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イタリア ピエモンテの田舎家を賃貸する

政府が州を越えて外出してもいいと許可した6月の最初の週末、私達は早速ピエモンテ州に出かけました。ピエモンテの丘や森が見えてくると同時に私たちはとても嬉しくなって、窓を全開にして緑の匂いのする山々からのひやっとする風を車に招き入れました。折しも満月の夜で二つの山の間に沈んでいく夕日の横に大きな満月が出始めていました、たぶん21時半くらいだったかな、ロックダウンでうちに籠ってるうちにイタリアは随分日が長くなっていました。ああイタリアの初夏だなあと私は目を閉じて深呼吸しました。

翌日は真っ青な空が広がる雲一つない快晴!ついに貸してもらう田舎家へ。ブドウ畑の脇、サクランボやサンブーコ、まだ青くて未熟なイチジクの木の下をくぐって、ヘーゼルナッツの林を抜けきり、小さな小道の突き当りに見えるお家です。二人で滞在するには充分すぎるほど大きな家、夢のよう!長い間誰も住んでいなかったので修繕や大掃除は必要だけど、暖炉のある居間、小さな窓のある可愛いキッチンにワクワク。この日はオーナーの家族と知り合いが草刈りに来てくれました。お庭の草刈りが大好きという9歳のヴァレリオ君は大人顔負けの草刈り職人。機械を自分で操作して、真剣な顔で、刈り漏れがないように慎重に庭を行ったり来たりしながら、綺麗に刈ってくれました。ランチはお庭でソーシャルディスタンスとりつつ、ズッキーニの入ったフリッタータ(卵焼き)FRITTATA を挟んだパニーノを食べました。太陽の下で和む昼下がり。夕ご飯はアグリツーリズモに呼んでもらって、自家製の豚の頬肉グアンチャーレ GUANCIALE とそら豆、ズッキーニの花のパスタを頂きました。夕日をみながらお庭で食べる夕食の美味しいこと。自然がすぐそばにある生活の豊かさにうっとりしてしまうのでした。都会とは時間の流れ方が全く違うのです。うっすらと暗くなった頃、一対の蛍が水平に飛んでいきました。

日曜日は、不動産屋さんに紹介してもらったお家を一軒見に行くことに。とても可愛いお家なのだけど、ブドウ畑の真横。ブドウ畑に囲まれた一軒家はワイン好きにはたまらないのかもしれませんが、消毒の時期にはかなり長い間薬を噴射するのでお庭にも出られなくなる事があるんだそう。そんなことも教えてもらわないと全く知らなかったのだけど。全てが完璧なお家はないだろうからどこで折り合いつけるかが重要だけれど、これ!と言った家を見つけるにはなかなか時間がかかりそうです。

私たちの計画は賃貸をしながらこの近くで購入できる家を探すこと、そしてそれは今も変わっていないのだけど、なんと言えば良いのでしょう、たった1日で私たちはこの家に恋をしたような気分になっていました。心にむくむくと何かが沸き上がるような気持ち。この家を購入できるお金がないのは百も承知なのだけど、でもたとえ期間限定であったとしても、この家との良いご縁を出来るだけ長く続けたいと願うようになっていました。不思議な縁でこの土地にたどり着き、そこで待っていてくれた人達、嬉しい出会い、そして私たちはここに住みたいと思い始めている。1年前には思ってもみなかったことでした。この道はどこに続いているんだろう。ワクワクをちゃんと忘れないように人生を選択して生きようと思う。

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