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人はネガティブな情報ほど信じやすいのかもしれない

日テレNEWSで「ヨーロッパの10代の間で北朝鮮ソングが流行っている」というニュースを見た。


その一方、最近ある年配の女性から勧められたのが「ベトナムのシングルマザー」のYoutube動画。
どうやらすでに1ジャンルとして確立されているようで、検索するとものすごい数のチャンネルがヒットして、再生数もそれなりに多い。

ストーリーは、アル中旦那と離婚するまで、農村での自給自足生活、捨て子を我が子同様に育てる、などなど。
美しい自然を背景に貧しいシングルマザーが子育てに奮闘している日常生活を描いたドキュメンタリー風ドラマ、というところか。

一緒に見ながら話を聞いているうちに、どうやらその動画を「ホンモノのシロウトの日常生活」だと思っているらしいことに気づいた。

シロウト感を出すためかテロップ字幕や音楽は一切ないけれど、映像は最新iphone並の鮮明さでおそらく3台以上使用、撮影アングルやストーリー構成や編集は完全にプロによるもの。

出演者や元ネタはホンモノの素人さんかもしれないけれど、貧しい農村女性のはずが服には汚れもなくうっすら化粧もしているし、通りすがりの人が誰もカメラに目を向けない。それにベトナムでだってその辺に捨て子なんていないし、勝手に連れて帰ったら誘拐だよ。

どう見てもプロが作った収益用動画。それを婉曲に伝えたところ「でもこっちの人はホンモノでしょ?」と類似の動画を何本も挙げてくる。どうしてもホンモノだと思いたいらしい。
陰謀論にハマるよりは害がないかなぁと思い、こっちはホンモノかもねと適当に受け流しておいた。


北朝鮮ソングの満面の笑顔を信じている人は恐らく誰もいないのに、貧しさや不幸といった話題はついつい信じてしまう。
地上波テレビや新聞記事は捏造で、Youtubeの陰謀論や暴露は真実だと思ってしまう人もいる。

最近「不安ビジネス」という言葉を知ったけれど、もしかして人はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報の方を信じやすい or ネガティブな情報を欲しているんだろうか?

生成AIの登場で、ホンモノかフェイクかを見極めていくのは今後ますます難しくなりそう。自分の中の記憶ですら、この目で見たホンモノの出来事なのか、スマホに残された映像の方なのかすら、おぼつかない。

これからの時代は、ホンモノかどうかを見極めるのではなく、ムー読者のように「かもしれない」を楽しむファジーな目線が必要になってくるのかも。


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