのかな。A社の減塩タイプとB社の定番と比べてみるか。

成分表をチェックしてみると、A社とB社では表示方法が違っていて、かたや「100グラムあたりの塩分量」、かたや「15グラムあたりの塩分量」で計算しにくく、ぱっと見て単純比較が難しいようになっている。

そこでスマホを取り出し、きっちり計算してみた。

すると、なんとわずか0.2グラムしか塩分量が違わなかったのだ。A社の減塩タイプはB社の普通タイプとほとんど同じなのである。それなのに「減塩」というだけで100円近く高い。

ということは、A社の定番商品はかなり塩辛く作ってあるわけだ。その点、B社は最初から塩を控えめにしているのだから好感が持てる。0.2グラムぐらいなら使う量を少し減らせばいいだけの話だ。

迷わずB社の製品をカゴに入れる。以前の私なら「減塩」というだけでちょっと高くてもA社のものを籠に放り込んでいたはずだ。


そして「糖質カット」も要注意のトラップワードだ。

「糖質ゼロ」「低糖質」、いまやレシピ本のコーナーやスーパーの売り場、至る所で踊っている言葉である。

うどんを買おうと思って売り場に行くと「糖質40%カット」と大きく書かれた商品を発見した。

そんなうどんがあるんだ!と手に取って裏を見ると、なんだかいろいろ入っている。最後に「増粘剤」の文字を発見したとき、「あー、こりゃだめだ」と棚に戻した。

糖質を減らすために小麦粉のほかに何かを入れ、食感や味を整えるために添加物を入れる。たぶんそういうことなんだろう。

小麦粉と水と少量の塩があればできる「うどん」という素朴な食品も、カロリーオフで太りませんという「売り」を作るためによくわからない工業製品になっている。もはや「うどん」ではなく「うどんもどき」である。

そもそも40%糖分を減らしたからといって、劇的に痩せるわけでもないだろうに。むしろ野菜などでかさ増しして半玉で満足できるうどんを作ったほうがよほどましだろう。

今ならそんな正論が言えるが、以前のおバカな私なら飛びついて買っていたに違いない。

さらに、なんと豆腐ですらそうなのだ。健康食品の代表格であるはずなのに、後ろを見ると変な添加物が入っているものもあるので全く油断がならない。

そうやって気づかないうちに、本来なら摂らなくていい添加物を身体に入れてしまい、長年のうちにそれが蓄積し、腸内環境を悪くしていったのだなあと今更ながら気づくのである。


それにしても、食品表示ラベルは面白い。行間から見えてくるものがいっぱいあるのだ。これからは、コンビニやスーパーに行ったら気になる食品の裏を片っ端からチェックすることにした。

何の脂を使っているのか、塩をどれぐらい使っているのか、添加物は何を入れているのか。。。メーカーの良心が垣間見えるところでもある。

食の選択肢が多いのは幸せなことかもしれないが、そのぶん「罠」もたくさんある。そして怖いのは、それが罠であることにすら気づかないことだ。

そしてやっと気づいた時には・・・

みなまで言うまい。


レシピ本、いろいろ買いましたが、これが一番使えそう。

 


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